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Rasmus Faber

掲載: 2006/05/25

ソース: 『bounce』誌 276号(2006/5/25)

駆けていくのは美しい旋律、降ってくるのは爽やかなグルーヴ……ラスマス・フェイバーの世界はトキメキで溢れている!!

文/石田 靖博




〈オシャレ!〉――とにかくラスマス・フェイバーの音楽を表現するにはこの一言がピッタリなのである。大ヒットした“Ever After”を筆頭に、ブルーアイド・ソウルの最新アップデート版と呼べるほどの完成度を誇るキャッチーかつメロディアスなハウスチューンの数々。それらには、6歳からピアノを学び、最初の(なのに完成度の高い)ハウス・トラック“Never Felt So Fly”を制作する以前はジャズ・ピアニストとして活動していた……というキャリアが大きく影響している。

  「確かにあの曲は、僕が初めて作ったハウスだけど、長い間ミュージシャンとして作曲やアレンジはやっていたからね。楽曲制作っていうのは、アイデアを録音して最終形にするという行為だから、実は僕にとって大きなステップではなかったんだよ」。

 そんなハウス〜クラブ・シーンとは無縁の地点からキャリアをスタートしたというフレッシュさが、彼の楽曲の瑞々しさに大きな影響を与えているのだろう。

  「僕が10代だった頃、音楽のキャリア的にも最初のほうにハウスとは出会ったんだけど、当時はハウスを取り巻くシーンに関して何も知らなかったんだ。ハウスっていう音楽は、いろいろなジャンルの音楽を自由に採り入れて実験できるカテゴリーだと思っている。僕はジャズの勉強をしてきたけど、ファンク、ソウル、ディスコ、アシッド・ジャズ……といった多様なジャンルの仕事をしてきたし、ハウス・ミュージックはそれらの要素をすべて受け入れてくれるものだよね」。

 さらには、「実はそんなにクラブには行かないんだ。自分がクラブでけっこうプレイするせいかもしれないね。スタジオで制作する時間が必要だから、DJもそんなにブッキングしないようにしている。それに、DJプレイが音楽の制作過程に影響を及ぼさないように注意してるんだ」と、DJ上がりのアーティストからは絶対出ないような発言も飛び出す。

  「僕は最初からクラブ人間ではなかったから、〈クラブのため〉というより、〈音楽のため〉に制作活動をしていると思う。クラブでのオーディエンスの反応っていうのは瞬時の出来事だったりするよね。ピーク・タイムもそうだ。でも僕は、僕の音楽が瞬時だけではなく、人々の記憶に残ってほしいと思っているんだよ」。

 そんな考えが、世界中のDJがプレイするわ、何十ものコンピに収録されるわ、何回も再プレスされ続けるわで凄まじい大ヒットとなった“Ever After”を生んだ原動力だったのではないだろうか。

  「そうだね。もちろん僕もあの曲には何か特別なものが宿っていると思うよ。その特別なものとは、音楽を通じた僕の〈自己表現のプロセス〉のひとつなんだと思う」。

 ともあれ、彼の〈高級ハウス〉とも呼べる洗練性とハイセンスぶりは、匿名性の強いハウス・シーンにおいても異色であり、特に日本ではセンスの良さを計るリトマス試験紙……というより、すでに安定銘柄となっている。シングル曲を集めた今回のアルバム『So Far』でそれが一般常識となることは決定的なのだ。

  「そう思ってもらえるのは凄く光栄だよ! 僕も実は日本のオーディエンスとは非常に特別な繋がりを感じているんだ。上手く説明できないんだけど、旋律を感じ取る感受性みたいなものが似ているのかもしれないね。そういった特別な繋がりが音楽をより豊かなものにすると思っているし、みんなが僕を匿名のプロデューサーではなくて、ひとりのアーティストとして見てくれたら嬉しいな」。
ラスマス・フェイバーの日本編集盤『So Far』(ビクター)


文/轟 ひろみ

ウワサのあの娘も大推薦!! ますます熱を増すラスマスの音世界!!

