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掲載: 2007/12/20
ソース:『bounce』誌 293号(2007/11/25) |
ヒップホップやレゲエの界隈があれこれ賑わう一方、層の厚さという意味ではまだまだ遅れを取っている日本のR&Bシーンですが、かつてのブームもすっかり記憶の彼方へ消え去った最近になって、ふたたびその勢いを増してきているようには思えないでしょうか? 洋楽スタイルとの距離の取り方に腐心してきたかつてのアーティストたちとは異なり、シーンの今後を担うシンガーたちは最初からR&B育ちの新世代ばかり。充実した作品が登場してくる準備はとっくに出来上がっていたのかもしれません。ここでは寒い冬をパワフル&セクシーに賑わせてくれる女性アーティストたちを紹介しますよ!
(編集部)
文/川口 真紀 山口リサ それだけ歌に人生を賭けてるから……
90年代後半に盛り上がりを見せた日本のR&Bが、いまふたたび活況を呈している。R&B/ヒップホップが一般リスナーにも聴かれるようになったことで、最初からR&Bを歌うことを目的としたシンガーが増えてきたことや(以前はブームに便乗して〈やらされていた〉アーティストも少なくなかった。だからこそブームは終焉したのだろう)、リスナーの耳にもR&Bサウンド/スタイルが定着したことがその盛り上がりの大きな要因だろう。ここに紹介する浜松出身のシンガー/ソングライター、山口リサもそんな〈シーンの申し子〉ともいうべきシンガーのひとりである。
詩吟の先生だったという祖父の影響で3歳頃から歌いはじめ、小学校5年生の時にTVドラマの主題歌だったマライア・キャリー〈恋人たちのクリスマス〉を聴いてR&Bに興味を持ったという彼女、「小学生の頃から漠然と歌手になりたいなとは思ってた」そうだが、シンガーをハッキリと志すようになったのはクラブで歌うシンガーやDJ、ダンサーの格好良さに衝撃を受けてからだそうだ。
「中学3年の時に付き合った彼氏がDJで(!)。それでクラブに行くようになったんですけど、そこにいるDJやダンサーを見て、世の中にこんなにカッコイイ人たちがいるんだと思って。そこからブラック・ミュージックにどんどんハマっていって、私もクラブで歌いたいと思うようになったんです」。
10代でのクラブ通いについては時効ということでお願いしたいが、そこから地元・浜松のクラブを中心に活動を始め、デモ作りも開始。そのデモが現在も彼女を担当しているディレクターの耳に留まったことで数々のコンピに参加するようになり、そして昨年インディー・レーベルからファースト・アルバム『I'M READY TO GO』をリリース。静岡県下だけで2,000枚以上のセールスを上げた同作のヒットを受けて、いよいよ活動の場をメジャーへと移すことになったのである。と、字面だけ見るとここまでトントン拍子できた感じもするが、いかんせん15、6歳の頃からクラブで歌っていたのだから「長い道のりでしたよ〜(笑)」というのも納得のいくところだ。彼女ほど〈クラブ発のシンガー〉を地で行っているシンガーも、そうはいないだろう。
「自分が影響を受けた90年代のR&Bの要素を全面に出したかった」というメジャー・デビュー・アルバム『Platinum Blesslet』。「自分の新たな側面を引き出してもらえたし、すごく勉強になった」と語るHI-D参加の“アイノアト”や、マライアばりの高音ヴォイスを披露する“My Place”、そのマライアのカヴァーで、「レコーディングで煮詰まった時に気晴らしに歌ってみただけだったのに、収録されることになってしまって、いまになって焦ってます(笑)。けど、イマっぽい仕上がりにはなったかな?」という“Emotions”など全14曲、前向きでピュアなR&Bナンバーがたくさん詰まった一枚となっている。インディー時代からの付き合いだという制作陣も〈わかってらっしゃる〉トラックを提供しており、その心地良いR&Bサウンドにも自然と身体を委ねてしまうだろう。もちろん彼女の澄んだ歌声も聴き応えたっぷりだが、その柔らかい歌声とは裏腹に、彼女の歌にかける思いには並々ならぬものがあるようだ。
「アーティスト名を特別凝ったりせずに〈山口リサ〉って本名でやっているのは、それだけ人生を賭けてるから。そういうものじゃないですか、リズム&ブルースって。これからもそれくらいの気持ちを持って歌を歌っていきたい。日本の文化を大切にしながら、日本にブラック・ミュージックの素晴らしさを伝えていけるようなシンガーになりたいですね」。
| | 12月5日にリリースされる山口リサのニュー・アルバム『Platinum Blesslet』(BabeStar) |
▼関連盤を紹介。
| | 山口リサの2006年作『I'M READY TO GO』(SPARKLE) |
| | HI-Dの2007年作『fragrance』(ユニバーサル) |
| | オリジナルの“Emotions”を収録したマライア・キャリーの91年作『Emotions』(Columbia) |
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文/山西 絵美 May J. 待望のフル・アルバムで大輪の花を開く新星!!
