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第1回 ─ FUJI ROCK FESTIVAL05@新潟県苗場スキー場


掲載: 2005/08/11
更新: 2005/08/25

すっかり〈夏の風物詩〉として定着したFUJI ROCK FESTIVAL。今年は3日間とも雨にたたられ、テントの人たちには特に辛い記憶も多かったのではないでしょうか? でもやっぱり、これだけ音楽に満ちていて、多幸感を感じるフェスはやっぱりほかにはないと思ったりもして。そんな、最高のメンツとナイスなシチュエーション(あとお酒)によって引き出されたマジックの数々を、さっそくレポートいたします。

文/ヤング係長、湘南乃パンダ、原田 亮



© Masanori Naruse


7月29日(金) Your Song Is Good、Cake、TOKYO No.1 SOULSET、Prefuse 73、Coldplay、忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS、DJ MADLIB、TAKKYU ISHINO

■Your Song Is Good
© Masanori Naruse

 初日の朝は、〈快晴〉とまではいかないものの、雲が空全体の4割を占める程度のおおむね晴れ(とはいえ雲があっても充分暑い)。初日一発目はYour Song Is Goodで幕を開けた。暗くて湿ったライヴハウスでも過剰な開放感を体感させてくれる彼らのことだから、苗場の山中でやると開放過多で死人が出るんじゃないの?なんて朝のビールを飲みつつ呑気に冗談なんか言い合っていたものの、ライヴ直前まで場内はスッカスカ。「うわ、これ大丈夫か?」という不安を抱いたままライヴはスタート。1曲目“"2,4,6,6,1,64"number”が始まるや否や強烈なモッシュが巻き起こる。モッシュピットは踊る奴、跳ねる奴、叫ぶ奴、よだれを垂らす奴と大宴会状態に。ディズニーのコンピ盤に収録されている“Under The Sea”、「アーハ」の掛け声をコンビネーションでまわす熱帯ロック“熱帯BOY(新曲)”でも、好調に観客のペースをコントロールしていく。去年の個人的ベスト・アクト、Little Tempoと同日同時刻同会場スタートだった彼ら。終盤にはリトテンにも負けない集客を見せ、高揚感の抜け殻状態になった後に思ったのは、「なんだよ、心配して損した」ってことでした……。(*ヤング係長)

■ケーク
© Masanori Naruse

 今回のフジロックで、見逃せないアーティストNo.1候補として自分が挙げていたのがこのケーク。本国アメリカでは絶大な支持を得ているんだけど、日本での知名度がイマイチなためか、来日ライヴは実に8年ぶりになるという。CDを聴いて、キャレキシコ辺りに近いかな?なんて思っていたけど、向こうがマリアッチの伝統を汲む音楽だとしたらこちらは完全に自分解釈のミクスチャー。ゴミ捨て場に落ちてそうなボロボロのアコギ(ピックアップはガムテープで装着!)に歪み系のエフェクトをガンガンにかけ、キーボードとトランペットとピアニカのフレーズをサンプリング的に挿入する。オルタナを通過しつつも強烈に〈乾いた〉サウンドが醸す無国籍っぷりはクール過ぎ! 中盤から雨が本降りになってきたにも関わらず、“Daria”のサビ部分を合唱する声がグリーンに響き渡っておりました。次はぜひ単独で来日を。ちなみに、フロントマン、ジョン・マクレアの徹底的に垢抜けないルックス(髭にサングラスにキャップ)もこのバンドの魅力なんだということを確認した次第であります。(*ヤング係長)

■TOKYO No.1 SOULSET
 〈フィールド・オブ・ヘヴン〉で昼寝を決め込んでいると、上空より雨粒が顔にポタリ。初日のしょっぱなにして降り出した突然の豪雨に「これがフジの洗礼か〜」とひとりごちたところで、東京NO.1 SOUL SETの面々が登場。相変わらずの飄々とした居振る舞いを見せる彼らが冒頭から繰り出したのは、名曲“黄昏'95〜太陽の季節”! すると、湧き上がる大合唱と共に雨脚は弱まり、空に日の光が戻り始めるではないですか。「これが苗場マジックか〜」とひとりごちる間もなく、今度は、6年ぶりの新作『Outset』のナンバーが連続投下。その強力な4つ打ちビートとダブワイズされたサウンドに導かれ、ステージ前では大ダンス大会が勃発。サポートメンバーによる生のベース&パーカッションも効いております。新旧の楽曲を織り交ぜたセットを展開し、オーディエンスからの熱い声援を浴び続けた彼ら。音のスタイルは移ろいつつも、そこに込められた男のロマンティシズム=ソウルセットの美学は不変でありました。(*湘南乃パンダ)

