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第16回 ─ サーフ・ギター


掲載: 2003/07/10

ソース:『bounce』誌 244号(2003/6/25)

SURF GUITAR
波乗りしよう、ギターを鳴らそう、男なら! サーフ・ギターを聴けば、いつでもどこでも夏がやってくる! さあ、ノッテケノッテケ!

文/中 シゲヲ(The Surf Coasters)



 50年代後半のアメリカで、デュアン・エディー、チャンプス、リンク・レイ、ヴェンチャーズといったロッキン・インストが次々とヒットを飛ばしたことを受け、さまざまなインストゥルメンタルを演奏するアーティストが生まれていった。サーフ・インストもその流れで登場したサウンド・スタイルであり、その元祖となるのがカリフォルニアにおいてサーファー連中から圧倒的な人気を誇っていたディック・デイルである。実際にサーファーであったディックは、波に乗るその高揚感を表現するために、素早いピッキングと当時開発されたばかりのリヴァーブ・ユニットを用いて見事サーフ・ギター・サウンドを完成させ、それは当時のティーンエイジャーに絶大なる影響を与えたのだった。カリフォルニアのローカル・シーンで大ブームとなったサーフ・インストは、シャンティーズ“Pipeline”やサーファリーズ“Wipe Out”の全米ヒットをきっかけに全世界へと飛び火し、ギターが主役となるのちのロックの源流となった。
本コーナーの選盤/執筆をした中シゲヲが率いるThe Surf Coastersの最新アルバム『Surf Attack』(navel/コロムビア)。こちらも必要不可欠盤!




DICK DALE & HIS DEL-TONES
『King Of The Surf Guitar:The Best Of』 Rhino
94年に公開された映画「パルプ・フィクション」に“Misirlou”が使用されたことによって、近年ふたたび脚光を浴びたディック・デイル。フェンダー・ストラトキャスターとリヴァーブ・ユニットによるそのウェットなサウンドとシャープなピッキングは、サーフ・ロックはもとより、のちのハード・ロックにも影響を与えた。現在も作品を発表し、ツアーを廻るなど精力的に活動を続ける、まさに〈King Of The Surf Guitar〉なのである。



 

THE BEACH BOYS
『Instrumental Hits』 東芝EMI
近年では『Pet Sounds』をはじめとする60年代中期〜後期作品の評価が高いビーチ・ボーイズだが、もともとはその名のとおり、ディック・デイルのようなサーフィン・サウンドにフォー・フレッシュメンのコーラスを組み合わせようと結成されたガレージ・バンド。そのスタイルで“Surfin' U.S.A”がヒット、ヴォーカル入りサーフ・ミュージックも全米で一大ブームとなる。本作は、彼らのインスト・ナンバーばかりを集めた日本独自のコンピレーション。



 

THE CHANTAYS
『Pipeline:The Best Of』 MCA
イントロの〈テケテケテケテケ……♪〉が印象的な“Pipeline”(63年全米4位)は、日本だとヴェンチャーズの演奏のほうが有名だが、もともとはサンタ・アナ出身の彼らがオリジナル。その、日本人も共感する哀愁を帯びたメロディーや、リヴァーブのかかったフェンダー・ギターとエレキ・ピアノが絡む、陰鬱で重苦しい雰囲気のサウンドが特徴的。90年代に入ってもオリジナル・メンバーでアルバムを発表し続けている。



 

THE VENTURES
『Live In Japan '65』 Liberty/1965
まるで夏の風物詩のようなヴェンチャーズが、日本で大ブレイクしたのは、65年の来日時であった。突如エレキ・ギターが爆発的に売れ、子供たちのバンドが日本中に生まれることになる。サーフィンとは直接関係のないバンドだが、“Pipeline”をはじめとするサーフ・インストを日本に普及させたという意味でその功績は計り知れない。このころのヴェンチャーズの演奏はダイナミックでハード・ロック的でもあった。



 

THE SURFARIS
『Wipe Out:The Best Of』 MCA
63年全米2位の大ヒットとなった“Wipe Out”は、いまやロック・クラシックスの定番。〈電撃ネットワークのテーマ〉は、実はこの曲が元になっている。カラッとした、いかにもカリフォルニア的なサウンドにサックスも加わったパワフルな演奏で人気者となった彼らだが、当時まだ高校生だった。ちなみに、ザ・フーの“The Ox”は、彼らの“Waikiki Run”をモチーフにして作ったといわれている。メンバーは代わっているが現在も活動中。


