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第76回 ─ 祝・20周年記念! The Ska Flamesの偉大なる足跡


掲載: 2005/11/10
更新: 2005/11/09
ソース:『bounce』誌 270号(2005/10/25)

文/斉藤 ジョゼ

結成〜邂逅〜そして世界へ! 日本が誇る最高のスカ・バンド=The Ska Flames誕生!  

 84年9月、前身となるバンド=Blue Flamesを結成し、翌85年2月、吉祥寺の〈曼陀羅〉でThe Ska Flamesとしてデビュー・ライヴを行う。これがその後の日本のスカ・シーンを担うバンドの記念すべき第一歩だ。マイペースな活動を行っていた彼らの転機は、87年5月に〈インクスティック芝浦〉で開催された〈MOD MAYDAY〉。ポテト5として来日したローレル・エイトキン、DJとして同行していたギャズ・メイオールの2人に見初められ、レコーディングを約束することになる(これが後のファースト・アルバム、サード・アルバムでのプロデュース/共演へと結実する)。そんな動きとは別に、88年5月にはついに自主制作による7インチ“TOKYO SHOT”をリリース。そして満を持して同年、渡英してレコーディングを開始し、ギャズ・ロッキンより7インチ・シングル“SKA FEVER/OSAKA SKA”を世界へ発信。翌89年リリースのファースト・アルバム『SKA FEVER』と合わせて、世界中のルーディーを片っ端から踊らせることとなる。
             
大川毅(サックス:以下同)「ギャズがライヴ終了後すぐに〈いっしょにレコーディングがしたい!〉と言い出して、東京のスタジオを探し回ったが結局見つからず、再会を約束しました。“TOKYO SHOT”は初めての録音にも関わらず、自分たちのスタイルで演奏でき、シンプルだけどスカのエッセンスが凝縮された曲ができて嬉しかった。ライヴで欠かさず演奏しているのに、古さを感じないし飽きたこともない、すごくタフな曲」
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
ローレル・エイトキンがかつて在籍していたスカタライツの編集盤『Foundation Ska』(Heartbeat)
ギャズ・メイオールが選曲を手掛けたコンピ『Gaz's Rockin' Blues』(Sanctuary/Trojan)


〈日出ずる国〉から世界にその名を響かす傑作!

 89年2月に、ギャズ・メイオールのプロデュースでイギリスからのリリースとなった伝説のファースト・アルバム『SKA FEVER』(Gaz's Rockin')。彼らの代名詞となった“TOKYO SHOT”をはじめ、“LINDOW MAN”“SKA FEVER”など、荒いが決して粗雑ではない極太のホーン・ブロウが腰にくる。現在のピースフルなイメージを持って聴くと一撃でノックアウト!です。これ1枚で一晩中踊り明かせる、そう断言できる名盤。現在店頭で入手できるのはボーナス・トラックを2曲追加したリイシュー盤。

「日本での録音とは違い、スタジオに入ってからずっとお茶ばかりしてなかなか始まらなかったけど、始まった途端いつものライヴのように何も計算せずに一発録音で演奏したので、嘘臭い音ではなく〈リアル〉なものが出来上がった」

本場ジャマイカのレジェンドたちとの交流 

 『SKA FEVER』がイギリスからリリースされたということも手伝って、〈日本にはThe Ska Flamesがいる!〉と注目されはじめた89年以降、ジャマイカン・ミュージックのオリジネイターたちと数多く共演を重ねていくことになる。名曲を星の数ほど残しているスタジオ・ワン音源の多くを手掛け、自身の名義でも奇跡的な演奏を聴かせてくれるスカタライツ。89年4月、〈汐留PIT〉で行われた彼らの初来日公演のサポートを皮切りに、シンガーとして、プロデューサーとして類い希な才能がキラリと光る伝説のルードボーイ=プリンス・バスターの来日ツアーに参加。91年には、スカタライツ〜スペシャルズといった経歴でも知られるトロンボーン奏者=リコと共演。92年には、日比谷野音で開催されたイヴェント〈スカ・エクスプロージョン〉に、プリンス・バスター、スカタライツ、セレクターと共に参加、また甘さのなかに見え隠れするほろ苦さが胸を打つロックステディ期最重要コーラス・グループ=カールトン&ザ・シューズの公演にホーン・セクションが参加している。

