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TYPE C:EMO

掲載: 2007/11/08

ソース: 『bounce』誌 292号(2007/10/25)

エモ・シーンから飛び出した異端児たち

文/粟野 竜二、塀戸門家、若狭谷 力




THE MARS VOLTA 『Amputechture』 Universal(2006)
モジャモジャ頭の中で巻き起こったビッグバン!? エモ創世期を築いたアット・ザ・ドライヴ・インをあっさり解散させたアフロ2人が作り上げたのは、エモ/ハードコアを通過し、宇宙へと向かう革新的なサウンドだった。オーケストレーションを多用した本作には全地球人が昇天したが、延期を重ねているニュー・アルバムはこれをも上回る大作との噂。 
(若狭谷)



PROTEST THE HERO 『Kezia』 Vagrant(2006)
〈カオティック・エモ/エモグレ・バンド〉などと括られているカナダ出身の5人組。スクリーモから派生し、メタルを通過したのはあきらかだが、予測不能な変則的リフ&リズムを聴く限り、もっと根の深い混沌とした背景を持っていそうな気もする。間もなく新作をドロップするそうだが、まずは本作で緻密に計算された難解サウンドに耳を慣らしておこう!
(若狭谷)



THE BLOOD BROTHERS 『Young Manchetes』 V2(2007)
子供声(アニメ声?)で絶叫するツイン・ヴォーカルがトレードマークの、シアトル出身の5人組。変拍子も多用しているが、テクニックや構築力よりも狂気混じりのポップセンスこそがこのバンドのキモだ。通算5枚目となる本作ではフガジのギー・ピチョットもプロデューサーに名を連ね、持ち前のフリーキーさにより拍車を掛けている。
(粟野)



FALL OF TROY 『Manipulator』 Equal Vision(2007)
コヒード・アンド・カンブリアを輩出したイコール・ヴィジョンが抱えているもうひとつのカオス。変拍子を多用してバタバタと進行する不可解極まりない曲構成、エキセントリックな狂気を振りかざしたヴォーカル、21歳という若さ、3人組という最低限の編成、必要以上にイケメンという事実……彼らがこの先どのように化けていくのか、興味は尽きない。
(若狭谷)



KADDISFLY 『Set Sail The Prairie』 Sub City/Hopeless(2007)
〈ポスト・コヒード・アンド・カンブリア〉との呼び声も高いポートランド発の5人組。インキュバスのブランドン・ボイドに似た声質を持つ表情豊かなヴォーカルと、スペイシーなサウンドを奏でるギター・パート、叙情的なピアノの旋律が独自の世界を形成している。〈エモグレ〉と〈ポスト・エモ〉の中間的な立ち位置にいるバンドだ。
(粟野)



THE DEVIL WEARS PRADA 『Plagues』 Rise/Victory(2007)
新興レーベル、ライズの特攻隊長による2作目。メタル寄りのアンダーオースとでも言おうか、駄々っ子の如き鳥獣系の絶叫と甘いメロというお約束コントラストが、青春真っ盛りのニキビ面キッズに絶賛バカ受け中! スクリーモもメタルコアも完全に同一線上に並べ、スキニー・デニムを穿いて腰をくねらせる衝撃の現実がいまココに!
(塀戸)


文/粟野 竜二

COHEED AND CAMBRIA
俺たちはなんだって自由にできるのさ!



 エモとプログレを融合し、〈エモグレ〉なるジャンルを確立したコヒード・アンド・カンブリア。メジャー移籍後第1弾となった前作『Good Apollo, I'm Burning Star IV, Volume One:From Fear Throu-gh The Eyes Of Madness』(2006年発表)が全米チャート初登場7位をマークし、話題を呼んだことも記憶に新しいだろう。そんななか、このたび通算4枚目となるニュー・アルバム『No World For Tomorrow』が到着した。彼らは作品を通じて全4章から成る物語を描いており、2002年の初作『The Second Stage Turbine Blade』が第2章、続く2作目『In Keeping Secrets Of Silent Earth:3』が第3章、3作目が第4章の前編、そして今作が第4章の後編にあたる。来るべき次作では第1章に戻るということで、時間軸を歪ませた手法がまるで映画〈スター・ウォーズ〉シリーズを彷彿とさせる、壮大なサーガとなっているのだ。しかし架空の物語を描きながらも、歌詞は単なるファンタジーでは終わらず、現実世界の要素もしっかりと反映されている。
コヒード・アンド・カンブリアのニュー・アルバム『No World For Tomorrow』(Columbia/ソニー)

