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掲載: 2005/07/28
ソース:『bounce』誌 267号(2005/7/25) |
過去に直接会ったすべてのミュージシャン、たとえば、ステレオラブ、
スティーヴィー・ワンダー、ヤン・ハマー、キース・エマーソン
などから、彼らが発見した新しい音楽的アプローチを聴かされるたびに驚愕するよ
文/モーギー・マン
ビートルズやビーチ・ボーイズ、エマーソン・レイク&パーマーをはじめ、近年ではステレオラブやマニー・マークなどに時代を超えて愛されてきたモーグ。正式には〈モーグ〉と発音されるこの電子楽器こそ、〈ルーツ・オブ・シンセ〉というべきもの。手作りで基盤をハメ込み、木目のパネルで組み立てるモーグは、コンディション次第で音が微妙に違ってくるという、アナログでハンドメイドな逸品なのです。そして、その生みの親といえばシンセ界のお茶の水博士ことロバート・モーグ博士。その博士とモーグを巡る奇妙で感動的なドキュメンタリー「MOOG〈モーグ〉」を観れば、世紀の発明を巡るおもしろエピソードがたっぷり楽しめます。たとえば映画のなかで「電子回路を感じる」とおっしゃっていますが、そこのところどうなんでしょうか、博士?
「私が設計した電子回路が機能しはじめた時点で、私自身は電子回路と一体となる。電圧と電流、電気信号が変化してどのように機能するかという事象を感覚的に共有するのだ。この感覚は私には現実のもの。この感覚を説明することは難しいが、〈熱い〉〈寒い〉といった感覚とは違って、電子回路の働き全体を自分自身の一部として確かに感じているんだよ」。
| | モーグ博士の半生と、キース・エマーソン、マニー・マーク、DJロジック、バーニー・ウォーレルなど、モーグにまつわるさまざまなアーティストが登場する、モーグの発展を追ったドキュメンタリーDVD「MOOG〈モーグ〉」(ナウオンメディア) |
この言葉を聞けば、博士が熟練した腕と経験を持つ職人として、モーグに携わってきたことがよくわかります。なんといっても最初に博士を有名にしたのは、大学生の頃に自家製の組立式テルミンを通信販売したこと。まさに筋金入りの技術者なのです。そんな博士が電子音楽に興味を持ったのは、前衛音楽家のコンサートで、〈芸術作品〉をパーカッションとして使用するパフォーマンスを観て衝撃を受けたからでした。
「それをきっかけに、従来のハーモニーやメロディーの概念に囚われない、新しい音楽に興味を持つようになった。なかでも電子音楽という新しいアプローチにね」。
試行錯誤の結果生まれたモーグ(64年誕生!)をカナダの電子音楽スタジオに運ぼうとして、国境で止められたこともあったとか。「新しい楽器なんだ、といくら説明しても理解してもらえなかった」らしいです。その後、鍵盤を付けることで、少しは楽器らしい表情を持つようになったモーグ。この名機が楽器革命を起こして、音楽シーンを変えていったのはご存知のとおり。「われわれが開発した楽器を使った、数々のミュージシャンによる新しい音楽的なアプローチを聴かされるたびに、私は彼らの能力に驚嘆するよ」なんておっしゃいますが、ミュージシャンのほうもモーグを作り上げた博士の才能にはタメ息をついていたに違いないですよ! では最後に、博士と機械との不 | | トータスやブーツィー・コリンズ、アルバム・リーフ、ディーヴォ、ステレオラブなどの楽曲を収録した「MOOG〈モーグ〉」のサントラ『Moog』(Hollywood) | 思議な関係を窺い知れる興味深いエピソードをひとつ。
「講演用テキストを飛行機の中でまとめていた時のこと。私のラップトップはすでに瀕死の状態だったが、その時、私は彼と話をした。〈この作業が終わるまでは、絶対に壊れてはいけない。私はこの機内で作業を終えることを約束しよう。だから飛行機を降りてからなら、おまえが倒れることを許すよ〉。私は空港に到着する少し前に、ディスクにファイルをセーヴして作業を終えた。そしてゲートを通り、到着ロビーの椅子に腰掛けたときに、私のラップトップが絶命していることを確認したんだ」。
さてモーグの響きは、あなたには何を語りかけますか? |
文/赤井 水生、モーギー・マン 歴史的大名盤、ド定番ナンバーのなかでもモーグはこんなに大活躍しているぞ!!
THE BEATLES 『Abbey Road』 CapitoI(1969)
ジョージ・ハリソンのソロ・アルバム(その名も)〈電子音楽の世界〉でも使用されていたモーグ。その奇妙な音色は本作でも登場、“Because”のコーラスに合わせてプレイされています。ジョージだけではなく、ポール・マッカートニーも電子音楽に興味を抱いていたのは有名な話。(モーギー)
THE BEACH BOYS 『Pet Sounds』 Capitol(1966)
ビーチ・ボーイズの大傑作もモーグをフィーチャー。モーグの誕生が64年だと考えるとかなり早い時期に採り入れていたわけで、さすがブライアン・ウィルソン、お目が高い。自転車のベルやチャイムといっしょに、〈十代に捧げる交響曲〉を美しく彩っています。(モーギー)
PERREY & KINGSLEY 『The Out Sound From Way In!』 Vanguard
ジャン=ジャック・ペリー、ガーション・キングスレー、ふたり合わせて通称〈ペリキン〉。90'sラウンジ・ブームの際に再発見された彼らがモーグの普及に果たした役割はあまりにも大きく、その存在はステレオラブやビースティ・ボーイズにまで影響を与えました。なかでも“Baroque Hoedown”は、ディズニーランド〈エレクトリカル・パレード〉の原曲として有名!(モーギー)
PARLIAMENT 『Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome』 Casablanca(1977)
パーラメントのPファンク宇宙にも、ピロピロでムニュムニュなモーグ・サウンドは不可欠! 名曲“Flash Light”のアレンジでも大活躍していますね!!(赤井)
PINK FLOYD 『Wish You Were Here』 CapitoI(1975)
60年代後半にかけて、ミュージシャンの間でグッと知名度を増していくモーグ。70年代はファンク/ソウルや、とりわけプログレのミュージシャンたちに愛されました。キース・エマーソンがモーグ愛好家なのは有名ですが、ピンク・フロイドも“Welcome To The Machine”などで使用、幻想的な空間を生み出しています。(モーギー)
STEVIE WONDER 『Innervisions』 Tamla(1973)
シンセをいち早く導入したり、新しもの&珍しもの好きなこの人がモーグに飛びつかないはずがないわけで。“Higher Ground”はじめ、そのワンダーな魔法にかかればどんな楽器の音色もただただ〈ポップ〉としか表現できなくなるのがワン&オンリーたる所以。(赤井)
矢野顕子 『ト・キ・メ・キ』 徳間ジャパン(1978)
日本代表はYMO!といきたいところですが、実は彼らより一足早くモーグを導入していたのがアッコちゃん。松武秀樹とのモーグ・ツイン使用なんて荒技からベートーヴェン〈第九〉のリメイク曲“ヨ・ロ・コ・ビ”まで飛び出し、この楽器の特性をフル活用した遊び心がたっぷり!!(赤井)
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