ホーム特集
Sandii

掲載: 2002/08/01
更新: 2002/08/08
ソース: 『bounce』誌 234号(2002/7/25)



突如、Jazztronikとのコラボレート作を発表したSandii。ハワイの素晴らしさをその歌声を通し、そしてフラを通して伝えてきた彼女がクリエイトする〈私にとってのハワイアン〉とは?

文/高橋 道彦




Sandiiの新作『TIKI TIKI』――そう言い切っては語弊があるのかもしれないけど、彼女の声が聞こえてきた瞬間、やっぱりそう思えてしまう。そんな〈Jazztronik feat.Sandii〉名義による『TIKI TIKI』である。なにしろ、ほんとに楽しい。それにしてもなぜ、Jazztronikこと野崎良太との共演になったのだろうか。

  「それはまず、これまでの活動のなかで、〈いったい自分のなかになにが貯まっていたんだろう?〉って試したい気持ちがあったんですよね。ある程度、発酵するまで待っていたんですけれど、たとえどんな人と組んでも、自分らしさが出てきていい歳なのかなと思って(笑)。それで知人から〈おもしろい男の子がいるから会ってみない?〉って言われて、〈じゃあ、いっしょにデモテープを作りましょう〉って答えたら、断られたんですよ。〈デモじゃイヤだ〉って。それでいきなり〈ホンチャン行きましょうよ!〉ってことになって(笑)」。

 なるほど、1曲目の“An Occasional Man”からしてクラブ受けしそうな仕上がりだ。マルケサス諸島っぽい勇ましい掛け声にフロアライクなビートが絡み、そこにSandiiのまろやかなヴォーカルが乗る。確かにいわゆるハワイアンらしいハワイアンではない。でも、歌うはクム・フラ(フラ・マスター)をめざして、まったく半端ではない修行をこなしてきたSandiiである。ハワイのもっともディープな核心をめざす彼女だからこそ、ハワイの中心から、ぐるっとポリネシア全域を見渡すような世界観が反映されている。実際にアルバム・タイトルにある〈ティキ〉というのは、ハワイのみならず、ポリネシア全域に伝わる木(石)彫りの神様のことなのだ。
Jazztronikとのコラボレート作となったSandiiの最新作『TIKI TIKI』(KAHAKAI)

「普通の人の言うハワイアンっていうのはね――裏声を使ったり、スラックキーやウクレレを使ったもの――っていうのは、わたしにとっては現代音楽なんですよね。それはまったく古典ではなくて、メロディーがカラフルになってからのハワイアン。わたしはギャビーも大好きだし、ジェノア・ケアヴェも大好きだし、でも、一見ハワイアンじゃないようなハワイアンも、夢を見続けた人たちが作った美しい音楽なんですよ。それは古き佳きワイキキを知っているわたしにとっては、卑下するものじゃないんです」。

   続く2曲目の“Eternal Flame〜ペレの唄”は、バングルズの89年のヒット曲だ。いわば誰もが知っているナンバー。

  「わたしが“Eternal Flame”=〈永遠の炎〉っていう意味の曲をやるとしたら、それは〈火の女神ペレ〉のことだと思ったから、自分で創作したチャントを入れたんです。そうすることで“Eternal Flame”のなかに流れている、普遍的な愛の歌がさらに永遠の意味を持ったと思う。それでわたしが歌う意味も生まれたんですよね」。

  この“Eternal Flame〜ペレの唄”はレゲエ的なぶっといベース・ラインが実に効いている。そんな低音が、ハワイのパーカッションのみをバックにしたチャント“Aia La 'O Pele I Hawaii”にすんなりと繋がっていくのも実にかっこいい。

  「最後の“To You Sweetheart,Aloha”は、ハワイではスーパーでも鳴っているような誰でも知っている曲なんですけど、それほど誰の耳にもスッと入っていける、骨組みがしっかりしている名曲なんですよね。そんな曲を、もう一度初心に戻ってわたしが歌ったらどうなるかなって、初恋の人に会うような気持ちでドキドキしながら歌ったのね。それで、アレンジをマーティン・デニーっぽくしたかったので、良太くんにどっぷりとデニーの音の温泉に浸かってもらったんです(笑)。そしたら、かなり香りの強い音楽だから抜けなくなっちゃったみたい(笑)。すごくいいアレンジをしてくれた。ハワイの人たちもすごく喜んでくれて。だから今回は、ティキ系の音楽を知り尽くした人よりも、26歳の良太くんと組んで正解だったなと思っていて」。

