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掲載: 2007/03/29
ソース:『bounce』誌 285号(2007/3/25) |
ネバーランドってどんなトコ?
文/冨田 明宏
ここではUKで発生した新たなロックの流れ〈テムズ・ビート〉について紹介していこうと思うのだが、われわれ日本人にとってこのムーヴメントは少々わかりづらい文化やリレーションシップの上に成り立っている。19世紀のファッションや文学の復古、アイリッシュ・トラッド的情緒の添加、そしてスキッフルの持つ雑多なビート感の導入などが特徴として挙げられるが、しかしこれはあくまでホロウェイズやラリキン・ラヴなどに共通するキーワードであって、これらの項目に該当しないアーティストも実際には多数存在するわけだ。じゃあいったい〈テムズ・ビート〉って何? シーンの顔役でもあるホロウェイズのアルフィー・ジャクソン(ヴォーカル/ギター:以下同)に、そのあたりを直撃した。
「実は、僕らには明確な共通点なんてないんだよ。強いて挙げればスペシャルズとポーグスが好きなことくらいさ。もともとミステリー・ジェッツのハリソン一家が、イール・パイ・アイランドを拠点にしたのがきっかけだね。そこにラリキン・ラヴやその友人たち、要するに俺たちやジェイミー・Tが集まって新しい音楽をやりはじめたんだ」。
となると、イール・パイ・アイランド周辺で活動している人たちを総称して〈テムズ・ビート〉って呼ぶわけね!?
「う〜ん……そんな感じなのかなぁ。イール・パイ・アイランドは19世紀のダンスホールからヒッピー登場まで、かつてはロンドンの音楽史でもっとも重要な場所だったんだ。実際に、この島の物語が僕たちのサウンドに影響しているしね」。
どうやら〈テムズ・ビート〉は音楽の聖地に集い、歴史や文化に触れるということが重要なようだ。わかりやく置き換えると、東京における〈高円寺シーン〉の精神性と言ったところか。ではなぜテムズ・ビートが興ったのだろう。そう、お察しのとおり、21世紀初頭にトラディショナルな英国文化や文学性を復権させた〈リバティーンズ革命〉の巨大な影響によるものなのである。現在のUKは〈ニュー・レイヴ〉だけじゃない! 〈テムズ・ビート〉周辺はとにかく良質なアーティストが多いので、これを機にぜひ注目してほしい。
| | このたび日本盤化されたばかりのホロウェイズのファースト・アルバム『So This Is Great Britain?』(TVT/ビクター) |
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文/白神 篤史、冨田 明宏 テムズ河に隠された財宝を探しに行こう!
LARRKIN LOVE 〈テムズ・ビート〉とはラリキン・ラヴであり、ラリキン・ラヴとはエドワード・ラリキンその人である。少々暴力的な物言いをしたが、そう言い切る理由はもちろんある。〈テムズ・ビート〉の特徴についてはホロウェイズの証言も交えて序文で紹介したとおりだが、その音楽性には19世紀のフランス文学や詩に心酔するエドワード・ラリキンの思想や音楽的嗜好が少なからず影響しており、日本盤化されたばかりのデビュー作『The Freedom Spark』(Infectious/Warner UK/ワーナー)ではアイリッシュ・トラッドやスカ、スキッフルなどがギッシリ詰め込まれている。ホロウェイズ、ジェイミー・T、パトリック・ウルフ、ランブル・ストリップスらテムズ・ビート界隈のアーティストが本作にゲスト参加していることからも、エドワード・ラリキンの交遊網=〈テムズ・ビート〉シーンと断言してもあながち間違いではないのだ! (冨田)
THAMES RIVER 南イングランドを流れる全長346kmの河川。紀元前43年頃にその河流域に作られた集落、ロンドニウムが現在のロンドンだ。〈テムズ・ビート〉シーンはこの河の中流域一帯、ロンドン南東部のトゥイッケナム周辺で起こったムーヴメントを指すと言われている。 (冨田)
THE YOUNG KNIVES 2006年にリリースされた彼らのファースト・アルバム『Voices Of Animals And Me』(Transgressive)。プロデュースを手掛けたのはアンディ・ギルで、ポップなポスト・パンクがいかにも英国風! 良い!! (白神)
MYSTERY JETS テムズ河中流域に浮かぶ人口120人の小島から突如現れた5人組、ミステリー・ジェッツ。ギタリストとキーボーディストが実の親子ということでも話題を呼んだが、何よりシド・バレット直系のサイケデリアと英国的なポップネスが詰まった2006年のファースト・アルバム『Making Dens』(679/Warner UK)はUKロックの新たな潮流を予感させた! そもそも彼らが存在しなければ現在の〈テムズ・ビート〉というシーンはありえなかったわけで、このムーヴメントを語るうえでの最重要バンドなのである。 (白神)
PATRICK WOLF ラリキン・ラヴのアルバムにも参加していた彼の2007年作『The Magic Position』(Polydor)。お返しにとラリキンのエドワードがゲスト参加……してくれたのに、ほとんどパトリックの声しか聴こえないという俺様っぷりが素敵です。 (白神)
JAMIE-T ラリキン・ラヴのデビュー作にしっかりとゲスト参加しているウィンブルドン(テニスで有名!)出身の弱冠20歳のシンガーソング・ライター、ジェイミー・T(写真中央)。UKプレスからは〈男版リリー・アレン〉などと言われていますが、どちらかといえば〈G・ラヴ+ストリーツ〉な感じ。ヒップホップ、レゲエ/スカ、フォーク、ロック、パンクを自在に操った、〈これぞテムズ・ビート〉と唸りたくなるお手本のようなミクスチャー・サウンドを掻き鳴らし、シーンにおけるカリスマ的な存在感を証明しています。このたびリリースされたばかりのファースト・アルバム『Panic Prevention』(Virgin)がUKチャート初登場4位を記録&先日の〈NMEアワード〉でも最優秀ソロ・アーティスト賞を獲得するなど天才の出現にUK国内はお祭り騒ぎ! (白神)
THE RUMBLE STRIPS トランスグレッシヴからフラテリスを擁するレーベルへと移籍してメジャー進出を果たした彼らの、出来立てほやほやなデビュー・シングル“Alarm Clock”(Fall Out/Island)。トランペットの音色にメロメロです。 (白神)
GOOD SHOES ラリキン・ラヴとレーベルメイトであり、〈ネクスト・マキシモ・パーク〉と噂されている4人組が年明け早々に放ったマキシ・シングル『All In My Head』(Brille)。フックの効いたメロディーはホロウェイズ好きを秒殺させますよ〜! (白神)
EEL PIE ISLAND 60年代にヒッピーが集い、ストーンズやピンク・フロイドもライヴを行なったテムズ河中流域に浮かぶ伝説の島。ミステリー・ジェッツの登場まで人々に忘れ去られていたロックの聖地である。 (冨田) |
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