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マイケル・ジャクソンとその音楽>>
オンライン掲載:2001/11/15

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キング・オブ・ポップの誕生


文/林 剛
 
 80年代。すでに米音楽界のスーパースターだったマイケルが、キング・オブ・ポップなムーン・ウォーカーとして全世界に飛躍した時代である。その〈飛躍〉に貢献したのは、ご存知クインシー・ジョーンズ。マイケルは、ちょうど20歳になった78年、ジャクソンズの一員として同グループの3作目『Destiny』を発表した年に、御大クインシーと運命的な出会いを果たした。後にブロンズ像にまでなってしまう(『History』のジャケの話です)超人マイケルも、クインシーとの出会いがなければ単なる〈子役上がり〉のシンガーで終わっていたかもしれない。しかしマイケルは、ステージ・パパの足枷から逃れ、クインシーの庇護のもとで新たな音楽人生を切り拓く。そのスタートとなったのが、79年に発表されたレーベル移籍後のソロ第1弾アルバム『Off The Wall』であることは疑うべくもないだろう。クインシーが指揮を執り、マイケルみずからもソングライティングやプロデュースに関わった『Off The Wall』。少年時代の面影を残す〈アフロ〉な風貌、それにフレッド・アステアからヒントを得たという、マイケルのトレード・マークとでも言うべき〈白ソックスと丈の短いパンツ〉の衣装が目を惹くジャケットからして、新時代へ向かわんとするマイケルの意気込みが伝わってくる。収録曲の“Don't Stop 'Til You Get Enough”が翌年のグラミー賞で最優秀ソウル/R&Bシングルに選ばれるなど話題を呼んだ同作だが、それが(結果的に)次なる怪物の前哨戦であったことなど、当の本人を含め、誰が予想しただろうか。
 ジャクソン家の〈歌って踊れる坊や〉から、曲を書いてプロデュースもこなす〈大人のアーティスト〉へと変貌を遂げたマイケル。ソングライターとしての自信をつけた彼は、『Off The Wall』の成功を受けて80年にリリースされたジャクソンズの新作『Triumph』でも積極的に楽曲制作に関わっている。アルバムはジャクソン5の『Maybe Tomorrow』(71年)以来となるR&Bチャート1位を獲得し、ジャクソン兄弟健在!を広くアピールしたが、もちろんこれは『Off The Wall』のヒットによるマイケル人気が大きく影響していた。やはり、ジャクソンズはマイケルがいてこそ、なのである。
 こうした流れを経て82年にリリースされたのが、全世界で5,000万枚のセールスを上げた世紀のモンスター・アルバム『Thriller』だ。『Off The Wall』と同じく制作はクインシー・ジョーンズで、話によれば同作には実に300曲もの候補曲があったとか。結果、収録されたのは9曲ながら、ここからのシングル7曲が全米トップ10入りを果たし、アルバムは37週も首位をキープするという、とんでもない記録を作った(84年のグラミー賞では史上最多の8部門を受賞)。ありていに言えば、この『Thriller』は前作『Off The Wall』に引き続いて西海岸の腕利きミュージシャンを起用した作品ということになるのだが、もう、このアルバムを前にしては、LA録音だとかNY録音だとか、ソウルだのポップだのといったことはハッキリ言ってどーでも良いというか、リスナーにそうした余計なことを一切考えさせない、もうどこを切ってもマイケルでしかありえない唯一無二の世界が築かれていた。「アウォッ!」な叫び声や「ウッ!」「ダッ!」というブレスの使用頻度が増えてくるのもこのころだが、その叫び声全開な“Billie Jean”は、80年代ポップ音楽の象徴であるMTVでプロモ・クリップが流されたことで話題沸騰。当時、MTVでは黒人アーティストのビデオが登場することは珍しかったが、その扉は〈人種やジャンルの壁を超越した黒人〉マイケルによって開かれたのである。と、こうなればマイケル側もMTVを利用しない手はないわけで、“Thriller”では短編ホラー映画のようなプロモ・クリップを作ったりと、以後もマイケルは良くも悪くもヴィジュアル作戦に精を出し始めた。83年におこなわれたTVライヴ「Motown 25」ではご存知〈ムーン・ウォーク〉を披露し、マイケルは見せる(魅せる)スーパー・スターへと変貌していく。
 
 
マイケル・ジャクソンとその音楽
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