 

LINK WARY
『Rumble!:The Best Of』 Rhino
サーフ・インストの原点、さらにはのちのパンク/ガレージ系アーティストの祖として、ディック・デイルとともに語らないわけにはいかないのがリンク・レイ。強力に歪んだ、いかにもヤバイ感じのするギター・サウンドで “Rumble”“Raw-Hide”“Jack The Ripper”といったガレージ・クラシックスを数多く生み出している。現在でもその〈Raw〉なサウンドは健在、革ジャン・ロッカーとして現役である。





THE LIVELY ONES
『Surf Rider!』 Del-Fi/1963
「パルプ・フィクション」のエンド・ロールで“Surf Rider”が使用され、いまの世代にも認知されることになったライヴリー・ワンズ。キラキラしたギター・トーンは、当時フェンダー社の最高級モデルとして発表されたばかりのジャガーを使用したことで得られた。破壊的なサックスや豪快なドラムの演奏は、のちのパンク・ロックにも共通するワイルドさ。本作を含め、62〜64年の間に5枚のアルバムを発表している。



 

JON & THE NIGHTRIDERS
『Raw & Alive '98』 Gee-Dee/1998
70年代後半のサーフィン・リヴァイヴァル・ブームの流れから結成された、80年代を代表するバンド。リーダーのジョン・ブレアはサーフ・ミュージックの研究家としても高名であり、数々のサーフ・コンピレーションや復刻も手掛けている。ストラトキャスターに太いフラット弦を張り、深くかけたリヴァーブとともに研究家ならではのサウンドを出しているが、決して古臭くなく、リアルタイムのロックとしてサーフ・サウンドを作り出しているのはさすがである。



 

THE ASTRONAUTS
『太陽の彼方に』 BMGファンハウス
日本では〈ノッテケノッテケ……♪〉と歌詞が付いてヒットした“Movin'”(太陽の彼方に)のオリジナルがアストロノウツ。当時のサーフ・バンドには学生ガレージ・バンドと、ブームに便乗したプロのバンドとがあったのだが、どちらかといえば彼らは後者。リー・ヘイゼルウッドによって計算された音作りは〈サーフィン版ウォール・オブ・サウンド〉といった趣。ヴォーカル・ナンバーも数多く録音、“Hot Doggin'”のスピード感は最高にイカシてる。



 

THE PHANTOM SURFERS
『The Exciting Sounds Of Model Road Racing』 Lookout/1997
90年代、サーフ・ガレージ・バンドが台頭していく火付け役となったのがファントム・サーファーズ。当時の機材を使い、徹底的にローファイな感触にこだわったサウンドは、いかにも(コレクター文化が華開いた)90年代的なアイデアで、日本のジャッキー&ザ・セドリックスらとともに、現代にサーフ・ガレージを普及させた功績は大きい。日本にもたびたび来日しており、ワイルドでユニークなパフォーマンスを見せてくれた。



 

THE TRASHMEN
『Live Bird '65-'67!』 Sundazed
サーフ・バンドというよりパンク/ガレージのルーツとして評価の高いトラッシュメン。“Surfin' Bird”は、ボビー・フラー・フォーの“I Fought The Law”(クラッシュのカヴァーでお馴染み)と並び、パンク・クラシックとなっている。フェンダー・ジャガーとリヴァーブの組み合わせによるギター・サウンドは、ディック・デイルやリンク・レイ、果てはカントリーやブルースも採り込んだプレイを見せ、その音楽性は幅広い。



 

加山雄三とランチャーズ
『ブラック・サンド・ビーチ』 Dreamusic
60年代、洋楽的センスでもって作品を作り、演奏できた数少ない日本人アーティストが加山雄三である。ヴェンチャーズのサウンドを基本にはしているものの、シングルとして発表された国産サーフ・インスト“ブラック・サンド・ビーチ”の完成度は、とても日本人とは思えないほどで、海外でもカヴァーされていたりする。ちなみに、そのB面だった“ヴァイオレット・スカイ”はサーフを通り越してサイケに首を突っ込んでいる。


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