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第23回 ─ 「魔法先生ネギま!」主題歌、D-51、YUKIの3枚を分析!


掲載: 2005/07/03
更新: 2005/07/05

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN、SPANK HAPPYなどの活動や、UAやカヒミ・カリィ他数多くのアーティストのサポート、また文筆家としても知られる邦楽界のキーパーソン、菊地成孔が、毎月3枚のCDを聴いてレビュー。そしてそのCDの4週間での売上枚数を徹底予想します!

文/菊地 成孔



 ああ〜。ダル〜。冷房風邪ひいちゃいましたよ〜。おっかしいなあ。まるで香港の人みたいに冷房大好きだったのにな〜。ダル〜。寒〜。食欲無え〜。性欲無え〜。アイスしきゃ喰いたく無え〜。ガーリガーリくんガーリガーリくん。

 菊地さま

 お〜。Hくう〜ん。すまん今日ばっかりは「うわあ!Hくんじゃないか!」とか驚く元気が無くてね〜。

 お世話になります、Hです。

 う〜ん。どうせまたハズれでしょう〜。単行本化が決まって盛り上がってるのにさあ〜。これまでの全答え合わせ見たらさすがにオチたよ〜。うふふふ……うふふふふふふ……はあ〜。

 梅雨なのに雨も降らず深刻な水不足の予感が漂っておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

 ご覧の通りですよ〜。マフラー巻いてコート着て歩いてるから、みんながジロジロ見てさあ〜。そんでコートが鋼鉄みたいに重いから、10歩進むたびに座り込んでんだよ〜(笑)。何やってんかわかんねえよ〜。自分で〜。

 梅雨が苦手なくせに亜熱帯に憧れがある私は、理想的な季節が訪れたと日々快適に暮らしております。

 何か今日はH君の深いところ見た気がするな。いきなり。90年代に執着があるだけじゃなく、亜熱帯に憧れがあるのか。

 早速ですが、答え合わせに入らせていただきます。

 う〜ん。ダルいな〜。ダルいときは思いっきりダルそうな顔すると楽になるって赤瀬川原平が言ってたから、今、すんげえダルい顔してま〜す。

 
■HIGH and MIGHTY COLOR “OVER”
予想枚数 110,000枚 → 売り上げ枚数 31,096枚

■一青窈 “影踏み”
予想枚数 110,000枚 → 売り上げ枚数 56,593枚

■nobody knows+  “メバエ”
予想枚数 110,000枚 → 売り上げ枚数 35,622枚
  ※オリコン調べ

 またしてもハズレました……。というか、全て11万枚というのはやはり無謀であります。これ言っちゃっていいのかどうかわかりませんが、3万枚前後の数字を出しておけば大体当たるんじゃないかなんて思ったりしております。今後は、そのあたりの数字を狙って出していただけますと当たる可能性がグッと上がるのではないでしょうか。

 わかったよ。もう今回はコメント無しで全部3万にしよう。ね?どうかな?単行本化も決まったしさ〜。いつもハイテンション過ぎるって言われるから〜。たまにはこんな回もさあ〜。ねえ?どうかね〜

 あら、シカトかよ(笑)わかったよお〜。

・ネギま!
 TV東京のアニメ番組「魔法先生ネギま!」(6月29日で放送は終了)のオープニング曲であります。毎月同じ曲を、複数のアニメキャラ役の声優がヴォーカルを替えて歌うというコンセプトになっておりまして、発売される度にオリコンチャート上位を記録しております。ネット上では、菊地さまが〈「ネギま!」(およびそのファン)をおとしめるような発言をしている〉といった誤解を生んでいるようですので、その点を本稿で正していただけますとよろしいのではないかと思われます。

・D-51
 〈沖縄出身、ストリート発、「ごくせん」主題歌〉と、ヒットの要素が揃ったシングル“NO MORE CRY”が、約40万枚の売り上げを見せた2人組ユニットであります。ORANGE RANGEを筆頭に、沖縄をルーツと感じさせない沖縄出身アーティストの進出が目覚しい昨今、彼らが今後どのような位置に属していくのか? というのは、非常に興味深い問題ではないかと思われます。

