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第55回 ─ 初共演を済ませたHALCALI×宇多丸師匠(RHYMESTER)鼎談をレポート!


掲載: 2004/11/25

ソース:『bounce』誌 260号(2004/11/25)

文/土屋 恵介




――まずは、宇多丸さんがHALCALIのセカンド・アルバム『音樂ノススメ』で初フィーチャリングとなったきっかけを。

 宇多丸(以下、宇)「大阪でNIGOさんのパーティーがあったんです。背の高い、年収見分けられそうな女がいっぱいいる、イケすかないVIPルームだったんですが(笑)。そこでRYO-Zから今回の話があって、最初は断ったの。それはリスナーとしてもHALCALIのこと好きだったし、身内のKOHEI(JAPAN)がやったのよりもうまくできない。恐れ多くてできんと。オレとかじゃなく、般若をプッシュしたの。それくらい意外なほうが良いよって」
KOHEI JAPANの2003年作『FUNKY 4 U』(NEXT LEVEL)

YUCALI(以下、Y)「もし、私たちと般若さんだったら凄いギャップですよね(笑)」

 「そのあと、田中(知之)さんのトラック聴いたらかっこ良くて、これでラップしたいなと思ったんだよね。でも、リリックをKOHEIみたくうまく書き分けできないから、2人に〈君ら、書く気ない?〉って訊いたら〈やりたい!〉って」

 ――それでこの“若草DANCE”で初リリックを書いたと?
般若のソロ・アルバム『おはよう日本』(FUTURE SHOCK)

Y「前からやりたかったけど、自分でいうのは恥ずかしいし。だから、言ってもらって良かったです」

 「でも、出来上がったの見てビックリした。思った以上にできたね。初めて書いたのにこのレヴェルって凄いよ。天才!」

 HALCA(以下、H)「宇多丸さんが、添削してくれるっていってたから、安心してできたんです」

 「でも書いてる時は辛かった?」

 Y「韻踏むのとか大変で。でも思ってるよりは大丈夫でした。短くて良かった」
HALCALIのセカンド・アルバム『音樂ノススメ』(フォーライフ)

「平気でしょ、8小節なんて」

 Y「リリックの内容も、特に意味ないですもんね(笑)」

 H「私書き始めたのがギリギリだったから、もっと早く始めれば良かったなって」

 「プロもそんなもんだよ。皆ギリギリ。録りのスタジオで書いてる時もあるし(笑)。でもね、書き始めるまでの時間は無駄じゃないんだよ。そのぶん、成長してると」
“想い出がいっぱい”を収録したH2Oのベスト盤『ゴールデン☆ベスト』(ユニバーサルJ)

H、Y「オッ、大人の男〜!」

 「なんだよ、それ(笑)。でもほとんど直してないよ。〈シュティール〉ってなんだ? ドイツ語かよ! 〈ワッフルでもどうぞ〉か、これ良いなって感じで。レコーディングもほとんど一発。凄い!」

 ――大絶賛ですね。実際レコーディングはどんな雰囲気だったんですか?

 「スムーズでしたよ。勘がいいというか、早い。トラックがディスコ調だし、じゃあ頭にパーティーっぽい煽りのしゃべり入れようってことになったんだけど、それもサクッとやっちゃいますから」
“BABY BLUE!”の元ネタを収録したBOO/WYの『BEAT EMOTION』(東芝EMI)

H「テンション上がりました。3人でブース入ってやったんですよ。ああいう煽りってRHYMESTERでもやってるじゃないですか。〈あ、本物だ、隣で歌ってる!〉って思いました(笑)」

 Y「あれが一番楽しかったなー。そのあと焼肉食べに行きましたよね(笑)」

 「早く終わったからね。ほんと、その場のノリでもできちゃうから。生々しい感じ入ってるよね。でも、苦労するかと思ったけど、いざ歌い出したら〈お、HALCALIだよ!〉って。今までは、周りの人のおかげでHALCALIの色が作られてると思ってたけど、もう自分たちで色を出せる力が培われてるんだね。2人も、大人のアーティストの階段昇ってるわけよ」

 H、Y「おとなのかいだんの〜ぼる〜♪」

 H「あとラップの間にも、私たちの声が入ってて。仲良さげな感じですよね」
Nathalie Wiseの最新作『raise hands high』(FIVE D)

Y「しかもこの曲、今までにないテンションでやったんですよ、初めてのギャル風で」

 「あまりにいままでのHALCALIにない色出しすぎちゃって、なんだかわかんなくなっちゃって(笑)。前の曲が谷川俊太郎先生の“芝生”だから、この曲で一気に頭悪くなる(笑)。その感じがいいんだよね。でも“BABY BLUE!”はカッケーな。今回のアルバムも全部良いよ」

 ――“若草DANCE”ってタイトルにしたのは?