 Sandiiの作品を紹介。
Sandiiのハワイアン・ナンバーを集めたベスト盤
99年にリリースされたレネ・パウロとの共演盤
ハワイアンを知るには最適の一冊である山内雄喜との共著『ハワイ音楽パラダイス』(北沢図書出版)


文/大石 ハジメ

こちら渋谷のアロハ・ファクトリー――Sandii's Hula Studio




Sandiiさんは昨年、東京・渋谷にみずからのフラ・スタジオ〈Sandii's Hula Studio〉を作りました。ちなみになんともアロ〜ハなカフェ〈AINA〉も併設。渋谷のド真ん中だとはにわかに信じがたい空間が出来上がってるようで……ということで、フラのレッスンにお邪魔させていただくことに。

 まずスタジオに入って感じたのは、生徒さんの仲の良さそうなこと。なんでもなかにはいっしょに旅行に行っちゃうほどの仲良しになっちゃう人もいるとか(もちろん、行き先はハワイ!!)。レッスンも和やかな雰囲気のなか……と思ったら、そんなに生やさしいものではありませんでした。ときにはプーイリ(竹製の楽器)やウリウリ(マラカスに似た楽器)を打ち鳴らし、ときにはシャープ&ハードに舞い……と、思ってた以上にハードなレッスン。しかし、息を切らして踊り続ける生徒さんたちのなんとかっこいいことよ!! マジで鳥肌立ちました。

  「ここは〈アロハ・ファクトリー〉を作りたくて始めたんです。フラのなかには人生に必要な深い知恵が隠されているんですよ。だから、踊っていくうちに内面の美しさや優しさ、力強いしなやかさなどが表面に浮かび上がってくるんです」と語ってくれたSandiiさん。チャントの意味まで丁寧に教えていく彼女のアロハ・スピリットがスタジオ中に拡がって、なんだか僕も輪のなかに加わりたくなりました。実際、男性の方も真剣な表情でレッスンを受けていて、その姿を見てたらちょっと悔しくなったな。ちなみに大人気のこのスタジオ、現在の生徒数はなんと300人!!


Sandii's Hula Studio
東京都渋谷区神南1-4-2 2F
TEL:03-3462-5380

≡ 記事ナビ ≡
HAWAII CALLING
 ┣ 90年代から現代へ受け継がれるスピリット
 ┃ ┣ 現在のハワイアンを知るにはまずこちらから!!(1)
 ┃ ┣ 現在のハワイアンを知るにはまずこちらから!!(2)
 ┃ ┗ 若きウクレレ・ヒーローが奏でる〈Feelin' Go…
 ┣ Sandii
 ┃ ┗ こちら渋谷のアロハ・ファクトリー――Sandii's…
 ┣ 70年代 開かれたハワイへの扉
 ┃ ┣ ハワイアンの現在と過去を繋ぐ名プレイヤーが新作で語り…
 ┃ ┣ 60〜70年代を彩った、いまも色褪せない名盤の数々(…
 ┃ ┣ 60〜70年代を彩った、いまも色褪せない名盤の数々(…
 ┃ ┗ 本土のアメリカ人だってハワイに憧れてたわけで……
 ┣ 60年代以前 ハワイアン・ミュージックの源流
 ┃ ┣ もうひとつのハワイアン――〈エキゾチカ〉の世界
 ┃ ┣ とびっきりユニーク!!な60年代以前のハワイアン
 ┃ ┗ 変わらず鳴り続ける、美しいピアノの調べ
 ┗ Disc guide
   ┣ で、山内雄喜って誰??
   ┗ 日本人がハワイに抱いた〈過剰な〉夢


複数キーワードによる検索も使えます!!