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RODRIGO Y GABRIELA

掲載: 2008/03/13

ソース: 『bounce』誌 296号(2008/2/25)

圧倒的なスピードで弦を掻き鳴らす赤い情熱彗星が2つ――いまアコギを抱えたメキシコ出身のあばれはっちゃくデュオ〈ロドガブ〉が世界を席巻してるんだよ!

文/栗本 斉




たった2本のアコースティック・ギターなのに、そこらのラウド・ロックなんて蹴散らすほどのド迫力!

 いま世界中で話題沸騰のロドリーゴ・イ・ガブリエーラが、『Rodrigo Y Gabriela』でついに日本上陸する。すでに輸入盤がビッグ・セールスを記録している本作は、スパニッシュ・ギターの名手を思わせるバカテクとロック魂溢れるパッションで、ワールド・ミュージック・ファンからメタル・キッズまでを魅了しているのだ。

 ロドリーゴ・サンチェスとガブリエーラ・キンテーロという男女のギタリストからなるこのインスト・ユニットは、アイルランドを拠点とするメキシコ人という、なんともユニークな経歴を持っている。メキシコシティにてスラッシュ・メタル・バンドで活動した後、とりあえずヨーロッパへ行こうと考えた彼らは、未知なる国・アイルランドに流れ着き、アコースティック・ギターのデュオを始めた。

  「ダブリンの路上で演奏していたら、パーティーやコーヒー・ショップで演奏しないかって声をかけてもらったの。本当にいろんなところに行ったわ」(ガブリエーラ・キンテーロ)。

 こうしてヨーロッパ各地で演奏活動しているうちにクチコミで話題を呼び、レコード会社とサイン。ストーン・ローゼズやレディオヘッドも手掛けてきたジョン・レッキーのプロデュースによる今回の『Rodrigo Y Gabriela』で、ついに世界的なブレイクを果たした。

  「クリスタルでクリーンな音の、いかにもなアコースティック・ギター・アルバムにしたくなかった」(ロドリーゴ・サンチェス)。
3月5日に日本盤がリリースされる、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラのセカンド・アルバム『Rodrigo Y Gabriela』(ATO/ソニー)

その言葉どおり、冒頭からギターだけで作られているとは思えない怒濤の展開を見せつける。まるでドラマーのようにリズムを刻むガブリエーラのパーカッシヴなプレイと、ダイナミックながらもきめ細かなロドリーゴの速弾きフレーズ。これらが一体となってぶつかり合う様子からは、フラメンコやジプシー音楽などの影響が濃厚に感じられる。実際、彼らはパット・メセニーやマーティ・フリードマンらの他にも、パコ・デ・ルシアやトマティートといったスパニッシュ・ギタリストをフェイヴァリットに挙げている。だが、そういった狭い枠組みだけで解釈できないところも彼らの魅力。

  「フラメンコの要素は入っているけれど、構造はあきらかにロック寄り」(ロドリーゴ)と語るとおり、その根底に流れるのはロック・スピリット。ライヴではピンク・フロイドやジミ・ヘンドリックスの名曲をレパートリーに並べ、今回のアルバムにもメタリカの“Orion”と、レッド・ツェッペリンの“Stairway To Heaven”というサプライズなナンバーが収録されている。

  「ロックのカヴァーは、伝統音楽と思われたくないという意思表示。ツェッペリンをやることによって、ジャンルを超えてもっといろんな音楽スタイルができるのよ」(ガブリエーラ)。

 この〈ワールド・ミュージック〉の枠に縛られたくないという気持ちは、オリジナリティーを生み出しているという自負があるからだ。

  「僕らは若いキッズのインスピレーションになれたと思うんだ。人と違ったことをやって成功できるってことを、僕らは証明できたと思うから」とロドリーゴは話してくれたが、確かに彼らの音楽は誰にも真似できない特別な世界。「いつかサンタナと共演したい」と語る2人は、今後もギター2本だけを抱えてどこまでも突っ走っていくに違いない。
ロドリーゴ・イ・ガブリエーラの2004年作『Re-Foc』(Rubyworks)
“Orion”の原曲が収録されたメタリカの86年作『Master Of Puppets』(Elektra)
“Stairway To Heaven”の原曲が収録されたレッド・ツェッペリンの71年作『IV』(Atlantic)


文/桑原 シロー、本橋 卓

熱い血潮をたぎらせまくるスパニッシュ・ギターの猛者たち!

