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掲載: 2003/03/13 更新: 2003/03/20
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今回はP2Pネットラジオの大本命「PeerCast」の詳しい使い方をご紹介。音楽の楽しみ方を広げるツールとして役立つこと間違いなしのこのPeerCast。未体験の方はぜひ試してみてはいかが?
文/四本 淑三 ネットラジオはつまらない!?
ネットラジオの世間的評価は必ずしも高くはない。いや、はっきり言って低い。できれば聴きたくないとさえ思われているらしい。というのもつい最近、学生と思われる男子2名のこんな会話を耳にしてしまったのだ。
「夕べ研究室で徹夜しちゃってさー。でもあそこってラジオもテレビも何もないじゃない」 「そーだなぁ。CDとかMDとか持ってなかったわけ?」 「ナシ! 結局ネットラジオしか聴くものなくてさー」 「うへー、それ悲惨だなぁ」
おいコラ! 何が悲惨だ! とネット生活二十有余年のオジサンは突っ込みたかった。なにしろネットラジオが聴ける環境なんて、少し前までなら特権的なものだったからだ。ちっとは感謝せんかコラ! とはいえブロードバンドの常時接続が当たり前になった現在、言われてみれば私だってネットラジオなんか聴いちゃいなかったのだ。理由は極めてシンプル。つまらないのだ。
ダメラジオの最たるものは、好みのジャンルや年代を入れると「そんな貴方が聴きたい曲はこれだ!」とばかりに自動選曲してくれるタイプ。最初は確かに面白い。だが少しでも変な曲がかかると、なにか馬鹿にされているようで腹が立ってくる。おまけにこのサービスが成り立っているのも、どこかのシステム屋さんがちょちょいとプレゼンした結果なのだろう。なんて想像できたりするから余計に、音楽をナメんなよ! という気分が高まり精神衛生上よろしくない。
といったような個人的な事情はさておき、一般的にネットラジオがつまらないのは、誰もが自由に番組を作れる土台がないからだ。その土台とは、まず法的なものだ。日本では著作権処理が極めて面倒で、事実上ネットで音楽を自由に使えない状態にある。また、かの自由の帝国アメリカですら、ネットラジオ局に対し著作権使用料の支払いを課すと言いはじめ、それがあまりに高額だったため、弱小局がバタバタと潰れていった。いずれにしてもメジャー系楽曲をネタにしていては、満足に番組を作れないのだ。
しかしながら「だったら結構! むしろありがとう!」と私は言いたい。少なくとも地上波でイヤというほど流れている曲を、ネットでまで聴きたいとは思わない。この事態を建設的飛躍のチャンスとさえ思っている。もしネットワーク発の、なにかしら音楽ムーヴメントのようなものが生まれるのだとしたら、多分こういうきっかけで始まるしかないのだ。
つまりコンテンツは自分で作ればいい。それで法規制の問題は完璧に解決できるのだ。ホームページに自分の写真や文章を載せるのと同じように、ネットラジオでは自分の曲をかければいいだけだ。放送すること自体は法規制を受けないし、自分の曲をどう使おうが他人にとやかく言われる筋合いもない。インターネットのコンテンツはインターネットのユーザーが作る。コレが基本だ。基本に立ち返ろう! ただ、そうした放送がすべて面白いかといえば、多分聴くに堪えないものの方が多い。しかし、それはまさに個人のwebサイトと同じ事情で、面白いものもあればつまらないものもあるというだけの話だ。
ただ個人でネットラジオを始めるには、技術的なハードルが高い。まず回線の確保が大変だ。ブロードバンドとはいっても、ADSLはダウンロードが速いだけ。放送の送信に使う上りの帯域は非常に細く、ネットラジオのサーバーを立ち上げたとしても、同時にアクセスできるリスナーはせいぜい数人が限度だ。光接続もいまのところ地域限定サービスでしかない。それに太い回線が手に入ったとしても、サーバーの設定や維持管理は、なかなか素人の手に負えるものではない。 |
P2P接続でネットラジオを聴こう その1
さて、ここからがようやく本題。そうした技術的問題を一挙に解決するのが、ここで紹介する「PeerCast」というアプリケーションなのだ。
PeerCastはネットラジオのレシーバーである。と同時に、送信するためのサーバーでもある。この1台2役の機能がミソなのだ。まずPeerCastを起動すると、インターネット上にいる他のPeerCastユーザーを探し始める。他のユーザーが見つかると、そのユーザーが受信しているチャンネルの情報をゲット。めでたく貴方はその放送を聴くことができるようになる。
一方、貴方がゲットしたその情報は、さらに他のPeerCastユーザーへも中継されている。そして貴方から情報を受け取ったユーザーは、さらにまた他のユーザーにその情報を……。という具合に、ユーザーを順繰りに中継していくことで、PeerCastの放送は成り立っているのだ。こんな風にユーザー間で成り立つネットワークの仕組みを「P2P」と呼んでいる。同じ仕組みを使ったソフトとしては、ファイル交換ソフトのGnutellaが有名だが、PeerCastにはファイル交換の機能はなく、オーディオストリームを中継するだけだ。
