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第18回 ─ !K7 祝150!


掲載: 2003/09/18

ソース:『bounce』誌 246号(2003/8/25)

明確な特色があるわけじゃないけれど!着実に良作を送り出し!ついにカタログ・ナンバー150!を記録したレーベル=!K7!に僕らはいつもビックリさせられてばかりだ!!

文/青木 正之、出嶌 孝次



〈レーベル買い〉という言葉には2種類のマインドがあって、ひとつは〈レーベル名からだいたいの音が判断できるから買う〉てな感じ、もうひとつが〈レーベル名から浮かぶ固有のテイストはないけど、そのチョイスを信用して買う〉みたいなもの。いや、どうでもいいんですけど、この!K7は疑いなく後者の気分で判断されるべきレーベル、しかもその筆頭なのであります。

 そもそも〈Stud!o K7〉が正式表記だった!K7、その名前のとおりに、映像業務を行う西ベルリンの会社です。ホルスト・ヴァイデンミュラーによってレーベル部門が設立されたのは91年ですが、脚光を浴びたのは、93年にテクノのDJミックス・シリーズ〈X-Mix〉をスタートさせてから。ローラン・ガルニエやデイヴ・クラーク、リッチー・ホウティン、ケヴィン・サンダーソン、ケンイシイら世界各国の名だたるDJを迎え、次々にヒットを飛ばしていった同シリーズは、テクノのミックスCDが現在のように山ほど出ていない時代にあって、レーベルの名前を大きく広めました。が、ちょうど10作目にあたるハードフロア編でシリーズを打止め(現在はボックス・セットとしてもリリース)、より広いカテゴリーの音源を対象にした〈DJ Kicks〉シリーズに移行していきます(コラムを参照)。

 また、96年からはレーベル・オリジナル音源のリリースを開始。K・ハンドやテレンス・パーカー、ワムドゥー、ガイ・コールド・ジェラルド、ニック・ホルダーらがオリジナル・リリースを重ねていくことになります。その後はライセンス音源も含めつつ、国やジャンルを問わず、テクノ/ハウス、ドラムンベース、ヒップホップ、ダブ、エレクトロニカ、クラブ・ジャズ……と、いわゆるクラブ・オリエンテッドな音楽であること意外にはノー・ルール。ただ、そうでありながら、もっとも守るのが難しいルール(=いい音楽を送り出すこと)にだけは忠実なレーベルなのです。(編集部)




SPACEK 『Vintage Hi-Tech』(2003)
彼らの!K7移籍は大きな話題だった。アイランド・ブルーからデビューするも、レーベルのゴタゴタでその名を轟かし損ねた不遇の天才グループ、スペイセックの移籍第1弾。エレクトロニクスと歌のソウルフルな融合劇はもっと評価されるべき。(出嶌)



 

SWAYZAK 『Dirty Dancing』(2002)
これまで展開してきたディープ〜クリック・ハウスはそのままに、ディスコやニューウェイヴ的なタッチを新たに加えた斬新な構成。ほぼ全編に登場するヴォーカルも大きなアクセントとなり、実にユニークな内容の一枚に。(青木)



 

SMITH & MIGHTY 『Life Is...』 More Rockers(2002)
ヴェテランながらいまだ貧欲に進化を求めるスミス&マイティ。ダブ/レゲエを軸にソウルやヒップホップなどさまざまなエッセンスを織り込みつつブリストル特有のスモーキーな音に仕上げ、深遠なる世界を堪能させてくれる。(青木)



 

URSULA RUCKER 『Supa Sista』(2001)
キング・ブリットや4ヒーローがプロデュースに携わった、フィラデルフィア最高の詩人/シンガーが送るファースト・アルバム。現行のコマーシャルなUSシーンからはこぼれ落ちてしまう才能をフックアップするのも!K7の役割か?(出嶌)



 

HERBERT 『Bodily Functions』 Soundslike(2001)
本来持っていた実験性とこれまでにないポップな要素が見事に融合し、大ブレイクのきっかけとなった本作。テクノ、ハウスをはじめエレクトロニック・ミュージックのあらゆるテイストが絡み合ったフリースタイルな作品。(青木)



 

RECLOOSE 『Cardiology』 Planet E(2002)
カール・クレイグの下から衝撃的なデビューを果たしたリクルース。デトロイトのシーンに新風を吹き込んだこのファースト・アルバムは、ジャズからテクノ・リスナーまでをも虜にさせる美しいシンセと、緻密に作り込まれた感覚が特徴。(青木)



 

