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第315回 ─ "ALIANCE" WARNING!


掲載: 2008/03/13

ソース:『bounce』誌 296号(2008/2/25)

バウンティ・キラーを中心とするアライアンス・クルー周辺に気をつけろ!!

文/池城 美菜子



 アライアンスは、ダンスホール界の番長、バウンティ・キラーを頂点とするクルーだ。ただしカッチリした組織図は存在せず、あくまでキラー番長を目標とし、彼に魅せられたアーティストたちがランダムに属している。アライアンス入りのメリットは〈バウンティお墨付き〉がつく点で、それをバネにブレイクするケースは多数。エレファント・マンは元アライアンスだし、ウェイン・マーシャルやヴァイブス・カーテルあたりもきっかけは番長。カーテルは番長の代表曲“Sufferer”を書いたことで知られ、当初バウンティへの敬愛を大っぴらに表していたものの、ほかの若手が台頭するにつれて単独行動が目立つようになり、昨年は番長の宿命のライヴァル=ビーニ・マンの結婚式に出席するという暴挙に出た。これ以外でも、アライアンスの注目度が上がるにつれ、他の所属アーティストをライヴァル視する傾向が生まれ、カーテルがビジー・シグナルを嫌っているとの噂が立ったと思ったら、カーテルと仲の良いアイドニアがビジーと喧嘩したり、それをマヴァードが迎え撃ったりという男塾な展開になっている。マヴァード〜デセーカ〜セラーニ人気の爆発で、また勢力図が塗り替えられそうな今日この頃。バウンティ番長の〈ついて来たい奴だけついて来い〉という姿勢が、アライアンスの活きの良さに繋がっている一方、クルーのわりには無法地帯である一因かも。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
バウンティ・キラーのベスト盤『Nah No Mercy -The Warload Scrolls』(VP)
ウェイン・マーシャルの2003年作『Marshall Law』(VP)
ヴァイブス・カーテルの2006年作『J.M.T.』(Greensleeves)
マヴァードの2007年作『Gangsta For Life -The Symphony Of David Brooks』(VP)


ビジー・シグナルが入魂の2作目で、番長への忠誠を誓う!?


 強力インターナショナル・ヒット“Step Out”を持つビジー・シグナルのセカンド・アルバムがこの『Holding Firm』。昨年の頭は最初にフックアップしたマヴァードが大ブレイクしたため、一瞬、存在感が薄くなったように見えたが、いじけることなくヒット・リディムに喰らいついていった結果、昨秋からガンガン挽回を果たしている最中だ。〈しっかり立ち続ける〉との状況に即したタイトルから、彼のヤル気が窺える。スティーヴン・マクレガーやデセーカら現在のシーンを引っ張るプロデューサーが骨組みを作り、それを土台に番長を唸らせたほどのリリシストぶりを発揮。めくるめくDJが聴きどころだが、メッセージ性の高い“Ghetto Yutes”でのシングジェイあたりにビジーの潜在力の高さが潜んでいる。彼だけでなく、ダンスホールのネクスト・レヴェルが覗ける必聴盤。
ビジー・シグナルのセカンド・アルバム『Holding Firm』(Network/ビクター)


〈ポスト・カーテル〉と目されるアイドニアから目を離すな!!


 カーテルに続いてアライアンスを脱退したアイドニアが、彼の育ての親であるコーデル“スキャタ”バレルの元で作った音源集。『Then And Now』=〈ちょい昔と今〉と意訳できる表題が意味深。サッカーやバスケのナショナル・チームに所属していたほどのアスリートであるアイドニアだが、血気盛んすぎるのかアライアンス系のアーティストとの喧嘩やマネージメントとのトラブルが絶えない。スーパー・リディム〈Coolie Dance〉を生み出し、現在ではダンスホール以外の仕事も多いスキャタ・サウンドの真髄と、アイドニアの天性のリズム感が真っ正面からぶつかる意欲作となっている。収録曲は水準が高いうえ、ヴァラエティーに富んでいて華やか。しなやかな筋肉に裏打ちされた、弾力性の高いダンスホールだ。どうやらアイドニアは頭を冷やして、スキャタと改めて音作りをしたほうが良さそう。
アイドニアのファースト・アルバム『Then And Now』(Jamdown/ビクター)




Wayne Marshall/Marshall Law
Vybz Kartel/J.M.T.

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