ホームテキスト
第44回 ─ たむらぱん


掲載: 2008/05/08

ソース:『bounce』誌 298号(2008/4/25)

〈MySpace〉から登場した次世代ポップ・クイーンは……ブタ!?

文/森 朋之




〈MySpace〉を利用したプロモーションはいまや一般化しているが、わずか数か月で1万人を超えるフレンドを獲得し、そのままメジャー・デビューへと繋げてしまったアーティストがついに日本からも現れた。それが田村歩美によるソロ・プロジェクト、たむらぱん。このたびリリースされたデビュー・アルバム『ブタベスト』を聴けば、どうして彼女がこれほどまでに高い評価を得たのかがすぐにわかってもらえると思う。

 作詞/作曲/編曲からジャケットやウェブのデザインまでをみずから手掛けるというたむらぱんの音楽世界でまず印象に残るのは、色彩感に溢れる音像と奔放なアイデアに満ちたサウンド・デザインだ。さりげなくドラムンベースを採り入れた“責めないデイ”、ほんわかとした電子音が躍る“ぶっ飛ばすぞ”、シンプルかつリリカルなピアノ・ロック“へぶん”(曲の途中に入る犬の鳴き声にもぜひ注目!)――基本的に後ろ向きで、放っておくとドンドン落ち込んでいってしまう性格を持て余しつつ、でも、どうにかして夢に向かって進んでいきたい、という意志を伝えようとするリリックが決して重く聴こえず、むしろ軽やかでキュートなポップ・ミュージックとして成立しているのは、やはり彼女のアレンジ・センスによるところが大きいのだと思う。また、楽曲のタイプによって表情をクルクルと変えるヴォーカルも、とても魅力的だ。

 ブタの被りモノでジャケットに登場してしまう〈不思議ちゃん〉的な雰囲気に惑わされてはいけない。〈MySpace出身〉ということを含め、彼女は極めて2000年代的な、まったく新しいタイプのポップ・クイーンになる可能性を秘めているのだから。
たむらぱんのファースト・フル・アルバム『ブタベスト』(コロムビア)
たむらぱんの2005年のミニ・アルバム『人のいろは』(VITALITY)



この記事をflogに追加
この記事をはてなブックマークに追加

テキストへ戻る


この記事にはトラックバックが可能です
この記事のトラックバックURL:
http://www.bounce.com/tb.php/97749

複数キーワードによる検索も使えます!