ホーム特集
ROLLIN' USA

P.1/2 オンライン掲載:2002/05/02
初出:2002年04月25日 『bounce』231号
WILCO インタヴュー

ついにヤツらが帰ってきた! ルーツ・ミュージックの滋養をたっぷり吸収しつつさらに深化したそのサウンドは、まさにアメリカン・ロック新境地!

インタヴュー・文/北村和哉
interview & text by Kazuya Kitamura


3年ぶりとなるウィルコ待望のニューアルバム『Yankee Hotel Foxtrot』(Nonesuch/ワーナー)  
 昔のバンドのこと、アンクル・テュペロのことは話したくない?──そんな問いに ウィルコの中心人物、ジェフ・トゥイーディ(ヴォーカル/ギター)はこう答えた。

「いや、そんなことはないよ。ただあまりに昔のことなので、よく憶えていないだ け。いまのバンドのことや新しいアルバムのことを話すほうが楽しいし、記憶も確か だけど。でも構わないよ、話しても」

 ウィルコの前身バンド、アンクル・テュペロは、オルタナ・カントリー・シーンを 築き上げた重要なバンドであり、今日のウィルコとその周辺のシーンを語るうえで欠 くことのできない存在である。しかし、常に進化し、ひとつのアルバム内においてさ えも進化と後退を繰り返しつつ、その変化を作品として表現するウィルコにとって、 〈いま〉という瞬間ほど貴重なものはないだろう。もしジェフが饒舌にアンクル・テ ュペロのことを語ったとしたなら、その時点でウィルコの新作『Yankee Hotel Foxtrot』はなんの意味も持たなくなってしまう。それほどにこの新作は、彼らの現 在の充実ぶりを捉えたアルバムに仕上がっているのだ。

「僕が音楽を作るという行為は誰にも止めることができない」と話すジェフ。彼は こう続ける。

「事実、新作にはおよそ2年もの月日を費やした。レコーディングをしてはツアーに 出て、そしてまたレコーディングをして……その繰り返し。僕たちはレコーディング だけにすべての時間を費やすことができるほどの余裕なんてないから、いつでもその 合間にツアーが入る。でもそれは、一度録音したものを客観的に聴くためのとてもい い時間でもあるんだ。とにかく、作品を仕上げるための集中力を持続させるのは大変 で、それをできたのも、僕らが〈音楽を作る〉という行為が好きだからだろうね」

 ウィルコは新作のレコーディングの間に、ビリー・ブラッグと2度目の共演アルバ ム『Mermaid Avenue II』を発表。また昨年末には、ギターのジェイ・バネットとド ラマーのケン・クーマーが脱退している。加えて95年に発表されたファースト・アル バム『A.M.』以来所属してきたレーベル、リプリーズを離れたことも新作の完成〜発 表を遅らせた要因なのかもしれない。とくにジェイ・バネットの脱退は、デビュー以 来一貫してギター・サウンドを追求してきたウィルコにとっては大きな痛手となった はずだ。彼の存在の大きさは、彼のギブソン・ギターのヘッドが大きく写し出された セカンド・アルバム『Being There』のジャケットを見ればよくわかる。

「新作のレコーディングにはジェイも参加しているんだ。彼の存在はある意味でウ ィルコのサウンドを象徴していた。僕たちはとてもギターという楽器が好きだし…… でもね、それは仕方のないことでもある。4人編成となったウィルコは次の道を手探 りで見つけていくしかないのさ」



1 2


特集へ戻る