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第58回 ─ 東京が世界に誇る、東京スカパラダイスオーケストラの軌跡!!


掲載: 2005/03/10

ソース:『bounce』誌 262号(2005/2/25)

文/bounce編集部



1989年
89年作『東京スカパラダイスオーケストラ』(エピック)

 85年より活動を開始した東京スカパラダイスオーケストラ(以下:スカパラ)は、この年に初音源となる『東京スカパラダイスオーケストラ』をアナログ盤でリリース。翌90年にメジャーよりCD化された。

谷中(敦、バリトン・サックス)「この時がレコーディング初体験だったね。3日で5曲録ったっけ?」 

川上(つよし、ベース)「3日で6曲だよ」 

谷中「そうそう。今とやってること変わんないよな(笑)。今でもDJやる時にかけたりするんだけど、〈よくやったよなぁ〜〉って思うアルバム(笑)。あの時確かレコーディングなのに、カッコつけた洋服着て行った気がする(笑)。あと、ASA-CHANG(P37のインタヴューもチェック!)が〈トイ・ドラム〉って変なドラムを組んで叩きまくってたな」


1990年
90年作『スカパラ登場』(エピック)

 この年にメジャー契約。初のフル・アルバムとなる『スカパラ登場』をリリースした。ライヴでもお馴染みの“MONSTER ROCK”を含む13曲を収録。

川上「何も気負ってはなかった。だけどまず最初に〈CDかよっ!!〉ってみんな思ったよね?」 

谷中「あ、それはあったね」 

川上「その頃CDデッキを持ってるメンバーがいなかったし、〈なーんだ、CD出すのなんかつまんねぇ!〉って。だから、最初は結構テンション低かった(笑)」 

谷中「“MONSTER ROCK”録ってるときのマーク(林)のギターが凄かったのをいまでも強烈に憶えてるよ」



1991年
91年作『ワールドフェイマス』(エピック)

 この年、3枚目のアルバム『ワールドフェイマス』をリリース。また、スカパラ初となる武道館公演(写真右)にて10,000人を動員したライヴを成功させている。

川上「このアルバムは全員が曲作りに参加してる。ただ、いま思えば音楽性を広げすぎた」 

谷中「いろんなことに挑戦してた時期だよね。吉本新喜劇とジョイント・ライヴしたり、ツアーでフランスに行ったのもこの頃だっけ?」 

川上「そう。あと武道館ライヴも。俺は武道館でライヴやるのって、ロック・バンドみたいで当時はすごく嫌だったんだよ(笑)」 

谷中「そういうこと言うあたり、川上らしいよ」


 フリッパーズ・ギターの“クールなスパイでぶっとばせ”(90年作)のライヴ・テイクでは、スカパラ・ホーン隊がクール&スリリングに客演。
フリッパーズ・ギターのベスト盤『COLOUR ME POP 〜カラー・ミー・ポップ』(ポリスター)



1993年
93年作『PIONEERS』(エピック)

 この年にリリースされた4枚目のアルバム『PIONEERS』を最後に、バンマスだったASA-CHANGが脱退。それ以降、各々が場面ごとにリーダー的役割を果たすという現在のスタイルを確立することに。

川上「前作の反省を踏まえて、このアルバムではもう一度自分たちがやりたいことを絞り込んだ感じ」 

谷中「ASA-CHANGの脱退もあったんだけど、レコーディングそのものはすごく充実してた。そういえば俺、このアルバムで初めて歌を歌ったんだよな」 

川上「ああ、“Sweet Peach Qween”ね」 

谷中「今聴くとアルバムのなかで思いっきり浮いてるんだけどさ(笑)」 

川上「浮いてるねえ(笑)」



1994年
94年作『FANTASIA』(エピック)

 “HAPPY GO LUCKY”がスマッシュヒットを記録。その勢い冷めやらぬなか、5枚目のアルバム『FANTASIA』がリリースされた。

川上「音の録り方とかにめちゃくちゃハマってた時期だよね。リミッターとか大好きだったし。俺のなかでは〈リミッター時代〉って呼んでるんだよ(笑)」 

谷中「本当にいろいろ試してたね」 

川上「いまだにライヴでも演奏してる“Moments In Heaven”とか、録り終わったあとにディレクターの名村(武)さんやエンジニアの加納(直樹)さんと一緒に〈歴史的な音が録れた!〉って大喜びした記憶がある!」