「みんなに共通して言えるのは、活動を始めた当時から持っている〈スカ・スピリッツ〉。長年に渡って演奏を続けているにも関わらず常にテンションを下げないで継続していることが凄い! 毎回、本人たちから共演の指名を受けていたので、嬉しかった反面、身の引き締まる思いがしました。スカタライツが自分たちのあるべき姿を知っていたように、The Ska Flamesも背伸びせず、縮こまりもしないで前に進んでいくことを教えられました」

 ▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
プリンス・バスター with DETERMINATIONSによるライヴ盤『Rock A Shacka VOL.1 -PRINCE OF PEACE』(ISLAND/ユニバーサルJ)
リコの編集盤『Trombone Man:Anthology 1961-1971』(Sanctuary/Trojan)
カールトン&ザ・シューズの76年作『Love Me Forever』(Jamaica Recordings)


経験が生み出した情熱と成熟の一枚

 ジャズのスタンダード・ナンバー“I'll Close My Eyes”のカヴァーで幕を開ける、93年8月リリースのセカンド・アルバム『ウェイルン・スカルム』(ソニー)。前作のような荒々しい前のめり感はないのだが、音と音の隙間にある空間を表現しようとする緊張感溢れる演奏からは、前作を凌ぐ熱量が感じられる。それはこの時期、スカタライツやプリンス・バスターなど真にオリジナルなミュージシャンたちとの共演を重ねて肌で体得した質感を、彼らなりに昇華した証だろう。

「前作と違い〈スカ〉というものに対して力みがなくなり、いい感じでゆるく考えられたこともあり、ポップな感じでスカを知らない人にも聴きやすいものになりました」

豪華なゲスト陣を招いた記念碑的作品

 95年11月リリースのサード・アルバム『DAMN GOOD』(東芝EMI)は結成10周年記念盤。今年7月に亡くなったゴッドファーザー・オブ・スカ=ローレル・エイトキンや、スカタライツでの名演でも知られるローランド・アルフォンソ、レスター・スターリングを迎えたまさに記念碑的な内容。ライヴでの人気曲“ZION CITY”や、奄美の星空を感じさせるロックステディ・ナンバー“星に願おう”、TOKYO No.1 SOUL SETがライヴにおいてモロ使いすることでも知られる“RIP VAN WINKLE”など名曲揃い。

「ローレルはThe Ska Flamesを実の孫のように可愛がってくれたし、自慢の孫のように扱ってくれた。アルフォンソ、ローレルのふたりが亡くなったいまも、彼らに対する尊敬の念はいつまでも変わりません」

空と大地とビールとスカと……開放感に溢れた野外ライヴ!

 既発3枚のアルバムを順に聴き比べると、音の鳴り方が〈屋内〉から〈屋外〉へと向かっている印象を受けるのだが、その理由は彼らの野外におけるステージを体感するとよくわかる。2000年8月に千葉マリンスタジアムで行われた、Hi-STANDARDを中心としたパンク〜メロコア・シーンを代表するバンドが総出演したキッズの祭典〈AIR JAM 2000〉。ここで見せた“TOKYO SHOT”はどのバンドよりもルーディーだったし、リコ・ロドリゲス、スカタライツ、DETERMINATIONSなどと共演した2002年〈フジロック〉のFIELD OF HEAVENでは、観てるこちらが本当に逝ってしまうんじゃ?ってなくらい天国のような雰囲気に。タイプの違うこの開放感は、どちらのイヴェントでも頭ではなく心に響いてくるものだった。

「どちらのイヴェントもメンバーが楽しませてもらって感謝しています」
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
Hi-STANDARDの97年作『ANGRY FIST』(トイズファクトリー)
DETERMINATIONSの2002年作『Chat Chat Determinations』(ZION/ISLAND/ユニバーサルJ)


素晴らしいミュージシャンたちが集う〈Down Beat Ruler〉

 SUNSHOT主催による、すべてのルードボーイたちに捧げるイヴェントが〈Down Beat Ruler〉。87年、大川毅を中心に中野〈NAVARON〉にて産声を上げた後、幾多の波を越えて2002年5月からは東京/大阪を中心に定期開催されている。東京は2004年から恵比寿ガーデンホールといった2,000人規模のハコに会場を移し、大貫憲章や須永辰緒、クボタタケシなど、20名を越える豪華DJ陣がフロアに火をつけ、ライヴではThe Ska Flamesはもちろん、SLY MONGOOSE、THE ZOOT16、EGO-WRAPPIN'、Los Rancheros、Little Fats & Swingin' hot shot partyといったバンドが会場を熱く踊らせている。これはイヴェントというより、もはやひとつのフェスティヴァルだ。

