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 Macで 『覚醒』したグラフィックデザイナー
 
クリエイターたちのコンピュータとの関わりを紹介する "CREATIVE PROFESSIONALS"。
 今回は、海外で数多くの賞を受賞し、グラフィックデザインの可能性に挑戦しつづけるデザイナー、西克徳が登場。Mac歴13年という西に、Macとの出会い、そのつき合い方について話を訊いた。
 
Q Macと出合ったときのエピソードを聞かせてください。
 
<西> 僕が美大生だった頃に、Macを使ってインスタレーションをしている先生がいたんです。その先生の研究室に遊びに行ったときに初めてMacを見たんですけど、衝撃を受けましたね。それまで授業で使っていたコンピュータは線を一本引くのにもコードを何行も書く必要があったんです。でもそこで見たMacは、その線がぐるぐる動いていたんですよ。それを見たときに、なにができるのかはわからないんだけど、とにかく「これがあれば人生が変わるんじゃないか」という気持ちになりまして、それでおばあちゃんが大学の入学祝いで「車を買いなさい」といって僕に用意してくれたお金を使って(笑)、140万円のIIcxというMacを買ったんです。
 
Q 140万円と言えば、本当に車が買える値段ですよね。それでもMacを選んだ理由はなんだったんですか。
 
<西> 当時はずっとなにかを作りたいという気持ちがあったんですけど、それがなんなのか自分でもわからなかったんです。Macを買ったら、自分のなかでもやもやしていた「なにか」が何なのかがわかるような気がしたんです。
 
Q 実際にMacを使ってみて、西さんのなかで変わったものはあったんですか。
 
<西> とにかく時間があればずっとMacをいじってたんです。Macの知らない部分を開拓していくような感じで。触れることが楽しくてしょうがなかったんですよね。たとえば、学校の課題があったらそのころ自分が部屋で作っていたものとリンクさせて作ってみたりしていました。そのときに体験した、「見たこともないようなものが自分に作れる」という創造することの喜びは、<覚醒>したような強烈な体験として今でも作品を作る核になっています。その感覚を味わったということが一番大きな変化ですね。学生時代にMacに触れることができたのは幸せでした。
 
Q 大学を卒業してからはどのような経歴を歩んできたんですか。
 
<西> 広告代理店に勤めたんです。2社勤めたんですけど、両方2年くらいで辞めてしまいました。なにも先立つものは無かったんですけど、それからフリーでデザイナーを始めたんです。その頃あったのは漠然とした自信だけでした(笑)。
 
Q 会社に入ってから、自分がやりたかったことと実際の作業とのギャップは大きかったんじゃないですか。
 
<西> そうですね。クリエイティブと言われる仕事に就いたものの、思っていたこととの差はやはりありました。その差を埋めるために、家に帰ってからはひたすら作品作りに没頭するようになりましたね。
 
Q 手作業でのデザインとコンピュータのデザインの違いについてはどのように思いますか。
 
<西> 手作業だと、最初に自分が目指すところがあって、そこに向かって作品を作っていくことになるんです。でもコンピュータで作った場合は、偶然のアクシデントが思わぬ良い結果を生むことも少なくないんですよ。それは、コンピュータからインスパイアを受けているということですよね。そういう思わぬ偶然に遭遇できるというのは面白いことだと思います。手でデザインする場合は作る喜びが大きいですから、簡単にどちらが良いとはいえないですけれど。でも、例えばタイポグラフィの文化なんかは、Macが作り手にインスピレーションを与えたからこそあそこまで大きくなったんじゃないかと思っています。
 
PROFILE
西克徳
西克徳
ニューヨーク・アートディレクターズクラブ賞 金賞・特別賞・入選、東京・アートディレクターズクラブ賞 入選など多数受賞。2001年Museum fur Kunst und
Gewerbe(ドイツ)に作品9点が永久保存される。
 
西克徳
 
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  ※掲載情報に関しては2003年2月24日現在の情報になりますのでご了承下さい。 PAGE  
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