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オンライン掲載:2002/01/31
初出:2001年12月25日『bounce』228号
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エンターテイメントを極める
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どうせ矛盾を抱えるのなら、その矛盾した自分たちの姿をそのまま見せてしまおう
。そんな逆説的な態度で進んだのが、90年代の電脳サイバー期のU2だ。アルバムで言
うと、『Achtung Baby』(91年)、『Zooropa』(93年)、『Pop』(97年)の3枚。
これらのアルバムにおけるU2は、デジタルなビートを大胆に導入し、テクノロジーと
遊ぶような曲作りに勤しんでいる。派手で、ケバケバしく、下世話。『The Joshua
Tree』のころとは対極のアイロニーが、それらのアルバムでは満ち溢れるようになっ
た。プロデューサーにも、フラッドやハウィーBが起用されたりした。
とくにすごかったのが〈Zoo TV Tour〉、それに〈Pop Mart Tour〉と題された、コンサート活動での姿だ。ボノは顔に白塗りの化粧をし、頭に赤い角を立ててマクフィストなる悪魔的なキャラクターを演じる。ステージの後方に巨大なスクリーンを設置し、目もくらむような電飾バリバリの装置を用意する。空を飛ぶレモンの中から、4人のメンバーが現れる。あとにも先にも、あんな仕掛けに凝ったコンサートには、出会ったことがない。
しかし、そんなU2を、僕らは大いに楽しんだ。大きな会場でのコンサートを逆手
にとり、スタジアムでしかできないコンサートをやってのける。そんなU2は、史上初
めて〈スタジアム・ロック〉という言葉を肯定的に響かせたバンドに違いない。アル
バムをとってみても、『Achtung Baby』は彼らのキャリアの中で最上の内容だ。ただ
、『Pop』からのシングル“Discotheque”でヴィレッジ・ピープルをパロディーにし
た彼らは、もう、行き着くところまで行ってしまっていた。次のアルバムは、おそら
く電脳サイバー路線とは反対の内容になったりするんじゃないか? そんな僕の予想
は、当たらずとも遠からじ、といったところだった。2000年の最新作『All That You
Can't Leave Behind』のことだ。
旅は果てしなく
『All That You Can't Leave Behind』での彼らは、ことさら政治的な面を打ち出す
ことはなく、ルーツ・ミュージックからのあからさまな引用を聴かせることもなく、
また、皮肉や風刺に彩られた曲を作ることもやめている。その代わりに、もっとシン
プルでダイレクト、音楽そのものの力でリスナーを説得させるような、潔いスタンス
をとっている。もちろん、バンドの政治性や音楽的な探究心が薄らいだのではなく、
そういった要素が音の間から伝わるような方向にグループがシフトしたのだ。このこ
とは、U2がまた成熟の度合を深めている様子を伝えるものだと、僕は考えている。そ
の時点のマイ・ブームを採り入れた曲を作るのではなく、もっとオーセンティックな
楽曲作りに主眼を置く。多くの体験を経たU2だからこそ、シンプルなアルバムの中に
、そんな説得力を感じるのだ。
『All That You Can't Leave Behind』のようなバンドの状態が、この先どれくらい
続くのかは、まだ判らない。しかし、デビューから20年も自分探しの旅を続けてきた
U2が、いまは自分なるものをしっかりと受け止めた地点にいるのは、間違いのないと
ころだろう。今回のツアーではまだ日本公演が実現していないだけに、2002年の早い
うちに、現在の彼らの充実を目撃してみたいと、僕はそう思うのだった。 
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