 Y「〈萌え〜〉ですよね(笑)」

 「〈萌え〉を歌詞に入れようって話してて、でもやめたんで、歌詞にある〈若く、さあ、ダンス〉のダジャレですよ。そういえば、BIKKEさんが初めて〈萌え〜〉の感覚を知ったんでしょ?」

 Y「〈Mステ〉の後に〈萌えでしたか?〉ってメールしたら、〈うん〉って(笑)」

 「あと、2人は〈ゲボ・ブーム〉でね」

 ――え? 〈ゲボ・ブーム〉って?

 Y「〈ゲボ〜〉って言うんですよ(笑)。歌詞に入れようとしたけど、でもリリースされた頃に冷めてたらイヤだし、それもやめたんです」

 「でも世間的に〈ゲボ・ブーム〉来てないから新鮮かもよ(笑)。じゃあ、まだ熱かったら〈ゲボ〉いこうよ」

 H「その時は、宇多丸さん、また一緒にやりましょう! あと、〈萎え〜〉も」

 「それ良い! でも、最初でこれだけ書けたんだし、もったいないからリリックは書き続けたほうが良いよ。じゃあ次は〈ゲボ萎え〉でいこう!(笑)」

 H、Y「ハーイ!!」

 
HALCALIのファースト・アルバム『HALCALI BACON』(フォーライフ)
RHYMESTERの最新作『グレイゾーン』(NEXT LEVEL/キューン)



文/内田 暁男

豪華参加人の手腕によって華麗な七変化が盛りだくさんの『音樂ノススメ』! 今度の着せ替えはこ〜んな感じ

 O.T.Fによる“INTRODUCTION”に続いて登場するのはTOTEM ROCK。かせきさいだあ≡が妄想フル回転の作詞を手掛け、木暮晋也が80'sディスコ・マナー全開のシンセ&ビートに甘酸っぱいメロを絡ませる“フワフワ・ブランニュー”は放課後な雰囲気。元SBKのShun&Shuyaから成るLOW-CUT productionsは哀愁たっぷりの“晴れ時ドキ”を提供し、大人のHALCALIを引き出す。スキマと奥行きのあるトラックのうえにボッサ・ギターが絡む構成がサウダージなムードを醸しちゃうので、涙腺の弱いアナタは注意! そんなセンチメントの真逆をいくのがDJ TASAKAといしわたり淳治(SUPERCAR)が手掛けた“OBOROGE COPY VIEW”。硬質なミニマル・テクノの上で脳天気にリフレインされる声に耳を澄ますと……最近各社が撤退を表明したある〈フォーマット〉が容易に連想される挑戦的な言葉たちが聴こえます。Spanovaが極上チルアウトなトラックを作り、あの詩人・谷川俊太郎がヤッバイ脳内宇宙を開陳する“芝生”は本作のハイライト。YO-KING作曲、YUKI作詞の“伝説の2人”はHALCALI史上貴重な完全歌モノで、HONESTY(會田茂一&高桑圭)によるカントリー調のアレンジが異常に渋いんだけど、それをハーモニーもバッチリに歌いこなしちゃってるんだからHALCALI恐るべしだよホント。

 ▼『音樂ノススメ』に参加したアーティストの作品。
RIP SLYME『MASTERPIECE』(ワーナー)
TOTEM ROCK『TOTEM ROCK ep』(NATURAL FOUNDATION)
SBK『RED FLASH』(ORGA-NON)
DJ TASAKA『DJ TASAKA present Mix of Colors』(キューン)


スーパーカー『ANSWER』(キューン)
Spanova『Fictional World Lullaby』(felicity)
YO-KING『音楽とユーモアの旅』(キューン)
YUKI“ハローグッバイ”(エピック)


HONESTY『HONESTY』(WIN)
M-flo『ASTROMANTIC』(rhythm zone)
Fantastic Plastic Machine『ZOO』(cutting edge)

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