マイナー調のメロディーが濃ゆい哀愁を醸しているが、あくまでも音色は乾いており――とはロドガブ・サウンドについての話だが、フラメンコなどスパニッシュ・ギター音楽の特徴とまんま繋がるわけで、2人の音楽にはラテンの血が明確に表れていることを意味する。というわけで、ここではロドガブを聴いた後に手を伸ばしてほしい、抜群のギター・テクを披露するハード&ホットな音盤を紹介しよう。
(桑原)

 

AL DI MEOLA, JOHN McLAUGHLIN, PACO DE LUCIA 『Friday Night In San Francisco』 Columbia(1980)
奇才フラメンコ・ギタリスト、パコ・デ・ルシアがジャズ界のギター名人2人と手合わせした名ライヴ盤。アコギのみの濃密な対話ぶりにロドガブ好きも多分ドッキリ!?
(本橋)



TOMATITO 『Anthology』 Emarcy 
アンダルシア生まれの天才フラメンコ・ギタリストによる最新ベスト盤。彼の切れ味が鋭くスケールのデカい演奏がロドガブの2人を惹き付けているのだろう。ミシェル・カミロとの共演曲“Spain”はいつかロドガブにカヴァーしてもらいたい!
(桑原)



RAYITO 『Rayito』 South Beat(2006)
抜群のギター・テクニックを誇るラテン・ポップ・シーンの若き貴公子によるデビュー作。ピリッとスパイシーなフラメンコ・ギターが彼の特徴であるが、ロドガブとは出音に込められた〈パッション〉の高さに共通項を見出すことが可能だ。
(本橋)



GYPSY KINGS 『Pasajero』 Tinto Tinta(2006)
世界最高のジプシー・バンドとして野性味溢れるアコギ・サウンドを届けてくれる彼ら。この最新作で聴ける、激しくも妖艶に爪弾かれる緩急自在なギターが熱い手拍子と重なり合って沸騰していく様にロドガブと同じ匂いが。
(本橋)



BENISE 『Nights Of Fire!』 Vanguard(2006)
日夜情熱的なパフォーマンスを繰り広げ、女性ファンをメロメロにしているUSフラメンコ界の王子。バラの花束が似合うロマンティックなプレイも良いのだが、髪を振り乱して大股開きでワイルドにギターを掻き鳴らす姿はやっぱ最高!
(桑原)



OJOS DE BRUJO 『Techari』 Six Degrees(2006)
ロドガブよりもだいぶ大所帯ながら、フラメンコ・ギターを印象的に用いているあたりは通じるところもあるスペインのミクスチャー・バンドによる大名作。アコギでハードなサウンドをクリエイトする独自のアプローチがおもしろい。
(本橋)



DES+KARADAS 『Palos Flamencos Pa' Los Punks』 Autoeditado(2005)
手拍子&ギターというごく普通のフラメンコ……と思いきや、歪んだエレキ・ギターやロー・ボトムなドラムがドカドカ乗っかってきてフラメンコ・パンクへと変身! ロドガブ類似作として要チェック!
(本橋)



FLAMETAL 『Master Of The Air』 Powerslave(2008)
フラメンコ・ギタリストのベン・ウッズとホワイトスネイクのユーライア・ダフィによるバンドの2作目。名前どおりに2つのスタイルをドッキングさせ、激烈な哀愁音楽を生み出している。ぜひロドガブとブッキングさせたい!
(桑原)

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