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第1回 ─ デヴィッド・ボウイとイギー・ポップ


掲載: 2006/11/22

ソース:『bounce』誌 0号(//)

武藤昭平による、〈憧れのアーティストたちと酒場でいっしょに酒を飲んだら?〉――という深夜の妄想話

文/武藤 昭平

1:00am 
デヴィッド・ボウイとイギー・ポップ


 深夜一時。デヴィッド・ボウイはスコッチ。イギー・ポップはバーボン。俺は焼酎。時刻もそこそこで皆ホロ酔い。デヴィッドとイギーが中心に話を進め俺が相づちを打ってる感じだろうか。デヴィッドは俺の話を笑顔で軽くかわすぐらいであまり聞いてくれない。

  「デヴィッドさん、映画〈バスキア〉でのアンディ・ウォーホル役、ハマってましたね」と俺が言っても、「ねぇムトウ君。君は役者をどう考えてるんだい? 君はもっといろんな翼を持って、天国に近い所からもっと自分を見直すべきじゃないか?」と難解な説教を俺に始める。そして言葉の最後には必ずイギーの共感を得ようと「なぁ、ジェイミー(イギーの本名からの愛称)そう思わないか?」の言葉。完全に言葉を失う俺にやっとイギーが語りかけてくれる。

  「デヴィッドは紳士なイギリス人だから、気にすんな。俺から見ても時々オカタイ奴だって思うぜ。大体言葉の比喩が普段からああだとよ、俺も疲れんだよ」

 慰めは嬉しいが、こういったフォローはデヴィッドがトイレに行っている時にしかしてくれない。そのうちデヴィッドが酔ってイギーにカラミだす。

  「そういえばジェイミー、こないだジム・ジャームッシュ君の映画でトム・ウェイツ君と共演してなかったか?」

  「ああ、そうだよ。〈コーヒー&シガレッツ〉ってやつね」

  「トム君とはえらく親しげだったけど、やはりアメリカ人同士だからかい? やっぱりイギリス人は苦手かい?」

  「あ、いや別にそういうわけじゃ……」

  「僕は昔から君が困った時、いつでも手を差し伸べたよね。アルバム『The Idiot』のプロデュースもしたし、共作した“Tonight”も僕がリカヴァーしてヒットしたでしょ。さらに『Blah Blah Blah』ではゴールドディスクまで取ったじゃないか! おかげで印税もたっぷり入っただろ?」

  「なぁデヴィッド。いくらなんでもそれはちょっと言い過ぎじゃないか? おい」

  「ジェイミーやるならやってもいいんだぞ。僕だってボクシングをやってたんだ」

 もちろん喧嘩の仲裁は俺の役。

 ……武藤昭平、あくまでも妄想の話。

PROFILE

武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気を博す、スーツを粋にキメた7人の伊達男音楽集団=勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。TV-CMタイアップ曲“U-K”“U-K-2”や、THE ZOOT16、EGO-WRAPPIN'、オダギリ ジョーとのコラボ曲も収録した最新作『ブラック・マジック・ブードゥー・カフェ』(エピック)も大好評。バンドの詳細は、〈www.katteni-shiyagare.com〉をチェック!


文/〈Bar YAMAGA〉のバーテン

深夜一時の妄想盤


DAVID BOWIE 『Tonight』 EMI(1984)
MTVブームにも乗った秀逸なプロモ・クリップも話題となった“Blue Jean”を収録した、前作『Let's Dance』に続く大ヒット・アルバム。イギー・ポップの77年作『Lust For Life』で初披露された表題曲のセルフ・ヴァージョンほか、今作でもイギーと全4曲を仲良く共作。



IGGY POP 『The Idiot』 RCA(1977)
ストゥージズ解散後、廃人寸前になっていた旧友を助けるべく、キャリア復活を全面支援したのがデヴィッド・ボウイ。ソロ・デビュー作『Lust For Life』に引き続き、デヴィッドが全面プロデュースし、全曲を共作したソロ2作目。歌詞面でもサウンド面でもイギーの新たな才能を示した一枚。

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