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掲載: 2007/11/01
ソース:『bounce』誌 292号(2007/10/25) |
UKから世界中のヒップホップを送り出し続けて、ついに10年を突破!! 王道と異端、伝統と革新が共存し合ったレーベルのユニークでビッグなステップを再確認しよう!
文/池田 謙司、櫻井 誠、出嶌 孝次
安定した活動を長く続けているインディーのヒップホップ・レーベルを挙げるのはそう難しくないだろうが、それをUKから探すとしたらどうだろう。創設者のウィル・アシェンいわく「常に変動し、革新的であり続ける」というモットーを掲げたビッグ・ダダこそ、この10年をサヴァイヴしてきたUKでは希有なヒップホップ・レーベルということになる。
ニンジャ・チューンのサブ・レーベルであるビッグ・ダダは、もともと著名な音楽ジャーナリストのウィルがヒップホップ・ブランドの必要性をニンジャの経営陣に説いたことから設立に至っている。運営開始は96年の冬ながら、実質的な活動スタートは翌97年の6月から。キックオフを飾ったアルファ・プライムのシングル“Misanthropic”(ルーク・ヴァイバート制作!)からしばらくは地道に12インチ・リリースを重ねていくが、それらをまとめたコンピ『Black Whole Styles』を98年に発表して以降は、出身国も音楽性もさまざまな面々のアルバムをコンスタントにドロップするようになって、現在に至る。ルーツ・マヌーヴァやニュー・フレッシュらにUK産ヒップホップの更新を託す一方、進取の気性を備えたTTCやディプロらを表舞台に引き上げる……そのように王道と異端を併せ呑むレーベルの歩みを振り返ってみよう。 (出嶌孝次)
ROOTS MANUVA 『Brand New Second Hand』(1999) レーベルの成功を決定付けた最初のアーティスト・アルバム。すでに同年のレフトフィールド“Dusted”で広い層から注目を集めていた主役のディ〜プな語り口は、UK産らしくレゲエ成分も含有したストリートワイズな響き。全編を支配するマッシヴな空気感が心地良い。 (出嶌)
NEW FLESH FOR OLD 『Equilibrium』(1999) トラックメイカーのパート2を中心に、トースティ・テイラーとジュース・アリーム(アルファ・プライムやガマの構成員でもある)の2MCを擁する名ユニットの処女作。緻密なサイファイ・ビート主体のクールな音像は、この時点ではどことなくニンジャ・チューン寄りだった。 (出嶌)
CLOUDDEAD 『Clouddead』(2001) オッド・ノスダム、ホワイ、ドーズ・ワンというアンチコンの要人たちが組んだユニットの衝撃の1作目。イルでサイケなアブストラクト・サウンドに、自由奔放(に聴こえる)なヴォーカル・パート、その実験性を軽く飛び越えたポップさは奇跡的。これがヒップホップかどうかは愚問。 (池田)
LOTEK HI-FI 『Lotek Hi-Fi』(2003) ルーツ・マヌーヴァとの絡みを経て頭角を現した彼ら。図太い低音のヒップホップ、レゲエ、ダブをバランス良くブレンドするセンスは実にUKらしいものだ。次作『Mixed Blessings』はレゲエ方面へ傾倒するが、これはまだその中間な感じで、そこがまた楽しめるところだったりする。 (池田)
BUSDRIVER 『Cosmic Cleavage』(2004) 飛び出すおっぱいロケット、繰り出される変幻自在のフリーキー・フロウ! デイデラスやプレフューズ73との共演でもお馴染み、US西海岸アンダーグラウンドMCの初作。いわゆる〈オシャレでジャジーなアングラ〉の真逆を行く超個性派のジャズ・トラックが聴きどころ! (櫻井)
DIPLO 『Florida』(2004) M.I.A.のプロデュースで名を馳せた彼ですが、本作でビッグ・ダダからデビューした当時は、〈ポストDJシャドウ〉なんて呼ばれてましたな。バイリ・ファンキ的な陽気さはまだないものの、マイアミ・ベースとエレクトロニカを混ぜたような奇々怪々な試みもアリ。この頃からハミ出していたのね。 (池田)
TY 『Closer』(2006) ファンキーDL周辺で注目され、2000年にダダ入りしたロンドンのMC。この3作目ではデ・ラ・ソウルらUSの大物をソウルフルなマイク捌きで歓待しつつ、ウマー以降のプロダクションをUK流に発展させたようなテック・ビートを全面で披露している。アフロヘギのアルバム(→P97)にも客演してます。 (出嶌)
