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Astro

掲載: 2008/03/06

ソース: 『bounce』誌 296号(2008/2/25)

ポップでキラーなウイルスに要注意!! 限界知らずの7人が放散するダンサブルなロッキン・エレクトリップ・ラップ・ミュージックはどこまでも拡大していくぞ!!

文/ヤング係長




 〈ロックとヒップホップのクロスオーヴァー〉なんて言葉が一般化して久しい時代でありながら、リスナーはいまだに自分の聴いている音楽がどのジャンルに属するのかを気にしている。その傾向はこれからも変わらないことなのだろう。ここで紹介するAstroは、4MC+2DJ+1トラックメイカーの7人編成から成る混合ラップ・ユニット。彼らが放つ音楽は、ロック、ハウス、エレクトロなどが混ざり合うトラックの上で、痛快なラップと親しみやすいメロディーが交錯する。それはボーダーを飛び越える挑戦のようにも聴こえるし、あらゆる音を差別なく楽しむ耳を持った世代らしい遊びと取ることもできる。〈とにかく自由であること〉がAstroをやるうえでの最低条件と語る彼らは、自分自身がどこに属していると考えているのだろうか。

  「僕はAstroのなかにいても、ヒップホップをやっているつもりです。自分がこれまでやってきたラップの積み重ねの上にある音楽というか。それは方法論じゃないんですけど」(was、MC)。

  「(トラックメイカーの岩渕)マサル君が作る音は凄い好きなんだけど、俺はAstroに関してはヒップホップ・リスナーとしてのツボは刺激されない。聴いた人が持つAstroの〈わからなさ〉っていうのは、メンバーの価値観がバラバラな感じが曲に出ているからだと思います。逆に言えば、それがAstroの味なんです」(tao、MC)。

 2004年に結成されたAstroの歴史は、MIDICRONICAとimaginionという、2つのアンダーグラウンド・ヒップホップ・クルーの出会いから始まっている。その2つのユニットが結合したのは、トラックメイクを一任されている岩渕マサルという男の存在があったからだ。

  「ヒップホップというよりも、ラップ・ミュージックをやっている感じ。僕は根本的にロックが好きなんです。音楽って結局、最初に聴いた時に格好良いと思えるかどうかが大事だから、ジャンルじゃないですよね」(岩渕マサル、トラックメイカー)。
Astroのファースト・フル・アルバム『Virus of irony』(rovelab/BMG JAPAN)

 〈格好良いと思えるかどうか〉という命題は、このたび登場したファースト・フル・アルバム『Virus of irony』でまさしく実践されていることだ。同作には、ヨーロッパを中心とした現行ロック・サウンドへの歩み寄りを見せつつ、ヒップホップ・リスナーをも刺激するであろう全方位型の楽曲が詰め込まれている。

  「アルバムを作るうえで、ジャスティスみたいなエレクトロやニューレイヴには触発されました。ずっとロックと打ち込みを融合しようとしていたから、ニューレイヴを聴いた時には〈してやられた〉と思いましたね(笑)。Astroでは、最終的にはラップが入っていて、踊れる曲を作りたいんです」(岩渕)。

 ヒップホップを軸としながら、あらゆる表現を呑み込もうとするAstroの野心。彼らがその貪欲な姿勢をどこまで広げてみせるのか、『Virus of irony』を聴けばまずはその一端が見えてくるはずだ。

 ▼Astroのミニ・アルバム。
2006年の『population』(rovelab/BMG INDIES)
2007年の『mnemonic』(rovelab/BMG INDIES)


文/轟 ひろみ、青木 正之

Astroに通じる音楽、Astroを形成した音楽


TTC 『3615』 Big Dada(2007)
フレンチ勢のなかでもトップクラスの革新性を持つ異端児ヒップホップ集団。カラフル&ポップなヴィジュアル面から何でも吸収しちゃう雑食性の強いスタイルまで、Astroと共通項が多いのは偶然?
(青木)



MIDICRONICA 『#501』 KSR(2005)
TVアニメ「サムライチャンプルー」で使われた名曲“san francisco”で記憶されるこのユニットにはwasとhight28%が在籍! DJ Shunsukeのビートも収録されるなど、Astroの前段的な印象も。
(轟)



『No Shit!!』 KSR(2007)
キツネ・コンピへの抜擢でも話題のウィップなど、クラクソンズ以降のポスト・ニューレイヴを担う注目株を集めたコンピ盤。ロッキンな方向性も見せるAstroに負けないハイブリッドなバンドが揃っている。
(青木)



DIGITALISM 『Moshi Moshi E.P.』 EMI Music Japan(2008)
Astro好きもロック好きもクラブ好きもまとめて面倒を見てくれるコンビの最新作は日本独自EP。期待どおりのポップでロッキンなエレクトロ・ハウスが満載です。
(青木)



GROOVY SAUCE 『-Genovese-』 ビクター(2006)
中塚武のパーティー〈GROOVY SAUCE〉のレジデントDJ、那須野彰洋とNa-3ldkを結成していた岩渕マサル。このコンピでもその粋でキャッチーなトラックが楽しめます。
(轟)



TEENAGE BAD GIRL 『Cocotte』 Citizen(2007)
ヴィタリックのレーベルから登場した新星は、エレクトロ・ブレイクスという言葉がピッタリはまるブリブリで激アッパーな音を装備。この爆発力はAstroと並べてもイケる。
(青木)



DOUBLE 『Reflex Remix』 フォーライフ(2007)
多彩なクリエイターが腕を振るうなかで、岩渕は“ROCK THE PARTY”をファンキーなベースが唸るディスコ風味に改編。途中で挿入されるロッキンなドラム・ブレイクがカッコイイ!
(轟)



なのるなもない 『melhentrips』 Temple ATS/Pヴァイン(2005)
taoとpepue、副島ショーゴのトリオ=imaginionの主催イヴェントにはアングラ界の要人も多数出演していた。そんな縁もあって今作中の“まちぼうけ”にはtaoが客演!
(轟)

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