 
■プレフューズ73
© Masanori Naruse

 続いて足を運んだのは〈ホワイト・ステージ〉のプレフューズ73。事前情報を持ち合わせぬまま「やっぱりラップトップなんかな〜」なんて具合に、若干高をくくりつつ臨んでみたところ、あまりのフィジカルなステージにびっくり仰天。ツイン・ドラムを中心とする生バンドが、ぶっといビートを叩き上げつつ、一秒先の展開が読めない人力チョップなアンサンブルを展開。プログレ・ミーツ・ヒップホップとでも言うべき異形サウンドが生成するグルーヴに、オーディエンスは完全にロック・オン。終演後は、やんやの大喝采でした。いやはやあっぱれ!(*湘南乃パンダ)

■コールドプレイ
© Masanori Naruse

 新作『X&Y』を聴いて思わされるのは、彼らの生真面目さや優等生的な立ち位置についてだ。持ち味であるメロディーや演奏テクニックについて文句をつける気にはならないのだけど、完璧主義的な部分にすんなりと了解できないところがあるというかなんというか…。そんなことを思いながら観た彼らのライヴは、こっちのチマチマした疑念を軽く上回る、エンターテイメントとしてのポテンシャルが圧倒的なものだった。楽曲の再現度や完成度に関しては言うまでもなく、なによりあのだだっ広い会場の2万人はいたであろう観客の〈想い〉を1人で受け止めるだけのオーラがクリス・マーティンから漂っていた。ステージ中を駆け回りながら歌う、その一挙手一投足が美しく、神々しい。なんだかこんなこと書くとヤバイ人みたいだけど、そんな気持ちすら飲み込まれるほどのステージだった。最後の曲“Fix You”では歌詞を替えて大トリのフー・ファイターズに捧げて歌っていた。ビッグ・バンドとしてここまで成長しても、奢ることのない姿が多くの人の印象に残ったはず。(*ヤング係長)

■忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS
© Masanori Naruse

 三日間フェスに参加した人にとってフジロックの思い出といえば、記憶の習性としてやはり〈最終日の思い出〉というのが残りそうですが、それでも初日の〈WHITE STAGE〉、忌野清志郎のステージが一番印象に残っている、ベスト・アクトだった、という人も多いかもしれません。冒頭、タキシードのプレゼンターが登場し、ジェイムス・ブラウンのショウの如き「今宵、GODが舞い降りる!!!」という煽りに導かれ、ピンクのスパンコールのマントに身を包んで忌野清志郎が登場。序盤から“トランジスタ・ラジオ”、ビーチ・ボーイズもファースト・アルバムで取り上げた“SUMMERTIME BLUES”で熟年フジロッカーを微笑ませ、新曲“愛を謳おう”、名曲“スローバラード”も惜し気なく披露。三宅伸治のギターソロ、梅津和時らNEW BLUE DAY HORNの金管ソロまで、イントロから間奏に到る全ての瞬間が文字通りの鉄壁で、余談を許さないエンターテインメント・ショウが続きます。

 MCでは35年間のキャリアを振り返り「21世紀になっても、戦争はちっとも無くならないじゃないか」と〈ロックが世界を平和にする〉神秘を語り若年フジロッカーが静まった瞬間(ややヒキ気味だったかもしれないです)、一転して「愛し合ってるかいー!?」と呼びかける。〈WHITE STAGE〉中がそれに応えると会場は大熱狂のコール&レスポンス空間に。以降、アンコールでは近作『KING』より“Baby 何もかも”、そして最後の最後に名曲“雨上がりの夜空に”で大合唱。デビュー35周年にして尚も高みを目指してパフォーマンスをする彼に見入ってしまう二時間あまりのステージ。出囃子から三宅伸治が呼び掛ける〈GOD〉コールまで、いつも通りのショウであったのかもしれないけれど、フジの常連ファン、新たに忌野清志郎に触れたファンが一体となって熱狂した瞬間でした。MCでヒロシのパロディー「キヨシです……」なんてネタを披露するあたりも、神のなせる業かもしれない!?(*原田 亮)