1995年
95年作『GRAND PRIX』(エピック)

 当時フロントマンであったギムラこと故・杉村英詩の療養中に制作された通算5枚目のアルバム『GRAND PRIX』。小沢健二、キミドリ、石川さゆり、竹中直人、高橋幸宏、スリラーUなどを招き、豪華客演陣とスカパラ・サウンドの融合が聴ける貴重な一枚。

谷中「年末のツアーでムッシュ(かまやつ)とか(高橋)幸宏さんたちと共演する機会があったんだよね。そういう流れもあってコラボレーション・アルバムを1枚作ろうって」 

川上「なかでも俺はスリラーUの歌の上手さに感動した。あれ聴いて〈負けてられないな〉って思った」 

谷中「スリラーUと演った曲は、俺もいまだにDJでかけてるよ」 

川上「バーナード・パーディーとのセッションも忘れられないな」



1996年
96年作『トーキョー・ストラット』(エピック)

 この年にリリースされたのが6枚目のアルバム『トーキョー・ストラット』。ケン・イシイ“EXTRA”の超絶人力カヴァーや、YMO“SIMOON”のカヴァーなど聴きどころの多い作品。

谷中「ケン・イシイとコラボレーションしたり、この頃はまたいろんなことを試しはじめた時期だったかもしれないね」 

川上「YMOの“SIMOON”もカヴァーしてるし。まあ、これは俺と青木(達之)がヘヴィーなYMOオタクだっていうことも大いに関係してるんだけど(笑)」 

谷中「“STARLIGHT EXPRESS”や“YOU DON'T KNOW(WHAT SKA IS)”とか個人的にも馴染み深い曲が多いね」



 スカパラのほかに、ASA-CHANG、スチャダラパー、桜井秀俊(真心ブラザーズ)らが参加したブロンソンズ(みうらじゅんと田口トモロヲのユニット)のファースト・アルバム(97年作)。ここでご一緒した真心のデビュー15周年を記念したカヴァー・アルバムで、スカパラは“STONE”を粋にカヴァーしてます。
ブロンソンズのベスト盤『スーパーマグナム』(LD&K
2004年発表のHALCALI、奥田民生、忌野清志郎、PUFFYらも参加した真心ブラザーズのカヴァー・アルバム『真心COVERS』(キューン)



1998年
98年作『ARKESTRA』(cutting edge)

 この年にレーベルを移籍し、杉村ルイ(元ザ・ヘアー)をヴォーカルに迎えて7枚目のアルバム『ARKESTRA』をリリース。シングル“愛があるかい?”“Dear My Sister(Album Version)”を含む12曲を収録。

川上「やっぱりバンドにレギュラーのヴォーカリストがどうしても欲しいっていうので、声をかけたのが(杉村)ルイ」 

谷中「ルイの加入で作風もかなり変わったよね。前の『トーキョー・ストラット』はほぼインストがメインだったのに、このアルバムでは半分ぐらいがヴォーカル曲になってるし」 

川上「グループ内でも、最近すごく再評価されてるアルバムでもあるんだよね」 

谷中「移籍一発目で気合いも入ってたしな」



 87〜91年までザ・ヘアーのヴォーカリストとして活躍した杉村ルイは、ギムラ(95年死去)の実弟であり、98年にスカパラ加入(同年脱退)。アルバム『ARKESTRA』は、ルイがスカパラ在籍時唯一の作品。以降、自身が主宰するレーベルよりソロ作を発表する。
Luiの2002年作『Where does a Bluebird fly?』(B BIRD)
Luiと旧友たちによるコラボレーション・アルバム『Independence Day』(B BIRD)



