溢れ出るエナジー






ウィルコの作品を紹介。上から、95年作『A.M.』、96年作『Being There』、99年作『Summerteeth』(全てReprise)
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新作のジャケットを見ると、全米においてNYに次ぐ大きさの商業都市シカゴの象徴
、ツイン・タワー〈マリーナ・シティー〉の上層部が写っている。その写真を使用し
たことについて「マリーナ・シティー。それだけだ」と短く答えるジェフ。しかし、
本作の内容について「アルバムのどこからでも聴けるものにしようとした。どこを切
り取ってもウィルコそのもの、そんな内容にすることだけを考えた」と説明する。も
しかすると、円筒のマリーナ・シティーはそんなコンセプトを象徴しているのかもし
れない、それともワールド・トレード・センター・ビルディングの代わりとしての象
徴なのか……。
またアルバム制作においても、ライヴ・パフォーマンスにおいても、挑戦を忘れな
い彼らだが、今作『Yankee Hotel Foxtrot』のミックスを担当したのは、さまざまな
方面でのコラボレーションも話題のアーティスト、ジム・オルークだ。彼についてジ
ェフは「僕たちは実験的な音楽を作るために共同作業したのではない」と語り、「他
のアーティストとコラボレートすることを、とりたてて楽しみにしているわけでもな
い」と念を押す。しかし、そう言いつつもジェフこそ、先のビリー・ブラッグとの共
演をはじめ、ソウル・アサイラムのメンバーらとのユニット、ゴールデン・スモッグ
など、コラボレートを得意とするアーティストなのではないだろうか?
「僕がそうしたセッションを続けるのは、コラボレートすることで、僕にはないな
にかを得られるからかもしれないからさ。でも僕はそんな技術的なこと、取引のよう
なことで、他のアーティストとコラボレートしているというわけじゃないよ。ジムに
してもそう。彼と意気投合したのは、僕と彼とがともにアメリカの音楽への関心を持
ち、そこにあるエナジーの同じ部分に共感していたからなんだ。よくジャーナリスト
から〈どんなタイプの音楽がもっとも好き?〉なんて質問されるけど、僕がいちばん
大切に思っているのは、音楽が持つエナジーなのさ。その部分だけを強調してアルバ
ムを作っていると言ってもいい」
ジェフはウィルコの音楽が実験的だと評価されることについて、いくぶん不服そう
でもあった。彼によればウィルコのサウンドは「実験的ではなく、感情の起伏の表れ
」なのだ。それは彼らのライヴ・パフォーマンスを観ればよく理解できる。彼らは音
楽、あるいはバンドという手法を使って自分たち自身の感情をダイレクトに表現して
いる。それは本来、当然のことなのかもしれない。しかしそういった情熱は、現在の
ロック・シーンにおいては忘れ去られてしまいがちなことのひとつでもあるの
だ。

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