■DJ マッドリブ、TAKKYU ISHINO
 仮眠を取るつもりが大幅な寝坊をしでかしつつ、深夜の〈レッド・マーキー〉へ。残念ながらクラウン・シティ・ロッカーズは終演間際で、次なる登場はマッドリブ。冒頭、Rhodesプレイヤー(アンプ・フィドラーとの噂)を従えてのヘタウマ・ドラム独演会でフロアを煙に巻きつつ、DJ開始。ルーツ・レゲエからマイケルまでを横断する奔放なプレイは、各種発表されているミックスCDの総決算的な内容。その〈ユルさ〉の中から立ち昇るマッドリブ印のグルーヴに、がっつり踊らされた次第です。サイケなデコレーションが楽しい〈ボード・ウォーク〉を抜け、一路〈オレンジ・コート〉へ向かうとそこは人、人、人で埋め尽くされた深夜のレイヴ会場〈オールナイト・フジ〉であります。ブースに立つ石野卓球のプレイは、ピークタイムを過ぎ、フィナーレへ向けて徐々にクールダウン……といった頃合い。とは言え、インナー・シティやクリスタル・ウォーターズなどのハウス・クラシックが次々と投入され、休む暇を与えてくれません。結局ラストまでフロアの沸点は下がることなく、卓球のプレイは終了。筆者の初日スケジュールも無事消化。おやすみなさい。(*湘南乃パンダ)

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
04年にリリースされたYOUR SONG IS GOODのファースト・アルバム『YOUR SONG IS GOOD』
04年にリリースされたケークのアルバム『Pressure Chief 』
今年6月にリリースされたTOKYO NO.1 SOULSETのアルバム『OUTSET』
今年3月にリリースされたプレフューズ73のアルバム『Surrounded By Silence』


今年6月にリリースされたコールドプレイのアルバム『X&Y』
今年3月にリリースされた忌野清志郎のアルバム『GOD』
マッドリブの変名プロジェクト?、カジモトが今年5月にリリースしたアルバム『The Further Adventures Of Lord Quas』
石野卓球が04年にリリースしたソロ作『TITLE #2+#3』



7月30日(土)Gang Of Four、Beck、Dinosaur Jr.、Mercury Rev、Fatboy Slim、TEI TOWA

■ギャング・オブ・フォー
 キレたオッサンが電子レンジをバットで殴ってビートを作る。前衛アートなのかギャグなのかわからないけど、とにかくかっこいいとしか言いようがなかったのがこのライヴ。79年のアルバム『Entertainment!』からの楽曲を中心とした演奏は、ファンキーなベースラインと性急なギター・フレーズが交差し、ヴォーカルのジョン・キングが水揚げされたエビのようなくねくねダンスをしながら観客を煽りまくる。それに釣られて観客(オッサン多め)も、暴動的な盛り上がりを見せておりました。昨年来日したワイアーも、先日来日したジェームス・チャンスもそうなんですが、パンク世代からの逆襲を観るたびに、火山に溜まったマグマが水蒸気爆発するイメージを思い起こしてしまいます……。(*ヤング係長)

■ベック
© Masanori Naruse

 豪雨降りしきる2日目。水を吸い込み、重くなった雨具(何故かちっとも水を弾いてくれず)を抱えて〈グリーン・ステージ〉のベックを観覧。かつてのりんごほっぺ少年も、いまや一児のパパ。ちょっと老けた? なんて突っ込みを入れつつも、クラシック連発のステージに、のっけから上がりっぱなし。とは言え、カラフルな意匠をこらしたアッパー・チューンの数々が、タイトなバンド編成で再現するには分が悪かったのも事実。むしろ心に響いたのはシンプルなバラード・ナンバー。肥沃なルーツ・ミュージックの栄養を多分に吸収し、米国音楽史のミドル・オブ・ロードを行く彼の姿が見て取れるライヴでした。そして、若干のエンタメ不足を見事にリカヴァーしていたのが、短パン&ハチマキという古典的スポーツ・スタイルに身を包んだ、謎のダンス男。ブレイク・ダンスを随所でバシバシとキめつつ、次長課長・河本ばりのタンバリンさばきでオーディエンスを見事に盛り上げてました。(*湘南乃パンダ)

