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第1回 ─ □□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談


掲載: 2006/05/18

5月17日にリリースされた大滝詠一トリビュート・アルバム『Niagara Spring〜Niagara Cover Special〜』。本作は、季節を感じさせる作品を多くリリースしてきたNiagara Recordsへのオマージュとして、春夏秋冬各シーズンでリリースされる4枚のアルバムの第一弾〈Spring Edition〉です。bounce.comでは、このトリビュート・プロジェクトに参加してくれたアーティストを迎えた企画を、季節ごとにお送りいたします。まずは、アルバムに参加してくれたアーティストの中から、□□□(クチロロ)と永山マキ(モダーン今夜)さんの対談をどうぞ!

文/ヤング係長

□□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談

左から南波一海(□□□)、永山マキ(モダーン今夜)、三浦康嗣(□□□)


――まずは、お互いが大滝詠一さんの音源にどの程度触れてきたのかをお伺いできればと思います。

永山マキ(以下、永山):私は、はっぴいえんどはよく聴いていんたんですけれど、大滝さんの世界にはまだ触れたことがなかったんです。雰囲気とかリバーブ感なんかに漠然と瑞々しい音楽という印象は持っていたんですけれど……。
□□□のセカンド・アルバム『ファンファーレ』

三浦康嗣(以下、三浦):僕らは前からファンでした。基本的にカヴァー・アルバムとかトリビュートにはあまり参加したくないんですけれど、大滝詠一だから参加した。それぐらい思い入れは強かったです。

――じゃあ、大滝さんに対してはどういうイメージを持っていました?

三浦:聴いていると、男気みたいなものを感じるんですよ。マッチョではないんだけれど、男受けする男というか、男友達から慕われるタイプというイメージです。

南波一海(以下、南波):なんか、コンプレックスがありそうなんだよね。

永山:大滝さんは男にモテそうな感じなんですか? 私は女性的な印象を持ったんだけれど。

三浦:それはすごいわかる。やんちゃっていうか、小学生で成長が止まっているような印象があるんです。自分たちで遊びを考えちゃうような小学生がそのまま大人になって、その延長を音楽でやっているような。もちろん、高度に洗練された音楽家だし、尊敬もしているんだけれど、根本的にそういう感じの人なんじゃないかと思っている。

――大滝さんの作品にはどの作品も少なからず遊び心が入っていますね。

三浦:そうそう。そこがやんちゃなんですよ。知的さも持っているけれど、知的の方向がインテリっぽくないのが好きなところです。
“Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語”“雨のウェンズデイ”を収録した大滝詠一の『A LONG VACATION』

――永山さんが“雨のウェンズデイ”(試聴はコチラ!)を選んだ理由は?

永山:(LITTLE CREATURESの)栗原さんと相談して、私の質感や世界観を考えてこの曲を選びました。別れの予感を匂わせたような、スッキリしたようでいてちょっとだけ悲しい雰囲気の歌詞がすごいと思って。細かい詞の持っていき方とか、フレーズの雰囲気を私の歌で伝えようと何度も聴き込んだんです。

――□□□はどうして“Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba 物語”(試聴はコチラ!)を選んだんですか?

三浦:オファーが来たとき、〈春の曲〉を選んで欲しいという要望だった。でも(大滝さんの曲のなかに)春の曲があまりなくて。単純にわかりやすいという理由でこの曲になったんです。せっかく参加するんだから、多くの人に聴いてほしいし、重箱の隅をつつくようなことはしたくない。この曲はリズムがおもしろいんです。自分たちはリズムが得意ということもあるので、おもしろい解釈をすることができるんじゃないかなと思って。




――今回はどちらもトリビュート初参加ですよね。大滝さんといえば日本のポップス界の巨匠なわけで、カヴァーをするにも心構えが必要だったのかなという気もします。特に気を使った点を教えてもらえますか。

