 |

掲載: 2003/12/11
ソース:『bounce』誌 249号(2003/11/25) |
豊かな音楽性を滲ませ、フロアからお部屋までを自在に演出するクラブ・ジャズ〜クロスオーヴァー・ミュージックたち。最近だと北欧が熱い!なんて声もありますが、コンポストで注目を集めたドイツの動きが、いくつかのレーベルを中心にグングンおもしろくなってきてるんです! この素晴らしさを素通りしようとしてるのは、どこのドイツだ!?(失礼)
文/高橋 玲子、出嶌 孝次、堀内 幸江
ドイツ発のフューチャー・ジャズ周辺作品が塊で注目を集めだしたのは、トゥルービー・トリオやジャザノヴァを擁するコンポスト、ジャザノヴァとコンポストの合弁レーベルであるJCR、そしてソナー・コレクティヴ(以下ソナー)が思い浮かぶところだろうが……とりわけ、ここしばらく興味深いのは92年にフランクフルトで設立されたレーベル、インフラコムの動きだ。もともとはアブストラクトな流れにあるダウンテンポ作品などをリリースしていたが、コンポストなどの躍進によってジャズの文脈が盛り上がってくると、徐々にフューチャー・ジャズ周辺の音に重きを置くクロスオーヴァー・レーベルになっていく。実際にソナーのディクソンはタクシーのリミックスを手掛けているし、ジャザノヴァのロスコ・クレシュマンのユニットであるコスマがインフラコムと契約していたり、マイツはもともとソナーからリリースしていたり……などなどクリエイターの交流に伴うレーベル間の関係も密接である。片やソナーもこれまで設けていた8つのサブ・レーベルを統合し、統一ブランドとしてヴァラエティー豊かな作品を送り出しはじめたばかり。彼らのサウンドは時としてジャズに片足を残すこともしなくなり、ハウス、ラテン、R&B、エレクトロニカ、ダブ、アフロ……と多様化を極めている。それとシンクロして、ニュルンベルグのダウンテンポ/ラウンジ系レーベルであるステレオ・デラックスなども非常に近い文脈で語れるサウンドを数多く送り出すようになってきた。この後、インフラコムではタクシーの新作が控えていたり、ソナーもクララ・ヒル(ジャザノヴァやジョージ・レヴィンへの客演で人気のシンガー)のアルバムが秒読み段階だったり……まだまだドイツ産のクロスオーヴァー・ミュージックには旨味がいっぱいだ。(編集部) |
ドイツ・クロスオーヴァー、これがマスト!! その1
MEITZ 『Vertikal』 Infracom!(2003)
プロデューサー/キーボード奏者としてジャザノヴァ、ジョージ・レヴィンなどドイツ・クラブ・ジャズ・シーンの要人たちと何度も共演してきたフォルカー・マイツのファースト・アルバム。アフロ、ラテンとエレクトリック・ファンクが融合した美メロ揃いの一枚。(堀内)
AROMABAR 『Milk & Honey』 Infracom!(2002)
インテリジェントでモコモコ&ポコポコなサウンドがクールなアロマバー。流麗なヴォーカルを配したジャジーな2ステップから、ラウンジ・テイストのハウス曲までバランスのとれた構成の本作は、お洒落さんが身体を揺らすセカンド・フロアで機能しそうな逸品。(出嶌)
TAXI 『Blue Zero One』 Infracom!(2001)
デトロイトやアフリカやフィリーを経由する超遠距離タクシー。いまやインフラコムを代表するユニットとなった彼らの2作目は、テック・ハウス調の“City Wanderer”で神秘的に滑り出す、ロマンティックなフューチャー・ソウルの傑作。間もなく新作もリリース予定とか!(出嶌)
GEORG LEVIN 『Can't Hold Back』 Sonar Kollektiv(2003)
“When I'm With You”で注目を集めたジョージ・レヴィンのアルバム。ブルーアイド・ソウル〜AORノリの薄すぎず濃すぎない歌唱に端正なトラックが寄り添う。仕掛人はマイツとジャザノヴァのアクセルで、間口が広く奥も深い名作。若人は踊り、オッサンは昇天!?(高橋)
TRIO ELETRICO 『Echo Parcours』 Stereo Deluxe(2003)