「フィクションとノンフィクションの境界が曖昧なのはこれまでの作品とも共通しているけど、今回のアルバムはそれがいちばん如実に表れていると思う。なぜなら昨年はいろんなことがあったからね」(クラウディオ・サンチェス、ヴォーカル:以下同)。

 彼の言う〈いろんなこと〉のひとつが、メンバーの脱退劇。バンドはドラマーとベーシストを失い、活動の継続が危ぶまれていた。しかし奇跡的にベーシストが復帰。そしてサポート・ドラマーにフー・ファイターズのテイラー・ホーキンスを迎え、アルバムのレコーディングに臨んだのである(現在は元デリンジャー・エスケイプ・プランのクリス・ペニーが正式に加入)。

 「テイラーは、僕たちの持っていなかった興味深い要素を持ち込んでくれた。音楽へのアプローチの仕方がとてもオープンマインドだったよ」。

 そう、困難を乗り越えた彼らは、新たなケミストリーを得ることに成功したのだ。加えて、ギターのみならずピアノやウーリッツァーを用いて作曲したことも功を奏して、あの〈コヒード節〉とも言える旋律がよりドラマティックに強化。もちろんトレードマークの〈オ〜オ〜〉コーラスやキャッチーなメロディーも健在で、その結果、今作には強力なフックを装備した楽曲がズラリと並んでいる。

 「僕たちは日々成長してるんだ。だから新しい要素が加わったことによって、新たなファンにもアプローチできたらいいね」。

 さて、まだ先の話ではあるが、次作で〈第1章〉を描いて物語は一度完結する予定である。となると、その後のコヒード・アンド・カンブリアはいったいどうなってしまうのだろうか?

 「いろんな選択肢があるよ。いわゆるコンセプトをなくして音楽だけに集中するのだってまったく問題はない。俺たちは今後もなんだって自由にできるのさ」。

 物語が終わりに近づこうとも、彼らの進化はまだまだ止まらないのだ。
▼コヒード・アンド・カンブリアの作品を紹介。
2002年作『The Second Stage Turbine Blade』(Equal Vision)
2003年作『In Keeping Secrets Of Silent Earth:3』(Equal Vision)
2005年作『Good Apollo, I'm Burning Star IV Volume One:From Fear Through The Eyes Of Madness』(Columbia)

文/粟野 竜二

CHIODOS


 コヒード・アンド・カンブリアを世に送り出した(この手の)名門レーベル、イコール・ヴィジョンがいま激押ししているミシガン出身の6人組。メタリックな感触のギター、そしてハイトーン・ヴォーカルとスクリームの使い方に関して言えば正統派のスクリーモに属するが、効果的に挿入されるキーボードの音色と壮大な物語を思わせる曲展開が他のバンドとは一線を画している。このたびリリースされたニュー・アルバム『Bone Palace Ballet』は、なんと全米チャート初登場5位をマーク。前作『All's Well That Ends Well』でのRPG風な絵柄から一転してマイ・ケミカル・ロマンスっぽいジャケになったことも功を奏したのかもしれないが、ポップ・パンク色は皆無で決して万人受けするとは言い難いサウンドにも関わらず、ここまでの支持を獲得しているのだから驚きという他ない。コヒード同様、時流に擦り寄るのではなく、なかば強引に時代を手元に引き寄せる力を持ったバンドだといえよう。
チオドスのニュー・アルバム『Bone Palace Ballet』(Equal Vision)

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