いずれにしても、P2Pのメリットはアクセスが1箇所に集中しないこと。PeerCastの場合は、大規模なサーバーや太い回線がなくても、大勢のリスナーに音声の配信ができることだ。必要なソフトウェアも無料で使えるし、設定も簡単。誰にでも使えるのがいい。だから「そんな風に説明されてもよくわからん」という人には、さっさと使ってみることをお勧めする。
現在のところLinuxとWindowsでしか使えないのが残念だが、ここではWindowsを使うことを前提に、どんなものなのかを簡単にさらっておこう。以下、お約束の前置きだが、ここで紹介するソフトウェアはユーザーの自己責任においての利用となる。これらのソフトを利用することで仮にあなたが不利益を被ったとしても、誰も責任を負ってくれないのでそのつもりで(編集部注:音楽ファイルを著作権者・著作隣接権者の了解を得ずにインターネット上で配信することは著作権法で禁じられています)。
 | | PeerCastのwebインターフェイス画面 |
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まず何はなくともPeerCastのインストール。PeerCastを起動すると、モニター画面右下のタスクバーに、メガホン型のアイコンが表示される。これがPeerCast稼動中のサインだ。これを確認したら、webブラウザを起動してURL欄に[http://localhost:7144]とタイプする。これでwebブラウザにPeerCastの状態が表示される。 web画面の「All channels」をクリックすると、放送中のチャンネル一覧が出るはず。何も表示されなくても焦らなくていい。あなたの存在を、他のPeerCastホストに伝えるのに時間がかかっているのだ。チャンネルの数は絶えず増えたり減ったりを繰り返しているが、これは放送を始めた人、途中で止めた人が絶えずいるため。だからいい調子で聴いていても、いきなり放送が終わってガックリくることもある。まあ、放送している側の都合というのもあるだろうから、あまり目くじら立てないように。 |
P2P接続でネットラジオを聴こう その2
その放送を聴くにはMP3プレイヤーのWinAmpが必要になる。現在のWinAmpには「ver2」と「ver3」の2系統あるが、放送を聴くだけならどちらでもかまわない。もし放送もしたいのなら、ver2系をお勧めしておく。
WinAmpがインストール済なら、さきほどのweb画面のチャンネル一覧にある「Play」の文字をクリックすると放送が聴ける。何も音が出ない場合は、うまく接続できなかったか、接続した局が何かの事情で放送を中断したか、あるいはジョン・ケージの「4分33秒」を聴かされている可能性が高い。そういう場合は別のチャンネルをトライしてみた方がいいだろう。
放送する場合は、WinAmpに入れるDSPプラグインが必要になる。これはWinAmpの出力をPeerCastに送り込むためのソフト。ver2系のWinAmpなら、DSPプラグインは「OddCast」、ver3系なら「OddCast V2」が使える。ただOddCast V2はリリースされて間もないこともあり、まだ動作は安定していないようだ。設定は簡単で、OddCastとPeerCastのパスワードとポート番号を合わせ、マウントポイントと呼ばれる接続設定をするだけ。具体的な方法は、Radio1のような詳しいサイトがあるので、そちらを参考に。
さて、このPeerCastにも問題がないとは言えない。そもそも、すべての放送がすべてのリスナーへ確実に届く保証がない、かなりナーバスな仕組みなのだ。たとえば中継に入っているホストが帯域幅を使い切ってしまった場合、そこがボトルネックになってネットワーク全体が繋がりにくくなることもある。最近ではファイアウォールを装備したWindows XPやルータの普及で、気づかないうちにネットワークをブロックしているケースも多いらしい。
ユーザーの回線やパソコンを使って中継しているために、ユーザーの心掛けが直接ネットワークのパフォーマンスに影響してしまうというわけだ。つまりユーザーの自助努力なしにはインフラそのものが成り立たないのである。しかしそんな欠点もPeerCastの面白いところだと私は思っている。PeerCastはネットラジオの諸問題に対するハッカーからの技術的回答、あるいは提案である。このアイディアを生かしていこうとするなら、ユーザーも無自覚ではいられないということなのだ。 |

 ・PeerCast ・Winamp ・OddCast ・Radio1
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