ニュルンベルグで活動するブーズー・バユーのメンバー、ピーター・ヘイダーを中心にアーバン・ダブ(?)を生み出す3人組。ジャケから連想できるオモチャっぽさは皆無! アダルトなヴォーカル曲や緻密でジャジーなダウンテンポが心地良い。(出嶌)
MO' HORIZONS 『...And The New Bohe-mian Freedom』 Stereo Deluxe(2003)
ステレオ・デラックスの看板デュオ、3作目。曲名どおりドラムンベース&ブーガルーの“Drum 'N Boogaloo”や、シタールを用いた“Morning Bay”、サウダージな“Come E Or”など、のんびりした幸福感に溢れた色合いの豊かさは彼らならでは。(高橋)
BEAT CLUB 21 『Mobile Wellness』 Infracom!(2003)
傑作コンピ『[re:jazz]』で生音に目覚めた(!?)インフラコムが送り出した9人編成バンド、ビートクラブ21。ジャズ、ブレイクビーツ、ボッサといった、いわゆるオシャレアイテムの必須要素がすべて入った〈生クラブ・ジャズ〉。バンドです、ってところが重要。(堀内)
|
ドイツ・クロスオーヴァー、これがマスト!! その2
VARIOUS ARTISTS 『[re:jazz]』 Infracom!(2002)
コスマやタクシー、クリーヴランド・ワトキスらがインフラコムから放った楽曲を、主にジャズ畑の演奏家やシンガーたちが生でカヴァーするというおもしろい試みの一枚。ネイサン・ヘインズ、ジョイ・デナラーニ、ティル・ブレナーらが参加した上質な一枚です。(高橋)
HACIENDA 『3rd Door Left』 Infracom!(2000)
ハートハウスからデビューしたヴェテラン・コンビ、ハシエンダ。以前はトリップ・ホップ風の雰囲気だったが、本作では時代の要請もあってか、躍動的なバンド・サウンドに大きくシフト。イアン・オブライエンなどにも似た電気ジャズ・サウンドがディープ。(高橋)
MICATONE 『Is You Is』 Sonar Kollektiv(2003)
ソナー・コレクティヴからデビューした、スタイリッシュなクラブ・ジャズ・バンド、ミカトーン。リサ・バッセンジのソフトなヴォーカルが心地良く、印象的。ジャイルス・ピーターソンやジャザノヴァら人気DJからの支持も熱い、ドイツ・ジャズ・シーンの人気者。(堀内)
FORSS 『Soulhack』 Sonar Kollektiv(2003)
ジャザノヴァに見い出された、超強力新人。すでに一部のリスナーの間では話題を集めていたフォースのファースト・アルバム。ジャズやソウルのフレーズを次々にサンプリングして組み立てられたトラックは、ヒップホップ感覚なのにジャジー。末恐ろしい才能の誕生!(堀内)
VARIOUS ARTISTS 『Sonar Kollektiv』 Sonar Kollektiv(2003)
ソナー・コレクティヴの2枚組コンピレーション。ジョージ・レヴィン、ミカトーン、フォース、メイツ、スロープなど、レーベル・オールスターズ大集合。ディクソンとジャザノヴァがそれぞれコンパイル。改めてこのレーベルの音の幅広さに驚き!(堀内)
TRUBY TRIO 『Elevator Music』 Compost(2003)
コンポストの看板ユニット、トゥルービー・トリオ。これまで数々のシングル・ヒットを放ってきた彼らが、満を持してリリースした初のアルバム。常にこのシーンをオリジナルな音でリードしてきた彼らだけに、貫禄すら感じる内容。大ヒット曲“A Go Go”収録。(堀内)
SLOPE 『M』 Sonar Kollektiv(2003)
ベルリン中心に90年代半ばから活動しているユニット、スロープ初のアルバム。2001年の“Para Los Pinchas”やアットジャズのリミックスも話題となった“(Trust)The Universe”などソナー契約後の活動を集約したような一枚で、ブロークン・ビーツ的なグルーヴがスタイリッシュ!(出嶌)
|
この記事を flogに追加
この記事をはてなブックマークに追加
|