■ダイナソーJr.
 クライマックスへと差し掛かるところでベックを切り上げ、いよいよ今年のフジロックにおける最大の話題、ダイナソーJr.へ向かうべく、泥沼と化した経路をノロノロと移動。。オリジナル・メンバーで復活を遂げる彼らを見届けるべく、〈ホワイト・ステージ〉には筋金入りのロック好きが続々と集結。そして、何気ない装いで現れた爆音三銃士は、3ピースとは思えぬ音量をマーシャル塔から発しながら、淡々とセットをこなしていく。もちろん、この面子である以上、奏でられるのは“Feel The Pain”ではなく“Freak Scene”であり、“The Wagon”ではなく“Just Like Heaven”。それにしても、今回、彼らの初期ナンバーを浴びるように聴いて感じたのは、彼らのサウンドに含まれるハードロック成分の多さだ。重厚なリズム隊の上を、金属質なギター・ソロがドライブしていくさまは、もろにHR/HM。彼らについて回る轟音という形容って、要するにメタルってことなんだな〜、なんて具合に、ノスタルジーよりも新発見のライヴでした。願わくば、この面子で新作をドロップ……てのは無理?(*湘南乃パンダ)

■マーキュリー・レヴ
© Masanori Naruse

 01年にSUMMER SONICで来日した時に観た彼らのライヴは、バカバカしいほどに壮大で演劇的だったけれど、それがあまりにも音楽とマッチしていて、興奮するどころか口を開けたままポカーンとしている間に終わってしまった。あの演奏がとんでもなかったことに気付いたのはしばらくしてからのことだった。というわけで、その思いを胸に観た今回のライヴは、前回とは随分違うイメージを持った。バックに映像とライティングを用意し、楽曲とシンクさせる構成で、98年の『Deserter's Songs』以降の楽曲を中心としたセッティング。フロントマンのジョナサン・ドナヒューがそれぞれのメンバーに両手を掲げ、呪術を施すような芝居がかったパフォーマンスを見せると、各メンバーはそれに応えるように各楽器を唸らせる。とんでもなく壮大ではあるものの、自分はサマソニで感じた〈到達感〉をこのライヴに感じることはできなかった。今回のライヴが悪いとは思わない。だけど、新作『The Secret Migration』が彼らの最高傑作『Deserter's Songs』から離れた地点にあるにも関わらず、同アルバム収録の“Opus 40”、“Goddess On a Hiway”、“The Funny Bird”が最も盛り上がった瞬間であったこともまた間違いない。バンド自身も、『Deserter's Songs』がいかに特別なアルバムなのかということに気付いているはずだし、だからこそそれを超えることにもがいているのではないかと感じてしまった。単純に、自分が彼らに求めているものが高すぎるだけなのかもしれないけれど。(*ヤング係長)

■ファットボーイ・スリム
© Masanori Naruse

 二日目〈GREEN STAGE〉のヘッドライナー、ファットボーイ・スリム。事前には、彼お抱えの映像チーム〈Palookavison〉製の特殊メガネが配られ、スタート前になると既にステージ中にメガネ姿の大人たちが雨の中で待機していた。期待が高まる中、大型ヴィジョンにVJ映像が流れ始めると、ところどころでストロボが点滅、メガネをかけて眺めると全てのライトが〈SMILE〉マークに見えるトリックに会場中が大喝采に。雨がどんどん強まる中、ノーマン・クックがメガホン片手に登場。観客にあわせてロック・ナンバーを奮発してくれるかとは予想していましたが、この日はその期待を上回る大奮発ぶりでした。映画「キルビル」のサントラ曲、ペーパークリップ・ピープルに始まり、クリーム、ホワイト・ストライプス、マイケル・ジャクソン、ビースティ・ボーイズ、アンダーワールド、ファットボーイ・スリム、ダフトパンクとパーティ・ネタを乱発。途中ジャニス・ジョップリンのアカペラ曲“Mercedes Benz”の合唱大会をはさむなど、どしゃ降りの雨に包まれた会場がウッドストック化した瞬間だったかも!?(*原田 亮)

■TEI TOWA
 深夜の〈RED MARQUE〉にてノーマン・クック並の盛り上がりをみせたのが、テイ・トウワかも。アッパーなハウス・ナンバーが中心となったこの日のDJ、段々と会場が盛り上がると、インディープ“Last Night Dj Saved My Life”、エイメリー“1 Thing”などをハウス・ヴァージョンで投入して会場のテンションをコントロールしていました。後半戦ではラテン・ハウス、レゲエ、ドラムンベース(R&B曲のリミックスだった)と流れた後に、自身が中西俊夫をヴォーカルに迎えカヴァーしたナックの“My Charona”を投入すると、フジ出演アーティストの曲だけに会場は大盛り上がり。その他にもアンダーワールド“Two Months Off“を強力なエフェクトでプレイしたりと、お祭り気分の聴衆に見事なミックスで応えてくれました。ディー・ライトの大名曲をスピンするサーヴィスも。(*原田 亮)