TTC 『3615』(2007) プロデューサーは前作『Batards Sensibles』(2004年)と同じくパラ・ワン&タクティールなのだが、突如爆発的な盛り上がりを見せたフレンチ・エレクトロの波に上手く乗っかって一気に認知度を上げた3作目。解散も噂されていますが……たぶんこれがフレンチ奇形ヒップホップの最終進化型でしょう。 (櫻井)
WILEY 『Playtime Is Over』(2007) もうMCはヤメた!という宣言と共にリリースされた、グライムのパイオニアによるセカンド・アルバムにして大傑作。XLから移ってきて1枚目でヤメるって……そんなに生き急がんでもいいのにね〜。ここでも力強いビートを聴かせているので、今後はプロデューサー業に期待しますか。 (櫻井)
TTC 『Ceci N'est Pas Un Disque』(2002) 本国フランスで軽くコケた後、2000年にダダ入りしたトリオ(当時)のファースト・アルバム。DJヴァディムやドーズ・ワンといったニンジャっぽい顔ぶれに混じってパラ・ワンとタクティールもビートを提供しているが、後の彼らと比べればエラく几帳面な作りなのもおもしろい。 (出嶌)
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KING GEEDORAH 『Take Me To Your Leader』(2003) もちろん日本の3人組とは関係なく……地下世界を徘徊する怪しい鉄仮面、MF・ドゥームが90年代から用いていた変名で唐突にドロップした野心作。ドゥーム特有の才気走ったラップが意外とストレートなサンプリング・ループに絡み、ディープな空気感を醸し出す。 (出嶌)
THE MAJESTICONS 『Beauty Party』(2003) NYの詩人であるマイク・ラッドが、中身にこだわるインフェスティコンズと外見重視なマジェスティコンズの闘いを描いた3部作の第2弾。両者の衝突を通じてヒップホップや社会の構造を……と敷居は高めだが、激しいラップにシンガーも交えた音はユニークで楽しい。 (出嶌)
NEPHLIM MODULATION SYSTEMS 『Woe To Thee O Land Whose King Is A Child』(2003) ダダからソロ作も発表している元カンパニー・フロウのビッグ・ジャスと、マスターズ・オブ・ザ・ユニヴァースのオルコが組んだ、US東西アングラ大関のユニット。アブストラクトな音塊の構築にはディプロも加担していた。 (出嶌)
PART 2 『Live From The Breadline』(2005) ニュー・フレッシュのビート職人による初のソロ作。レゲエとヒップホップをベースに革新的で多彩なトラックでアルバム一枚を埋め尽くした怪作。スウィッチやRUB-A-DUB MARKET、トゥー・カルチャー・クラッシュなどが作り出す異端レゲエが好きな人ならたまらないはず! (櫻井)
ROOTS MANUVA 『Awfully Deep』(2005) 押しも押されぬビッグ・ダダの大黒柱は、他に類を見ない世界観だからこそ孤高と評されるのだろう。ダークでディープなサウンドに内省的なリリック、そして宣教師のようなフロウは、この3作目にして頂点を極めた。みぞおちにジワジワ効いてくるトコがたまらないのだ。 (池田)
SPANK ROCK 『Yoyoyoyoyo』(2006) ボルティモア・ブレイクスにバイリ・ファンキ、マイアミ・ベースにダンスホール・レゲエ……と世界中のケツを揺さぶるゲットー・ミュージックをベースに、独自の珍妙かつキャッチーなパーティー・ミュージックを作り出した衝撃作。ケツの振りすぎでフロアが壊れたって噂もあるYO!! (櫻井)
NEW FLESH 『Universally Dirty』(2006) パート2のどこまでも革新的なプロダクションと、2MCのコンビネーションが到達したUKヒップホップの最高到達点。3作目ってことで、もはや〈FOR OLD〉じゃなくて〈FOR EXTRA NEW〉な感じの、1万歩は先を行った傑作であります。LSKが参加した煙たいステッパーも聴きモノ。 (櫻井)
CADENCE WEAPON 『Breaking Kayfabe』(2007) 元はアッパークラスというレーベルから登場したカナダ産ヒップホップなんですが、その奇怪でユニークなビートを買われてか、UKではめでたくビッグ・ダダからライセンス。同郷のクロメオなんかともちょっぴり共振しそうなエレクトロ具合がイイ塩梅です。 (櫻井)
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