 98〜99年にかけて行われたツアー映像に加え、メンバーのインタヴューを盛り込んだ映像集。レーベル移籍、杉村ルイの加入/脱退、ドラマー・青木達之の不慮の死(99年)……さまざまな苦難を乗り越えるメンバーの姿が記されている。
DVD「SKA EVANGELISTS ON THE RUN 〜TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA 1998-1999」(cutting edge)



 スカパラ、ファンタスティック・プラスチック・マシーン、サワサキヨシヒロなどが集結した総勢14人からなる音楽集団SPEED KING。この面子からもわかるように、スカ、ジャズ、パンク、80'sディスコ調の曲があったりと、音楽性は実に賑やか。ディープ・パープル“Smoke On The Water”の自由奔放なカヴァーが白眉。
SPEED KINGの2000年作『SPEED KING』(cutting edge)


メジャー・デビュー15周年の年に、彼らが提示する『ANSWER』とは!?

2000年
2000年作『FULL-TENSION BEATERS』(cutting edge)

 この年に発表された8枚目のアルバム『FULL-TENSION BEATERS』は同年にヨーロッパでもリリースされた。それを受けて、5か国(イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ)を12日間・11本のライヴで駆け巡るなど、海外での活動も本格化していく。

川上「このアルバムから基本的に一発録りを採用するようになったんだよね」 

谷中「〈転がれるだけ、転がろうぜ!〉みたいな。勢い最重視のレコーディングだった」 

川上「このアルバムから欣ちゃん(茂木欣一)がドラムを叩いてるんだけど、彼の加入もかなりデカかったし、俺のなかでは〈欣ちゃん以前/欣ちゃん以降〉って意識が完全に分かれてるんだよね。ある意味、今のスカパラの出発点になったアルバムだと思う」



 椎名林檎“真夜中は純潔”の後ろでダイナミックなホーンを聴かせていたのもスカパラ。
2001年作の椎名林檎のシングル“真夜中は純潔”(東芝EMI)



 川上つよしを中心にLITTLE TEMPOやRocking Timeのメンバーなど、スカ、 ロックステディ、レゲエなどのルーツ音楽をこよなく愛する熱い男たちによって結成されたユニット、川上つよしと彼のムードメーカーズ。2001年作『Moodmakers』ではボビー・コールドウェル、ホール&オーツの楽曲をカヴァー。2作目『moodmaker's mood』では古内東子、武田カオリ(TICA)、高橋幸宏らを迎えた極上のロックステディを聴かせてくれる。
川上つよしと彼のムードメーカーズの2001年作『Moodmakers』(cutting edge)
2003年作『moodmaker's mood』(cutting edge)



2002年
2002年作『Stompin' On DOWN BEAT ALLEY』(cutting egde)

 男性シンガーをフィーチャーした歌モノ三部作(田島貴男との“めくれたオレンジ”、チバユウスケとの“カナリア鳴く空”、奥田民生との“美しく燃える森”)を経てアルバム『Stompin' On DOWN BEAT ALLEY』をリリース。

川上「〈歌モノ三部作〉をやるって話が上がったときはメンバー間でも喧々諤々だったんだよね」 

谷中「でも結果的にやって良かったと思うよ」 

川上「聴いてくれる人の層も一気に拡がったし」

谷中「スカパラの曲を聴いて、〈あ、スカってこういう音楽なんだ!〉って初めて知った人も結構いたんじゃないかな」 

川上「スタンダードな曲が揃っていて客観的に見てもいいアルバムだと思う」 

谷中「すごく聴きやすいしね」



 2000年秋の〈Justa Night〉でのセッションをキッカケに結成された、スカパラのキーボーディスト、沖祐市と、サックス奏者の田中邦和の2人によるデュオ・バンド、Sembello。デビュー作『Sembellogy』の表題曲に、田中知之(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)が惚れ込んで、“City Lights”(2001年作『Contact』に収録)を共作したという話は有名。最新作『the second album』では安藤裕子、中村達也(LOSALIOS)らを迎えて、香り立つ極上のジャズを聴かせてくれる。
Sembelloの2003年作『Sembellogy(cutting edge)
2004年作『the second album』(cutting edge)



2003年
2003年作『HIGH NUMBERS』(cutting edge)