・YUKI
 昨年リリースしたアルバム『joy』がチャート初登場1位。武道館ライヴも成功に収め、バンド時代と同等、あるいはそれ以上の活躍ぶりを見せるYUKIであります。本作は、人気少女漫画「ハチミツとクローバー」のアニメ主題歌となっておりまして、ジャケットが同漫画の作者である羽海野チカ書き下ろしイラストであります。不用意なことは言えませんが、アニメとJ-POPの関係について分析していただけますと幸いであります。

 それでは、今月もよろしくお願いいたします。

 はあ〜い。じゃあすんませんダルダルでいきま〜す。

■麻帆良学園中等部 2-A(宮崎のどか、村上夏美、雪広あやか、四葉五月、Zazie Rainyday)“ハッピー☆マテリアル”

 
7月6日にリリースされる、「魔法先生ネギま!」主題歌“ハッピー☆マテリアル”

 ええ〜っとですねえ〜。先ずHくん。この曲をちゃんと“ハッピー☆マテリアル”と書かないで面倒がって“ネギま!”って書いてる段階で、アニソンファンの人に怒られると思いまあ〜っす(笑)。すんげ恐いんだからこの人達〜。みなさん僕がちゃんと正しい名前を書いておきましたからねえ〜。

 ええ〜っとお〜。Hくんが書いてる〈誤解事件〉について書きますとお〜。ってか、この話題ももう古いんですけどねえ〜。まいかー。僕、最近、TOKYO FMで「WANTED」っていう、週一の深夜番組始めたんですよお〜。それで、毎週シングルチャートのトップ10聴くんですよお〜(正直、しんどいんですよお〜。この連載は一年で36枚だったでしょ?一気に一週で10曲。になっちゃったんでえ。もう、ちょっとした〈チャートに詳しい人〉ですよお〜)それで、この企画ね〜。アニメのテーマ曲で、声優さんが歌ってるんですけどお、ほぼ同じ歌を違うメンバー(いっぱい出てくるんですよお。キャラが)が歌って、つまりほぼ同じ曲が〈新曲扱い〉で、何週かおきにチャートに入ってくるんですよお。それで「面白れえ企画だな」とか「アニメ全然見ないからわかんないけど」とか「えーと。“ハッピー☆マテリアル”のCDどこにあったかな? ああ。あったあった。足の裏に(笑)」とかいうギャグを言ってたんですよお〜。ギャグですよ。正直どの曲もさあ〜、自分の曲もかけるけど、ギャグはどの曲でもみんな言うし、知らない曲は知らないって言って、別にアニソンだけ差別したんじゃないんですよお。

 でもお、何かあ、森山直太朗さんがFMで「早く消えて欲しいですね」とか、ものすんげえ事言ったらしくてえ〜(笑)、アニメファンの人が〈差別感〉に関して全体的に敏感になってた時期みたいでえ〜。僕が「アニソンを大馬鹿にした」つって2ちゃんねるで騒ぎになって(「CD踏みやがって」「馬鹿にしやがって」みたいなね)大量の抗議や恫喝のメールが来たんですよお〜。そういう感じです〜。アニメファンの皆さん。僕は差別してないですよ〜。よろしく〜。もうそんな話題も忘れちゃってると思いますけどね〜。

 てか僕はアニメファンが未だに差別されてるなんて思ってなかったんですよお〜。僕が学生の頃ははっきりと「アニメファンは汚く臭く気持ち悪く最低で死ねオマエラ」みたいな感じでした。確かに。でもそんなの20年前だしい〜。今はとっくにそんな差別無くなって、アニメはセールスもあるし、ジャパニメーションは日本が世界に誇る文化になったし、天下取ってると思ってたんですよ〜。そしたら全然そんな事無かったんですね〜。びっくりしましたよお〜。おっかなかったなあ〜。抗議のメール。「プロとして人として、きちんと仕事をしてください」とか「死ね!土下座しろ!謝れ!」とかね(笑)。100通ぐらい来ちゃってえ〜(笑)。