 私は、ラスマスの楽曲に対して、〈しっとりしたムーディーな夜の世界〉と〈ブライトで軽快な昼の世界〉の両極が存在しているな、と感じていました。どちらの世界も彼らしく、とても聴き心地が良くて大好きなのですが、特に私は彼の〈夜の世界〉を好んでいました。“boyfriend”のリミックスをお願いするにあたって、特に注文などはしていなかったのですが、初めて聴いた時には、もうびっくり!! “boyfriend”が見事に彼独特の〈夜の世界〉に包まれて、新しく生まれ変わっていたんです。もともとの〈boyfriend〉像よりも5、6歳年上になったようで、大人な恋を連想させる“boyfriend”でした。それから約3か月後ぐらいに出会ったラスマスは少しシャイで、それでいて笑顔がチャーミングで……まさに母性本能をくすぐるタイプ的な美男子でした。そのうえ、凄く誠実で思いやりがあって。その人柄の良さも、彼の楽曲に表れているんだな、と感じました。今回のラスマスのリミックス・アプローチは、私の視野と今後の可能性を大きく切り拓いてくれました。いつかまたいっしょにお仕事できることを、とても楽しみにしています。(AYUSE KOZUE)
ラスマス・フェイバーのリミックスを収録したAYUSE KOZUEのデビュー・シングル“boyfriend”
セカンド・シングル“Pretty Good”(共にトイズファクトリー)

文/轟 ひろみ

ウワサのあの娘も大推薦!! ますます熱を増すラスマスの音世界!! その2

『Roger Sanchez Presents Release Yourself -Ibiza 2002』 Stealth(2002)

 早くからラスマスのセンスを察知していたのがロジャー・サンチェス大王。ラスマスにとっても初期仕事となるシック・ディック“Insatiable(Rasmus Faber Mix)”をフィルター〜ディープ系が群れるビッグ・バッド・ディスコに投下しておりラスマス。



『Disco Kandi 05.03』 Hed Kandi(2003)

 ラスマス・フェイバーの名をより広範に伝播することとなったのが、ダブトライブ・サウンド・システムの“Autosoul(Rasmus Faber Remix)”でしょう。彼がディフェクテッドと契約するきっかけにもなったそのビッグ・チューンは、この胸キュン定盤などで聴くことができラスマス。



『Kenny Dope In The House』 Defected(2003)

 ディフェクテッドの〈In The House〉はラスマス天国? 御大ケニーさんの本3枚組では、Disc-1のクライマックスにてラスマスの“Ever After”からジュニア・ジャックの特大キラー“E Samba”のラスマス・リミックスへ繋ぎ、爽快なアガリっぷりを演出しておりラスマス(しつこい)。



『Soul Source REMIXED FEVERS』 ビクター(2005)

 洋邦のクリエイターたちがソウルやジャズ、ラテンなどのクラシック曲をリミックスする人気シリーズの第2弾。ラスマスはフローラ・プリム“Moon Dreams”を担当し、彼らしいコード感のあるグルーヴ倍加術を披露しておりラスマ(略)。



Jazztronik 『the REMIXES PART:I』 徳間ジャパン(2006)

 大物クリエイターが集ったリミックス集にて文句ナシの存在感を誇るのがラスマスの“Searching for love”。DJではなくプレイヤーがキャリアの起点であるという野崎良太との共通項は、この相性の良さを語るうえで重要なポイントかも。



金原千恵子 『STRINGS OF LIFE』 GRAND GALLERY(2006)

 カスケイドら日本でも人気のクリエイターが居並ぶなか、当然のように(?)ラスマスも抜擢。その“STAY WITH ME”では鍵盤と弦の麗しくも涼やかな交歓が楽しめます。作品の詳細はこちらを要チェックね!!

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