永山:私にとっては、初めて出会えた人という感じだったから、この新鮮なファースト・インプレッションをどう表現しようかという部分に気を使いました。あと情景が浮かぶような現実的な歌詞だったので、その歌詞を通して私なりに感情を伝えることができればなと思って。

三浦:一回自分に入ったものをまた外に出してあげるみたいな?
モダーン今夜の最新ミニ・アルバム『愛しいリズム』

永山:ですね。自分でも歌詞を書いたり曲も作ったりするんですけれど、“雨のウェンズデイ”はフレーズも変わっているんですよ。なんでそう行くんだろう?って。そういう意味でも魅力を感じたというか、今回はかなりリスナーに近い立場なんじゃないかと思っていて。入り口としてはとてもいい機会だった。

南波:うちらももう何回も聴き直した。レコーディングの作業中にも聴いて、〈もうだめだ〉って気持ちになった(笑)。原曲が凄すぎて全然かなわない。

三浦:永山さんは思い入れが少ない分自由度も高かったんじゃないですか?

永山:原曲と同じことをやってもしょうがないという気持ちはありました。モダーン今夜は11人編成だから、ヴォーカルの音程を上のほうに持っていかないと声が立たない。だからどの曲もキーが高いんです。今回は気だるい感じを出すために思いっきり下げて低い声で歌っているんですけど、自分の本当の声を出せたのでいつもより歌いやすかったです(笑)。

三浦:俺も今回が一番歌いやすかった。いつも作曲家として□□□の曲を作っていて、歌うときのことを考えていない。だから自分の曲を歌うときはなんでこんなに難しいのかなと思う(笑)。

永山:私も。自分の曲は、曲全体の世界観をゼロから作る作業だけれど、今回はすでに世界が出来上がっているものを、私なりの解釈で歌う、というものだったから、歌い手に徹することができて、新鮮な経験でした。大滝さんの曲は、言葉とか曲の持っている雰囲気が頭に入ってきやすいものだった。やっぱり、聴いているのと歌うのとでは全然違うんですよね。
リリースされたばかりの『Niagara Spring〜Niagara Cover Special〜』

三浦:普段聴くときには、〈ここがこうなって……〉みたいな分析的な聴き方はしないからね。カヴァーすることで構造やフレーズの感じを考えて聴いてみて、普段では気付かないことがどんどん見えてきた。

――複雑なことをやりながらも、メジャーな部分で受け入れられているのが大滝さんの魅力なんだろうと思うんです。聴き込めばその分だけの受け皿があるんだけれど、歌謡曲的な部分でも許容されてしまう。

南波:細かいんですよね。あらためて聴き直したら、これまで聴こえていなかったフレーズが沢山出てきた。遠くで鳴っているミュート・ギターのフレーズをそのままホーンに置き換えたりとか、表で鳴っているメロディーを後ろに引っ込めたりとか、こっちが新しいフレーズを作らなくてもカヴァーのしようがいくらでもある。極端に言ってしまうとやっぱり凄いなと(笑)。

――じゃあ、最後にこの『Niagara Spring 〜Niagara Cover Special〜』を聴いてみた感想をそれぞれお願いします。

永山:アーティストによって様々な解釈があって面白かったです。いろんな料理の仕方があるんだなって。□□□も賑やかで楽しくて、春っぽさが出ているのが良かった。夏ヴァージョンも楽しみですね。

南波:まだ1枚だからこのトリビュートの全貌がわからないよね。

三浦:5曲入ってちょうど腹八分目な感じだよね。次が聴きたくなる。これを聴いた人が大滝さんの音源をさかのぼって聴いてくれるといちばん嬉しいな。

※Niagara Cover Special第2弾決定!
『Niagara Spring 〜Niagara Cover Special〜』に続く夏盤『Niagara SUMMER〜Niagara Cover Special〜』が8月上旬リリース決定! 曽我部恵一がカヴァーする“A面で恋をして”の収録も決定。乞うご期待!!

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