シェリル・リン“Got To Be Real”を反則スレスレの大胆さでサンプリングした“MY GIRL”を含むミニ・アルバム『ALL MY GIRLS』で、2006年に華々しくデビューを飾った現在19歳のMay J.。最近もZEEBRAの新作『WORLD of MUSIC』に招待されるなど日増しに評価を高めている彼女が、このたび満を持してファースト・フル・アルバム『Baby Girl』を完成させた。ANTY the 紅乃壱をフィーチャーしたBACK LOGICのリミックスも強烈だった先行シングル“DO tha 'DO tha'”で幕を開け、KEN-Uとのダンスホール曲“Baby Eyes”やVERBALとのド派手なクラブ・バンガー“HERE WE GO”、RHYMESTERの“B-BOYイズム”と同ネタのビートでTARO SOULと絡む“DESTINATION”など、ビッグ・チューンの数々をドカンと収録。いずれも誰がゲストであろうと自分の歌世界に相手を引きずり込んでいて、そんな新世代ならではの我の強さに驚かされるばかりだ。それはもちろんアルバム用の新録曲においても同様で、DJ JINやkj、冨田恵一といった名だたるプロデューサー陣の影に隠れることなく、キュートだけどコシの強いエキゾティックな歌声でミディアムもアップも難なくまとめ上げている。頼もしいというか、末恐ろしいというか……。
| | 12月5日にリリースされるMay J.のファースト・フル・アルバム『Baby Girl』(NeOSITE) |
▼関連盤を紹介。
| | 2006年にリリースされたMay J.のデビュー・ミニ・アルバム『ALL MY GIRLS』(NeOSITE) |
| | May J.が客演したZEEBRAの2007年作『WORLD of MUSIC』(UBG/ポニーキャニオン) |
| | May J.の最新シングル“DO tha 'DO tha'”(NeOSITE) |
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文/轟 ひろみ、山西 絵美 2007年の冬を美しく彩る、最新のなでしこR&B作品をチェック!!
AI 『DON'T STOP A.I.』 ユニバーサル シーンのトップを爆走するAIの6作目は、お馴染みのT.KURAをはじめ、BACH LOGICやトロイ・テイラーなど国内外のヤバイ面々が提供したビートに、ド迫力の塩辛声で応戦したガチンコ盤。個人的には感動を煽るスロウ〜ミディアムより、“DON'T STOP”みたいなアゲアゲAIちゃんが好き!! (山西)
JUJU 『Wonderful Life』 ソニー “奇跡を望むなら...”のロング・ヒットで急浮上し、先だってはセリーヌ・ディオンのトリビュート盤でも堂々たる熱唱を聴かせていた実力派。初のフル・アルバムとなった今作でもスケール感の大きさで勝負しているが、デビュー時のスタイリッシュな姿を思い起こさせるアーバンなジャジー曲が趣深い。 (轟)
MAO/d 『COLORS OF LOVE』 LA'AMAOMAO この名義では初となるミニ・アルバムは、ラヴソングばかりを集めた乙女な仕上がりに。プロデューサーの亀田誠司がクラムボンやCharaとの仕事を通じて磨いてきたドリーミーな音作りをここで一気に開花させ、高い透明度を誇る彼女のヴォーカルにさらなる彩りを与えている。 (山西)
ORION 『ONCE MORE』 Golden State City 自主リリース盤が地元の水戸を中心に話題となっていた新進シンガーの正式デビュー・シングル。ゴスペルの素養もあるという伸びやかな歌声を活かし、カップリング曲の“願い”共々冬空に染み渡るようなミディアム・スロウに。90年代風のアレンジも親しみやすいね。 (轟)
SATOMI' 『Sings 〜Winter, and Luv〜』 AOZORA 年の瀬に届いた彼女からの便りは、Mr. Childrenや岡本真夜らをカヴァーしたちょっぴり意外な企画盤。しかし耳馴染みのある楽曲でもブラック・フィーリングに溢れたキュートな歌声が乗ればすべて彼女色に染まるわけで、あの矢井田瞳“My Sweet Darlin'”だってCOMA-CHIを迎えてフロア仕様に様変わり! (山西)
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文/山西 絵美 ARIA 個性派との合体で自身の魅力を輝かせるコラボの女王!!
2006年作『ARIA』以来、BIG RONやNORTH COAST BAD BOYZ、SHINGO☆西成らの作品に呼ばれるなどMC陣からのラヴコールも絶えないARIAが、セカンド・アルバム『THE JUKE BOX』を発表する。彼女の魅力のひとつにコンビネーション・シンガーとしてのスキルの高さが挙げられるが、その持ち味は今作でも存分に発揮。例えば、HOKTやSEEDA、K DUB SHINEなど個性の強すぎるラッパーと対等かつ自然に渡り合っている。またSAMI-TとGUAN CHAIによるTC MOVEMENT製の最新ダンスホール・リディムにCHOZEN LEEと乗った“NEXT DOOR”然り、クランク調のドカドカしたビートに“E”QUALと挑んだ“Handle It”然り、未知のサウンドに対する喰いつきの良さは、他の〈なでしこ〉とは比べものにならないほど。日本では前例のないタイプの女性シンガーだけど、確信を持ってカッコイイとお伝えできます。
| | 11月28日にリリースされるARIAのニュー・アルバム『THE JUKEBOX』(rhythm zone) |
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