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CARTOON SINGS GOOD TUNE
オン ライン掲載:2001/12/20
初出:2001年11月25日 『bounce』227号

P.2/18
PETER SAIDS

文/ピーター・バッグ
text by Peter Bagge


 
60年代から現在に至るまで、アメリカン・コミックとロックはどんな仲だったの? 
その歴史をコミック界のドン、ピーター・バッグとともに、ちょっとおさらい。


ピーター・バッグが選曲からジャケットまでを手掛けたロック・コンピ『Peter Bagge's Rockin' Poppin' Favorites』(EMI)
【ピーター・バッグ 】
80年代から活躍しているカートゥニスト。代表作は年に数冊出版されていた「HATE」で、そのユニークな画風はパンク/ガレージ系のミュージシャンにこよなく愛されていたが、30巻を迎えた段階で現在は休刊中。コミック以外の分野でも幅広く活躍しており、TVではMTVでアニメーションの製作や、コメディーの構成なども手掛ける。また音楽においては、サブ・ポップの初期において、ジャケットやコマーシャル・デザインを数多く手掛けるなど、レーベルのイメージ作りに貢献した。その長いキャリアや人脈の広さから、コミック界のなかではボス的なポジションにいる重要人物である。


僕は若いころ、ロックンロールとコミックを深く愛していた。だから僕はこのふたつをなんとかして結びつけることばかり考えていたんだ。60年代にはお互いに非常に密接な関係にあったからね。60年代後半から70年代初めあたりまで、アメリカには実在するものから架空のものまで、ロック・バンドを扱った(ビートルズから、アーチーズ、バガルーズなんてものまで……)TVのアニメ番組がたくさんあったんだ。そして、当時のジャケットにはコミックがよく使われていたよ(「MAD」誌で描いていたジャック・デイヴィスはそのころ、たくさんのジャケットを手掛けていたっけ)。でも、70年代になると多くのロック・ミュージシャンは自分たちのことをご大層なものだと思いはじめたみたいで、レコードのジャケットがユーモラスだったりふざけたものだったりしたら、自分たちのイメージを台無しにしてしまうなんて考え出したんだ。

でも、ラモーンズが『Road To Ruin』のジャケットに「PUNK」誌の創立者でもあるジョン・ホームルストロームの絵を使ってから、ロック・バンドにとって自分たちのレコード・ジャケットやポスターにコミックをあしらって売り出すことが〈クール〉なことになった。70年代終わりのパンク、ニューウェイヴのムーヴメントでは、みんなおおっぴらにコミックをアートワークに使っていたよ。それはきっと60年代のカウンター・カルチャー──そのなれの果ての、鼻持ちならない、自意識過剰な世界──に対する反抗、ってだけじゃなくて、子供のころの記憶にある、無垢で享楽的なスタイルのロックンロールに回帰したかったからじゃないかな? アニメのCMソングや土曜の朝のアニメ番組なんかのさ。

パンク・ミュージックは僕みたいな若いカートゥニスト(漫画家)の多くにとって、インスピレーションだったし、新たなキッカケでもあったんだ。コミックとロックの壁を取っ払ってくれたからね。僕の知っているカートゥニストは、ほとんどみんなヘヴィーな音楽好きで、ラジオのDJとかバンド・メンバーの経験者ばかりだよ。そうして80年代までには次第に自分の友達や、自分たちのバンドのシングル盤のジャケットを描くことがカートゥニストにとって普通になっていったんだ。インディー・レーベルは大手のレコード会社よりもっと積極的にコミックをアート・ワークに採り入れたし、当時広まっていたパンクのDIY(ドゥ・イット・ユアセルフ)精神も手伝って、80年代にはこの流れは定着した。そんななかで、いくつかのインディー・レーベルは次第に大きくなっていったんだ。ノートン、クリプト、ライノといったレーベルなんかがそうだけど、なかでもシアトルのサブ・ポップがいちばん有名だよね。

 LA出身のカートゥニスト、ゲイリー・パンターは、ギザギザした奔放な絵を描いて 、フランク・ザッパからレッド・ホット・チリ・ペッパーズまでいろんなジャケット を描いていた。80年代にはたくさんのフォロアーが出たくらい人気があったけど、彼 の絵なんかいまでは、あの時代の音楽やスタイルと切っても切れないものになってる よ。ほかのカートゥニストたち、チャールズ・バーンズ、ダニエル・クロウズや僕な んかも80年代後半から90年代初頭にかけて、インディー・レーベルで数多くのレコー ド・ジャケットを手掛けたけど、結局この流行は大手のレコード会社にまでは至らな かったね。例外はミュージシャン側から要望のあったもので、チャールズ・バーンズ が描いたイギー・ポップ『Brick By Brick』なんかはそうだね。でも、多くのミュー ジシャンやプロモーターは、大手のレコード会社同様、コミックは自分たちの既存の イメージに合わないって、いまだに考えてるみたいだ。コミック・バンドみたいに思 われてシリアスに扱われないってね。長い目で見れば一種のチャンスだと思うんだけ どね。そんなふうに感じるのも無理のないことだから、一概に彼らのせいばかりとも 言えない。でも、この偏見には実は深い理由があるんじゃないか? とか単に習慣的 にそう感じてるだけなんじゃないか? なんていろいろと考えずにはいられないよ。 僕自身カートゥニストだから、コミックをジャケットに使うことで権威性を得よう、 なんてのは間違ったことだとわかっているけど、僕はなんてったってコミックびいき なんだ。

 現在でもインディー・シーンではコミックと音楽は深く結びついていて、エイドリ アン・トミーネやアーチャー・プレヴィットといった新しい作家も出てきているし、 ジム・ウードリングはビル・フリゼールとコラボレーションをしたりしている。可能 性は広がり続けているんだ。コミックをジャケットに使うことでなにが得られるのか 、どこか大手のレコード会社が調査してないかなぁ。彼らはそんなことしないって?  じゃあ僕が喜んで手伝うからさ!
 
 
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