TOSCA 『Dehli 9』(2003)
ダビーでクールなダウンテンポ、ジャズを得意とするトスカ。2枚組となる本作では生楽器やヴォーカルを積極的に採り入れることで、新しいトスカ・サウンドの獲得に成功。Disc-2に収められたピアノ・ダブが最高の出来です!(青木)



 

RAE & CHRISTIAN 『Nocturnal Activity』(2002)
独自のソウルフルな音世界を編み上げるレイクリ。快作『Sleep Walking』に続く本作は、フェイズ・アクションやアット・ジャズ、トム&ジョイスといった並びが!K7っぽいリミックス集。パーラメントのヌルいカヴァーも収録。(出嶌)





EARL ZINGER 『Put Your Phazers On Stun, Throw Your Health Food Skyward』 Red Egyptian(2001)
ロブ・ギャラガーのサイド・プロジェクト。ラウンジーかつラディカルなガラクタ世界をポップに提示。ブラー“Song 2wo”のカヴァーが冗談なのか、マジなのかも判断不能。(出嶌)



 

FUNKSTORUNG 『Vice Versa』(2002)
ビョークのリミックスで一躍注目の的となったファンクストラングのリミックス集第2弾。今作ではニルス・ペッター・モルヴェル、プラッドらの楽曲を、ヒップホップ感覚満載のミックス&エディットで過激に料理している。(青木)



 

PLAYGROUP 『DJ Ki-cks』(2002)
日本では株が高騰中のトレヴァー・ジャクソン。プレイグループ名義での〈DJ Kicks〉では、メトロ・エリアなど旬モノからマテリアルやヒューマン・リーグのようなものまで自作に近い文脈でダビーにミックス。ラプチャー人気も本作からでしょ。(出嶌)



 

FIVE DEEZ 『Kinkyna-sti』(2003)
ほとんど神様扱いのファット・ジョンを擁する人気ヒップホップ・グループ、ファイヴ・ディーズまでもが !K7と契約!! 9月上旬に届けられる本作でも、彼らならではのソウルフルな世界観はキープされている。詳細は来月号にて!!(出嶌)



 

KRUDER & DORFME-ISTER 『The K&D Sessions』 G-Stone(1998)
ウィーン出身のユニット、クルーダー&ドーフマイスター周辺にも!K7作品は多い。リミックス曲をコンパイルした2枚組アルバムの本作は、彼ら特有のダブとジャズの影響下にある、独特の浮遊感を目一杯体感できる好内容。(青木)



 

TERRANOVA 『Hit-chihiking Non-Stop With No Particular Destination』(2002)
元スリッツのアリやキャス・コフィをゲストに迎えた!K7移籍1作目で、ヘヴィー&ニューウェイヴィーなブレイクビーツが心地良い好作。ボブ・マーリーのカヴァーまでやってるぞ。(出嶌)


文/bounce編集部

注目DJがゾクゾク登場!の名物シリーズ〈DJ Kicks〉!!

 95年にスタートした〈DJ Kicks〉シリーズは、あらゆる分野のDJ(ではない人のモノもあります)を迎え、より幅広いジャンルの音楽を送り出そうというもの。人選はさまざまですが、まだシングル・サイズの作品しかリリースされていない段階でミックスCDをリリース(トゥルービー・トリオやヴィクター・デュプレーがこの例です)し、その才覚をいち早く世に出すのに寄与したり、あるいは単純に旬のド真ん中な人選(別掲のプレイグループやティガ、昔だとニコレットなんかがそうでした)で楽しませてくれたり、ちょっとリリースとはご無沙汰なアーティストの近況報告でもあったり、いろいろです。下に紹介した他にも、クルーダー&ドーフマイスター、ナイトメアズ・オン・ワックス、ステイシー・プーレン、ロッカーズ・ハイファイ、スミス&マイティ、クロード・ヤング、テラノヴァ……といったビッグ・ネームが〈DJ Kicks〉をリリースしているので、チェックされたし。こうやって並べてみると、微妙に統一感のあるジャケも素敵ですね。

 ▼豪華すぎる〈DJ Kicks〉シリーズを一部紹介。
96年のカール・クレイグ盤(!K7)
97年のDJカム盤2003年のティガ盤(!K7)
97年のニコレット盤(!K7)
98年のアンドレア・パーカー盤(!K7)


99年のキッド・ロコ盤2003年のティガ盤(!K7)
99年のケミストリー&ストーム盤(!K7)
2000年のステレオMC's盤(!K7)
2001年のトゥルービー・トリオ盤(!K7)


2002年のヴィクター・デュプレー盤(!K7)
2003年のティガ盤(!K7)

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