 それでね、これ知らない読者もいるだろうから書くけどお〜「日本のチャート番組はアニメソングを冷遇してる。チャートインしてもちゃんと流されないのは差別だ。差別撤廃のために、アニメファンは2ちゃんねるで大同団結し、発売日に一人買えるだけ買って、1位にすれば、さすがにシカトも出来まい」つて、一人が10枚とか15枚とか買って〜、実際2位までいったんですよお〜。すごいよねえ〜。組織票だよねえ〜。

 全然それで良いと思いますよ〜。どんな曲だって組織票だからね〜。今や〜。被差別感だって良いよねえ〜。黒人音楽だってそっから生まれたんだしね〜。あらゆる意味で新しいムーブメントですよお〜。同じ曲が何回も〈新曲だ〉つて入ってくるんだから。もう曲はすっかり憶えちゃいましたよお〜。実数は解りません。最高で2位だったから、今度こそ(せっかくだしねえ)1位取って欲しいですよね〜。そのときのアニメファンの皆さんの感じ(喜びのコメントとか)見てみたいです〜。まだアニメファンの皆さん、飽きてないよね?番組は終わっちゃったけど〜。アニメ文化ってのは「放送終了後にでっかい何かが起きるところ」ですからね。 今、初登場1位になるとしたら、そうだな〜。4万8千枚ぐらいかな〜。

 
■D-51 “ハイビスカス”

 
7月6日にリリースされるD-51のシングル“ハイビスカス”

 D-51さんには申し訳ないんですけどお〜。ちょっと話続けますね〜。その騒ぎの時にね〜。アニメファンの方々から〈アンチ ORANGE RANGE〉のメールが番組にい〜っぱい届いたんですよお〜。〈みかん〉とか〈れんじ〉とか、蔑称があるんですよお〜(笑)。そんで「何で? 何でORANGE RANGEをそんなに憎むの?」って番組で発言したらあ〜「要するにね、チャートの中で、ネギまとORANGE RANGEが闘ってるわけですよ(笑)」っていうメールが来たんですよお。番組にい。「そうか(笑)」って思ってえ〜(笑)。すんごい納得しましたよお〜。〈アニメ対沖縄〉(笑)。もっと言っちゃえば〈アキバ対沖縄〉でもいいけど(笑)。何かもう、戦国時代みたくなっててえ〜(笑)。ちっと興奮しましたよ〜。「赤勝て白勝て」みたいなね〜(笑)。

 今や〈沖縄〉は癒しの島歌でも何でもなくなったんで、それだけでもう、すんげえ嬉しいしい、最高です〜(笑)。ORANGE RANGEは音楽的にすんごく良いしね(どこがどう良いか、細かく誉めたら、反ORANGE RANGE派。から「何でそんなにORANGE RANGEばっかり誉めるんですか。パクリだし、歌が下手なのに」っていう抗議のメールが来たんですよお〜。僕が思ってたよりもずっとずっと、チャートミュージックのリスナーってのはイライラしてんだな。って思いましたよ〜)。ORANGE RANGEが、如何に「今のところ唯一の〈ニュータイプ〉として凄いか」って話は、連載の単行本化の際の特別対談(僕とHくんの・笑)で詳しくやってますからあ。発売をお楽しみに〜。宣伝〜。

 というわけですみません横道逸れちゃってD-51さんでした。この人達を〜。そうだな〜「早くも〈沖縄っぽい沖縄〉の回帰が始まった」と考える人もいると思うんですけど、それ早計ですよねえ〜。歌詞もサウンドも「夏〜リゾート〜自然」っぽいんですけどお〜、僕全然沖縄には聴こえませんでした〜。これむしろKinki Kidsのサマーシーズンの曲に出てくる〈南の楽園〉みたいに現実感無いんですよお〜。ある意味あれですよ〜。ORANGE RANGEの方が、濃厚な沖縄ですよね〜。そういう意味ではD-51の〈架空の南の島〉っぷりは、ORANGE RANGEよりも脱沖縄だと思いますね〜。曲の強度は(作曲と作詞はまあ、無難ですが、全体を聴いた感じの)高く、若々しく爽やかだが、青臭い危なっかしさは無い。という、〈危なっかしさ/青臭さ〉の商品化が急速に定着している昨今、ちょっと古めかしくさえ聴こえちゃうんですけど、そんなのセールスの足引っ張るどころか、全国区的にはそのお陰で上げる地域のがまだまだ多いでしょうからあ〜、そうだなビッグヒットの後のシングルってのはあ、勢いに乗ってガンガン行く感じか、勢いに押されて苦しい感じかふたつに一つですよねえ〜。どうしよっかなあ〜。健やかで良い曲だと思いますよね〜。ん〜。ん〜。4万枚

