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掲載: 2003/05/01 更新: 2007/07/09
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最近にわかに注目を浴び始めている新世代オーディオフォーマット、SACD。まだ認知度の低いこの新世代CDは実際のところどうなの? 従来のCDとの音質や価格の違い、CDユーザーのメリットとデメリットについて調査してきました。
文/四本 淑三
思い起こしてみれば実に退屈だった80年代前半。だから私はまだ覚えている。CD発売当初の宣伝文句がこんな感じだったことを。
「デジタルだからいくらコピーしても音が劣化しない!!」
平和である。そしてあまりに無邪気である。当時はこのようにしてアナログ・レコードとの差別化を図る必要があったのだ。そしてなにより、この性質が将来のデメリットになろうとは、当時誰も予測していなかったのである。
というわけで今回のテーマは「次世代CD」。
CDの問題はリッピングに対して無防備であることに尽きる。そこで最近にわかに存在感を増してきたのが「DVD-Audio」「SACD(Super Audio CD)」といった、次世代CD規格である。どちらの規格にも最初からコピープロテクトの仕組みが含まれているわけである。
実はこれらの規格、ソフトもハードもすでに前世紀末から存在していた。本来ならば、現行のCDに対する圧倒的なオーディオ特性での優位、それこそが訴求すべきポイントだったはずなのだが、そこは一般的には評価されず、コピープロテクトの仕組みが注目されるというのは、ちょっと可愛そうな気もしないではない。
そのスペックの詳細は各規格のオフィシャルサイトを参照していただくとして、どちらもピュアオーディオ系の人ならば、あれこれ薀蓄(うんちく)を傾けたくなるような数値と差異で溢れている。ここまでのハイスペックが必要か、という気もしないではないが、音が良くて悪いことは何もない。
市場に受け入れられない新規格には「高い」「タイトルが少ない」「今後の主流たりうるか分らない」という要素が必ずあるわけだが、このうち次世代CDについて問題になるのはタイトルが少ないことだけだ。
実は調べてびっくり、ソフトの値段はすでに相当にこなれていたのである。たとえば@TOWER.JPの「キーワード検索(ALL)」を使って、"SACD ROCK"で検索してみたら14件ヒット。そのうちの1枚である『ベガーズ・バンケット』の輸入盤は2390円、国内盤は2718円。旧譜とすれば高いが、新譜と考えればごく普通の値段である。というかもうストーンズがSACDで買えるんですよお父さん!
一方のDVD-Audioもソフトの値段はほとんど変わらない。SACDプレイヤーは3万円台から売られていたし、DVD-Audio/SACDの両方に対応する、いわゆるユニバーサルタイプのプレイヤーなんていうのもある。もちろんこれらのプレイヤーは従来のCDも再生できるから、1台持っていればどの規格が主流になるかを様子見する必要もない。 |
SACD VS DVD-Audio
とはいえ規格が2つあって仕様が異なる限り、使い勝手も必ず違う。とりあえず手持ちのCDプレイヤーで聴けるかどうかでいえば、SACDということになる。
現在売られているSACDの多くは、本来のSACD記録面と、従来のCD記録面の2層を併せ持つハイブリッド構造になっている。これはSACDでありながら普通のCDプレイヤーでも聴ける仕様で、パソコンの世界で言うところの上位互換になっているのだ。だから従来のCDと同じ感覚で使えるところが良い。
ハイブリッドSACDの問題は、CD層に限り今までのCDとほぼ同じように扱えてしまうことだ(大きな声では言えないがリッピングできてしまうのだ!)。これはあくまで個人的な予測だが、SACD対応のプレイヤーが一定量普及した時点で、ハイブリッドSACDはカタログから消えてしまうか、あるいは将来的にCD層にも何らかのコピープロテクトがかかるような気がする。SACDをリッピングできないCDとして位置づけるなら、そうしないことには意味がないからである。
一方のDVD-Audioは、DVDとはいえ、すべてのDVDプレイヤーで聴けるわけではない。DVD-Audioに対応しているプレイヤーでなければダメ。そうしたデメリットを埋めるために「DVD music」というソフトパッケージが最近になって登場した。こちらは通常のDVDプレイヤーでも聴ける仕様だが、DVD musicの実態は動画を抜いただけのDVD-Videoである。 |
CDを捨てるべからず
いずれにしても、いま売られている次世代CDのタイトルは少なすぎる。もしあなたが健全な音楽ファンであるなら、慌てて次世代CDの環境を整える必要はない。もし今後のリリースが急激に次世代CDへシフトしたとしても、現行のCDが陳腐化するとは考えにくいからである。CDの問題はリッピングできることだけで、あなたが自分で聴く限りにおいて、それは何の問題にもならない。
むしろ陳腐化を恐れて、手持ちのコレクションを捨てたり売ったりするのだけは止めたほうがいい。私はかつてアナログ・レコードを大量に捨ててしまったことを、いまだに後悔している。どうせすぐにCDで再発されるだろうと思ったからだが、20年経った今もまだCD化されていないタイトルは山ほどある。
なぜそんなことをしたかと言えば、アナログ・レコードからCDに乗り換える際は、結構な開放感を伴ったからだ。何度聴いても溝は減らない、指紋やホコリを気にしなくてもいい、あの忌々しいスクラッチノイズやワウフラッターともこれでお別れ。そうしたスッキリ感と共に、アナログ・レコードともお別れしてしまったのだ。
今回の場合は、そうした劇的な変化は多分、何も起こらない。音は良くなるかも知れないが、コピーはできなくなる。その程度の違いしかない。なあんだ。でもなにか変化が起こるとすれば、たぶん再生環境だろう。
実はDVD-AudioとSACDの面白いところは、最大6chまでのマルチ・チャンネルをサポートしているところで、最近流行のホーム・シアター・システムとの親和性が高いことだ。日本人は、かつて4チャンネル・ステレオで失敗している。その反省からマルチ・チャンネルにはコンプレックスもあるわけだが、それらを一度忘れて聴いてみると結構面白い。
たとえば現在のSACD売り上げNo.1たるピンク・フロイドの『狂気』は、マルチ・チャンネル向けにリミックスが行われた盤としても有名だ。音楽そのものの定位は変えずに、時計だの靴音だの、例の効果音のみがグルグル回るようになっているらしい。
らしい、というのはまだ私は聴いていないからだ。そしてこのためにマルチ・スピーカーとSACDプレイヤーを買ってもいいかな、なんて思い始めていたりするから危ない。オヤジ向けの企画としては、なかなかいいところを突いている。すでに私の頭の中では「MONEY」のキャッシャー音(意味がわからない青少年はこのページの「ALBUM AUDIO」をクリックして「MONEY」を聴くべし!)と共に、クレジットカードの残高や請求書がグルグル回り始めている。 |

 ・スーパーオーディオCD ・DVDオーディオプロモーション評議会
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