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掲載: 2006/04/06
ソース:『bounce』誌 274号(2006/3/25) |
第85回 ─ J・ディラ、最高の音楽をありがとう!!
文/出嶌 孝次
去る2月10日、J・ディラ=ジェイ・ディー(本名ジェイムズ・ヤンシー)が膠原病による合併症で亡くなった。享年32歳。久々のアルバム『Donuts』のリリースから3日後のことだった……と無味乾燥に記しても、事の大きさは変わらない。90年代半ば、彗星のように現れた(ように思えた)彼は、テクノ的とも評された独特の音圧を備えたビートで否定的な意見も集めたが、徐々にその魔法を世に認めさせていった。ウマーやソウルクェリアンズの一員として暗躍した……けど、彼の功績はそれだけじゃない。そのすべてはここで紹介できないけど、言っておきたいのは〈メジャーでもアンダーグラウンドでも通用する才能〉なんて、本当はそういないってこと。そして、ディラにはその賞賛を捧げるべきってことだ。彼がこの世にいようがいまいが、彼のビートは愛され続けていくし、後に続く者が乗り越えるべき壁として君臨し続けるだろう。ご冥福をお祈りします。そして、ありがとう!! |
文/河野 貴仁 ジェイ・ディー在籍時のスラム・ヴィレッジ
SLUM VILLAGE 『Fantastic Vol. 1』 Donuts Boy(2005) 96年頃にテープのみでリリースされ、多くのブート盤が出回った幻の初作。昨年ようやく正規(?)リリースされて入手しやすくなったが、聴かないヤツはモグリと断言したいほどの黒光りクラシックだ。
J-88 『Best Kept Secret』 Groove Attack(2000) ディラとマッドリブの初邂逅も確認できる、SVの変名ユニットによる唯一のミニ・アルバム。『Fantastic Vol. 1』からの音源もしっかり数曲収録されているが、ややもすれば聴き逃されてしまう隠れた名品だ。
SLUM VILLAGE 『Fantastic Vol. 2』 Goodvibe(2000) ピート・ロックやジャジー・ジェフ、ディアンジェロら時代を切り拓いた名うての面々も馳せ参じた傑作。本作をラストにディラが脱退するも、以降SVはデトロイトの花形グループへと躍進を遂げることになる。
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文/河野 貴仁 ソロ移行後の歩み
JAY DEE a.k.a. J. DILLA 『Welcome 2 Detroit』 BBE(2001) BBEの名企画シリーズ〈The Beat Generations〉の先頭を切ったのが、ディラの代表作たる本作。約5年の時を経て先頃リリースされた、職人ワザが煌々と光る本作のインスト盤も大きな話題になった。
JAYLIB 『Champion Sound』 Stones Throw(2003) ディラとマッドリブ、ふたつの偉大な創造力が結び付き、生み落としたのがこの作品。とはいっても切磋琢磨しながら作り込んだシロモノじゃないため、両者間のケミストリーではなく各人の潤沢な才覚を再認すべし。
J DILLA 『Donuts』 Stones Throw(2006) 31曲ものインストを収めた現時点での最新作。カニエとファレルが送る賛辞や、入退院を繰り返しながら制作したという悲涙談はさておくとしても、誰もが聴くべきユニークなサンプリング・コラージュ集だ。
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文/河野 貴仁、出嶌 孝次 時代に名を刻んだディラ・クラシック!!
1. THE PHARCYDE 『Labcabincalifornia』 Delicious Vinyl(1995) グループの2作目にして西海岸ニュー・スクール勢から生まれた屈指の名盤。〈平均台の上〜〉というフック唱も鮮烈なディラ製の“Runnin'”は超古典ナンバーだ。 (河野)
2. DE LA SOUL 『Stakes Is High』 Tommy Boy(1996) この後も名曲“Thru Ya City”などをモノにしているデ・ラ&ディラだが、ここでは表題曲にて初合体を果たした本作を紹介。弾むラップとの好相性も光る。 (出嶌)
3. A TRIBE CALLED QUEST 『The Love Movement』 Jive(1998) 10年後も20年後も愛される作品をクラシックと呼ぶなら、ATCQの今作もそう呼べる。ディラはウマーの一員として前作に続いて多くの曲制作を担った。 (河野)
4. Q-TIP 『Amplified』 Arista(1999) 近未来感と洗練美を絶妙な塩梅で混合させたブラックネス──全編でディラと組んだQ氏の初ソロ作で描出された色合いは、Q氏よりもディラの手腕によるところが大きかったはず。 (河野)
5. ERYKAH BADU 『Mama's Gun』 Motown(2000) 言わずもがなのネオ・ソウル傑作だが、時に〈スピリチュアル〉と表現されるバドゥイズムも、ディラを含むソウルクェリアンズの後ろ盾があってこそ輝いたのである。 (河野)
6. BUSTA RHYMES 『Genesis』 Flipmode/J(2001) デ・ラやコモンと並ぶ頻度でディラを起用していたのがバスタ。ここでは硬質な“Make It Hurt”を収めた今作を紹介。来るべき新作にもディラは参加してるのかな。 (出嶌)
7. T-LOVE 『Long Way Back』 Virgin(2003) 見過ごされがちながら、4曲をディラが手掛けた才女の快作。蒙昧感に満ちた“Who Smoked Sunshine?”などは、この年のディラにとってもベスト・トラックだと思う。 (出嶌)
8. COMMON 『Be』 Gettin' Out Our Dreams/Geffen(2005) ミレニアム以降のコモンを語るうえで欠かすことのできない異能プロデューサー=ディラの名は、この最新作でも2曲のクレジットに刻まれている。 (河野) |
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文/出嶌孝次 多方面に散らばるディラ・ワークス
ディラ・ワークスから近年の興味深い作品を駆け足で紹介! まずはブラック・スター時代から縁のあるタリブ・クウェリなど、正統派の東海岸ヒップホップ勢からの高い支持は言うまでもない。そのイメージを軸にして、DJカムやSHAKKAZOMBIEのような海外勢との仕事をこなしていたことも忘れちゃいけないが、近年で際立っていたのは西海岸、特にストーンズ・スロウとの関係だろう。オー・ノーやメダフォア改めMEDとのコラボは曲数こそ少ないものの、いずれも大充実の出来だ。また、スペイセック“Eve(J. Dilla Remix)”に端を発するスティーヴ・スペイセック仕事や、ドゥワイト・トリブル“Antiquity”のようなクロスオーヴァー展開は今後期待できた路線だった。一方ではノーマン・ブラウン“Angel”てなスムースジャズ仕事もあり……本当に多彩&多才な人だったのだ。
| | 日本盤もリリースされたばかりのタリブ・クウェリの2005年作『Right About Now: The Official Sucka Free Mixtape』(Black Smith/Koch/ビクター) |
| | DJカムの2004年作『Liquid Hip Hop』(Inframable) |
| | MEDの2005年作『Push Comes To Shove』(Stones Throw) |
| | スティーヴ・スペイセックの2005年作『Space Shift』(Sound In Color) |
| | ドゥワイト・トリブル&ザ・ライフ・フォース・トリオの2005年作『Love Is The Answer』(Ninja Tune) |
| | ノーマン・ブラウンの2004年作『West Coast Coolin'』(Warner Bros.) |
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