 
■YUKI “ドラマチック”

 
6月29日にリリースされたYUKIのシングル“ドラマチック”

  Hくんは〈アニメとJ-POPの関係〉って言うけどお〜。〈声優が歌うアニソン〉と〈アニメの主題歌タイアップの、普通のバンド(歌手)の曲〉じゃ、アイテムとしてぜーんぜん違うんですよお〜。とはいえ、僕さっき書いた番組はじめて驚いたんですけどお〜、この国の〈トップ10〉に〈声優が歌うアニソン〉と〈アニメの主題歌タイアップの〜〉を連合にすると、〈連合5曲以内〉の週は一週もないんですよお〜。びっくりしちゃったなあ〜。ほんとにい〜。てか、そんなに複雑な関係性無いと思いますよ。この国はアニメと漫画とインターネットの国だから、アニメソングがいっぱい売れる。ってだけで、それ以上でも以下でもないでしょう。

 ってまあ、YUKIさんですけどお。アニメの主題歌かどうかはあんま関係ないんじゃないかなあー(少なくともそれでマイナスになることはないですし、タイアップ無くても、この曲は良いと思います)んで、この人は、これの前の“JOY”が、ものすげー。笑っちゃうぐらいに良い曲だったんですよお〜(チャートインしましたよ、勿論。オンエアで思わず全部聴いちゃった。良くて。はははは)。あと、これ、誹謗でもスキャンダリズムとして書くわけでもないから、また、書かないと批評になんないから書きますけどね、お子様を亡くしてますよね? これ、プリンスと一緒だと思うんだけど、なんていうかな、こういった、特にね、母性が漲りまくっている人にとっては、すさまじい苦しみですよ。想像を絶すると思います。僕の持論では、こういう強烈な苦しみをちゃんと乗り越えた人がショービズ界で売れなかったら天の摂理に反しますよ。今、聴きながら書いてますけどね、前の“JOY”のライブ・バージョンも含めて、なんちゅうかな、ものすごいオーラが漲ってるんですよ。僕は正直、JUDY&MARYっていうバンドが、あんまり好きじゃなかったんですよ(嫌いってほどでもなかったですけど)。声がキンキンしてていやだったんです。YUKIさんの声は音声解析的に言えばあの頃と何も変わってないと思うんですよお。でも、今聴いてもぜんぜんキンキンうるさくないです。すごく強くて柔らかくて優しい声に聞こえるんですよお。僕は最初、「まあ、いろいろあったんだろーな」ぐらいにおめでたく考えてたんですよお。お子様を亡くしたと知ったのは、実は一昨日なんです。

 この“ドラマチック”は、前の“JOY”の良さ。の正反対の良さ。っていうかあ、ストレートでピュアなロックナンバーで、バンドサウンド+ストリングスっていう、もう王道ですよ。曲もすごく良くできてます。この人のソロに入ってからの曲の構造は緻密になってて、技巧的っていうかな。大人なんですよ、結構。1ミリずつ1ミリずつね、元気いっぱいのYUKIちゃんが、大人になって行く。いろんな事があってね。それが音にしっかりと現れてます。もう泣きそうですよ。ハズれても良いですよ。10万枚です。

 ▼菊地成孔関連作品を紹介
5月2日にリリースされた菊地成孔のセカンド・ソロ・アルバム『南米のエリザベス・テーラー』
3月23日にリリースされたDate Course Pentagon Royal Gardenのライヴ盤『Musical From Chaos 2』(CD+DVDの初回限定盤)
3月23日にリリースされたDate Course Pentagon Royal Gardenのライヴ盤『Musical From Chaos 2』(CDのみの通常盤)
3月23日にリリースされたDate Course Pentagon Royal Gardenのライヴ盤『Musical From Chaos 2』(DVDのみの通常盤)


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