「唯一のホームグラウンドであり、自分たちの土俵。ゲストで出演するイヴェントとは違って毎回緊張感もあるが、自分たちにとっては気持ちを楽に演奏できる最高のイヴェントです。このイヴェントは今までThe Ska Flamesが歩んできた20年間と同じように、自分たちの好きな音楽を変わらず続けている人たちと、これから続けていこうとする人たちが集まるよう、東京だけでなく日本各地や、ロンドン、NY、韓国でも開催できるようにがんばっていきたいと思います」
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
クボタタケシのミックスCD『NEO CLASSICS』(cutting edge)
SLY MONGOOSEの2004年作『DACASCOS』(LOCARNO)
THE ZOOT16の2004年作『RIGHT OUT!』(ZOOT SUNRISE SOUNDS)


文/宮内 健

こだわりでもって貫く迷うことなき信念……11人のルードボーイたちが〈REALSTEP〉で辿り着いた10年ぶりのニュー・アルバム!

 それはジャマイカから/聞こえてくる

 ウキウキしないか?/ホラ 身体揺らそう

 (“聞こえてこないか”より)

 彼らは毎週土曜日の夜、いつもの練習スタジオに集まって、心底ヤラれた裏打ちのリズムへの想いをバンド・サウンドに刻み続けてきた。The Ska Flamesの20年に渡る〈確かな歩み〉は、日本の地にスカ・ミュージックが根づき、シーンが成熟していった歴史そのものと言える。

 しかしながら、彼ら自身にそういった気負いは見受けられない。基本的にはそれぞれの仕事や生活が優先で、バンドは2番目。だから自然とその活動は限られてくるのだが、スカを〈職業〉にせず、無理なく続けてきたからこそ、彼らの音楽は純粋に育まれていったとも言える。そして、ついに、やっと、10年ぶりとなるニュー・アルバム『REALSTEP』が完成した。

  「きっかけになったのは(今回のアルバムにも収録されている)“太陽”。歌詞の内容もシンプルだけど奥が深い。曲とのバランスもいい。これを綺麗な奄美大島で育ってきた、純粋な、あんなに大きいけど小さな子どもみたいな伊勢(浩和)さんが歌うから、全部包み込む良さがあって……。これは今までと違うなって感じた」(大川毅、サックス:以下同)。

 スカタライツのコピーから始まった彼らが、スカを消化し、自分たちのスタイルを築き上げることができたという自負。そして20年目の現在、それを広く伝えたいという想い。彼らは、自分たちの持ち味をそのまま活かしながら、他の音楽に負けない音を仕上げるために最大限の努力を払った。

  「The Ska Flamesはとにかく一発録りじゃないと。ひとりずつブースに入ったら勢いがなくなるから。で、今の音楽なんかは音圧があるから、たとえばその後にスカタライツのオリジナルをかけたとしても、カッコいいけど聞こえないんですよ。その当時の一発録りの勢いで、今のクリアな音と音圧があるものにしたい。そういう音を録りたいって言ったら、それは無理だって笑われて」。

 しかし、理解のあるエンジニアと話し合いを重ねるうちに、バンドにとってもっとも優れたアイデアが生まれる。

  「ウチらがいつも練習してるスタジオの奥にホールがあって、ライヴ前はその広めのところで練習してるんですけど、そこで録音しようってことになって。みんなには〈いつもどおり毎週土曜の夜8時〜11時に来てくれ。それに合わせて俺が用意しておくから、普通に来て練習するようにやってくれ〉って。それでもみんな緊張してたけど(笑)、だんだんいつもどおりになってきて。僕がいちばん欲しかったのは、(耳のすぐ横を指して)ここで鳴ってるような臨場感。ライヴはライヴの良さがあるけど、練習して曲が出来上がっていくような段階の、みんなが〈いいな!〉って思いながら盛り上がって演ってる時のいい緊張感や空気が出ればいいなって」。

 そんな瞬間をいつも感じていたからこそ、The Ska Flamesは20年も続いてきたんだろう。

 アルバム・タイトルにもなっているナンバー“Realstep”を聴けばわかる。ウォーキング・テンポに込められた空気の、なんとも言えない心地良さ。これがThe Ska Flamesの魅力だ。
11月9日にリリースされるThe Ska Flamesのニュー・アルバム『REALSTEP』(SUNSHOT/PICTUS)

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