 TVドラマのタイアップ曲“銀河と迷路”“A Quick Drunkard”を含む14曲が収録された通算10枚目のアルバム『HIGH NUMBERS』をリリース。

谷中「このアルバムの取材のとき、しきりに〈コンセプトはノー・コンセプト〉って言ってた記憶がある(笑)」 

川上「改めて〈スカ〉っていうものを意識したアルバムだよね。前作で振り幅を広げたぶん、スカパラ本来のコアな部分をグッと全面に押し出した感じ」 

谷中「歌モノの“銀河と迷路”も外部のヴォーカリストを呼ぶんじゃなくて、メンバーの欣ちゃんが歌ってたり、すごく〈自力感〉のあるアルバムだと思う」



2005年

 前作『HIGH NUMBERS』のリリース以降、延べ11か国、157公演、平均4、5日に1度の割合でステージに立つという、若手パンク・バンドも真っ青なアンビリーヴァブルかつアンストッパブルなライヴ活動にひたすら没頭してきたスカパラ。

  「意外にシーンが定着してるのはスイス。若手のスカ・バンドもたくさんいましたしね。アムステルダムは年齢層も幅広くて、ジーッと見てるご年輩もいれば、前のほうで大暴れしてる若いコもいたりして」(川上つよし、ベース)。

  「ウィーンのノリとかは独特なんだよね。歴史の重みを感じるっていうか、パンキッシュなんだけど、すごくデカダンなんですよ(笑)」(谷中敦、バリトン・サックス)。

 ある時は〈クールでオリジナリティー溢れるTOKYO発のスカ・バンド〉として、またある時は〈とびきりルードな演奏を聞かせる10人のジャパニーズ・ヤクザ〉として各国メディアの賞賛を一様に浴びつつ、持ち前の男気溢れる演奏で世界中のスカ・シーンを次々とロックし続けてきた彼ら。今回リリースされる11枚目のアルバム『ANSWER』にも、スカパラがこの2年間で改めて培ってきたライヴ・バンドとしての自信と矜持がハッキリとした形で反映されることとなった。

  「今回のアルバムって、まさにライヴを通じて作り上げていったような作品なんですよ。まずライヴで演奏して、お客さんの反応を見ながら徐々にアレンジを固めていくっていうやり方をとっていて」(川上)。

 フロアが大爆発するサマが思わず目に浮ぶド熱いキラー・チューンから、酸いも甘いも噛み分けた彼らだからこそ鳴らすことのできる苦み走ったジャジーなナンバーまで。60曲にも及ぶ莫大なストックの中から、吟味に吟味を重ねたうえで選ばれた全14曲。選曲の基準は、今回どのあたりに置かれていたのだろう?

  「選曲の基準は、強いて言うなら〈胸を張って演奏できるかどうか〉。単にライヴでウケがいいとか悪いとかとは、また違うレヴェルなんですよね。アメリカで演ろうがヨーロッパで演ろうが、同じように〈どうじゃ!〉って胸を張れるような曲を選びました」(川上)。
東京スカパラダイスオーケストラのニュー・アルバム『ANSWER』(cutting edge)

 また『ANSWER』という、そのものズバリなタイトルには、こんな思いが込められているのだとか。

  「今回は、ドラマの主題歌であるとか、いわゆるわかりやすい売り文句がないじゃないですか。そのぶん核になる部分がよく見えると思うし。だから、あえて内容そのものからスカパラっていうバンドの本質的な魅力を感じとってもらえたらいいなって」(川上)。

  「あらかじめ自分のなかに、しっかりとした〈答え〉を持ってる感じというか。たとえ不完全だとしても、自分のなかにある答えを胸を張って相手に堂々と提示する姿勢。それが『ANSWER』ですよね」(谷中)。

 そして僕らも、こんなにも素晴らしいスカ・バンドが日本に存在しているということを胸を張って堂々と世界に誇ってもいいはず。ていうか、むしろ存分に誇るべきでしょ!(望月 哲)



http://www.skapara.net/

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Tracked on 2005年7月20日 15時30分
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Tracked on 2005年3月26日 23時25分

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