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
今年9月にリリースされる、ギャング・オブ・フォーのセルフカヴァーアルバム『Return The Gift』
今年3月にリリースされたベックのアルバム『Guero』
88年にダイナソーJr.がリリースしたアルバム『Bug』
今年1月にリリースされたマーキュリー・レヴのアルバム『The Secret Migration』


フジロックの来日に合わせてリリースされた、ファットボーイ・スリムの2枚組編集盤『Palookaville(来日記念盤)』
今年4月にリリースされたテイ・トウワのアルバム『Flash』



7月31日(日)The Go! Team、bonobos、The Beach Boys、Moby、Royksopp、New Order、Primal Scream、赤犬

■ゴー! チーム
 「今年のベスト・アクトはなんだった?」と聞かれて、このゴー! チームを挙げる人は少なくないはず。それは、あまりにプリミティヴで、キュートで、パワフルで、観ているだけで泣きたくなるほどキラキラしていたフロントの女の子(名前はNinjaというらしいけど……。それでいいの?)のパフォーマンスに拠る所が大きい。もちろんバンドのとっ散らかった演奏も多少のルーズさがありながらそれがいい味になっていたし、日系ドラマーの独唱“Hold Yr Terror Close”のモーリン・タッカーを彷彿とさせるあどけなさに欲情した人もいただろう。しかし、それらを差し置いて魅力的だったのはあの黒人の女の子(もう一回訊くけど、ホントにNinja?)のパフォーマンスだった。一点、サンプルとスクラッチがテープ出しだったことだけが残念に思う。それは次回の来日で改善されていることを望みます。や、マジでもう一回来日してください。(*ヤング係長)

■ bonobos
 この日のヘヴン最大集客数を記録したのがbonobos(目測です)。やったら低音が出るステージにマッチしたダブ値高めの演奏は、ギュウギュウのオーディエンスを足元から揺らすほどの音圧を出していた。ロング・セットの“あの言葉、あの光”、最早bonobosクラシックと言ってもいい“Thank You For The Music”を聴いて目を潤ませている女の子の姿を見るにつけ、bonobosの歩みが全肯定されたような気分になって「いいバンドだなぁ」という感想以外出てこなくなってしまった。もう、彼らのことを〈ダブ・ポップ〉なんて表現することの意味なんてないんじゃないでしょうか? (*ヤング係長)

 
■ビーチ・ボーイズ
© Masanori Naruse

 最終日は〈グリーン・ステージ〉で大物三昧……というわけで、まずは永遠のサマー・ドリーム、ビーチ・ボーイズが苗場に光臨。マイク・ラヴとブルース・ジョンストンによる〈ふたりBB5〉は、ヴォーカルに危うさを感じさせはするものの、そこは鉄壁のバック・バンドが完全サポート。キャリアを感じさせるオーディエンスさばきを織り交ぜながら、サーフィン〜ホットロッドな初期のナンバーを次々と披露。ブライアン独裁時代のナンバーが見事にくり抜かれたセットリストが、逆にブライアンの不在を際立たせたり……なんて感想は野暮ってもんでしょう。めくるめくロックンロールと美しいコーラスに、老いも若きも歌って踊る。3日間を通して、会場全体が最もハッピーに盛り上がったステージでした。(*湘南乃パンダ)

 
■モービー
© Masanori Naruse

 ビーチ・ボーイズにニュー・オーダーという、米英のレジェンドに挟まれた時間帯。加えて、雨脚が一段とその勢いを増し……と悪条件が重なる中、モービーのライヴがスタート。レイヴ時代の懐かしダンス・チューンが時折挟み込まれる構成に、最初は反応が鈍かった客席も、徐々にアップリフティング。モッシュピット付近では泥だらけになって踊りまくる人多数。思わず筆者も膝まで濁流に浸かりながら大騒ぎしてみると・・・た、楽しい!!ずぶ濡れのやけくそ気分にはレイヴのりの曲がぴったりであることを実感しました。その後もレディオヘッドやAC/DCのカヴァーまで飛び出すサービス精神あふれるステージを見せてくれたモービー。間違いなくいい人だと思います。(*湘南乃パンダ)

■ロイクソップ
© Masanori Naruse

 雨が降る中、皆が向かう場所といえばテント突きのステージ〈RED MARQUE〉。夕暮れ時にこのステージに現れたのは、〈FUJI ROCK‘03〉でも多くのファンを魅了したノルウェーの二人組、ロイクソップ。テントの先まで満員の聴衆が埋まった中、ヴォーカルを交えエレクトロニック・ドラムを叩きながらのパフォーマンスは、北欧ならでは!? の牧歌的な空気に包まれながら次第にビルドアップしていきます。ヴォーカル・ナンバーを大幅増加した新作『The Understanding』の楽曲も披露しつつ、中半には大ヒット・ナンバー“Eple”、後半には“Poor Leno”など前作『Melody A.M.』のヒット曲を披露。屋内の会場が、静かな感動に包まれた瞬間でした。(*原田 亮)

■ニュー・オーダー
© Masanori Naruse

 そしてフジロックは一つ目のクライマックスに到達。マンチェスターの伝説、ニュー・オーダーの登場であります。2001年の初出演を見逃した筆者にとっては、繰り出される楽曲の全てが夢と魔法の王国。拳を振り上げ歌いまくった姿は、誰にも見せたくないし自分でも見たくありません。それにしても、バーナードのはしゃぎっぷりは相当なもので、時折ジョークを挟みながら、終始ご機嫌に例のタコ踊りを披露するなど、実にサービス過剰。“Krafty”の日本語ヴァージョンには「それはやりすぎ!」とうなだれたものの、しかし、そのズッコケ感も含めてニュー・オーダーの魅力であるわけで……。ラストを飾った“Blue Monday”で腰が砕けるほど踊りつつ、その冷徹なダンス・ビートからにじみ出る彼らの人柄を再確認した1時間半でした。(*湘南乃パンダ)

■プライマル・スクリーム
© Masanori Naruse

 〈Very Special Guest〉とアナウンスされた〈グリーン・ステージ〉の大トリ、プライマル・スクリーム。今回もギター3本の強固な編成で登場した彼らは、期待に違わぬ爆音ステージを展開。ボビーがカリスマ然としたアクションでキめ、マニがやんちゃに動き回り、ケヴィン・シールズは終始シューゲイザー・スタイルを崩さず……と、それぞれが思い思いのスタンスで、とてつもないサウンドを振り回す姿に、彼らが現代最高峰のロックンロール・バンドであることを確信した次第。お約束の“Rocks”、ラスト付近で披露された“Movin' On Up”では会場の熱量が頂点に達しました。しかし、ラスト・ギグはこれだけでは終わらず。アンコールでは、なんとダイナソーJr.のJ・マスシズ参加のサプライズが! Jとケヴィンのツイン・ギターが咆哮をあげる中、ボビーの掛け声を共に始まったラスト・ナンバーは、なんとストゥージズ“No Fun”のカヴァー。首尾一貫したロックンロール・ショウを見せてくれたプライマルに拍手を!(*湘南乃パンダ)

■赤犬
 三日目も夕暮れ時から天気が崩れはじめあいにくの雨。0時をまわると飲食店関係のブースが集合する〈OASIS〉エリアの地面は泥だらけで、足場をとられるほどのぬかるみに。そんな中でエリア内の飲食店〈苗場食堂〉特設ステージにて身動きがとれなくなるほどの観客を呼び込んだのが、大阪の大騒ぎ愚連隊バンド、赤犬でした。ディスコ、スカ、アイリッシュから軍歌まで〈なんでもやりまっせ!!〉的なパフォーマンスを期待して覗いてみると、ステージではブリーフや、ヴィレッジ・ピープル風などキワモノ風情のファッションのメンバーから精度の高い演奏が投下され、ぬかるみで踊って転ぶ客が続出。“全裸ブギー”、“U.N.C.O.”などの下ネタ曲を続々披露し終え、最後にメンバーが「アンコールは受付けん、マ○コールなら受け付ける」と言い放つ。女性たちが嬉々として声援を送っていた刹那は、ある意味感慨深いステージだったかも!?(*原田 亮)

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
04年にリリースされたゴー!チームのアルバム『Thunder, Lightning, Strike』
今年6月にリリースされたbonobosのアルバム『electlyric』
ビーチ・ボーイズのDVD付きベスト・アルバム『Sights And Sounds Of Summer』
モービーが今年3月にリリースしたアルバム『HOTEL』


今年3月にりりーすされたニュー・オーダーのアルバム『Waiting For The Siren's Call』
プライマル・スクリームのベスト・アルバム『Dirty Hits』
03年にリリースされた赤犬のアルバム『ばかのハコ船』

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