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TOKYO No.1 SOUL SET

掲載: 2008/04/03

ソース: 『bounce』誌 297号(2008/3/25)

これまでとは違う3人のスタンスが功を奏した〈勝負作〉。彼らはまたもやオリジナルなサウンドを開拓していますよ!

文/ヤング係長




 2005年、約6年ぶりの復活となった前作『OUTSET』で新たな〈始まり〉を提示したTOKYO No.1 SOUL SET。そして今回リリースされたニュー・アルバムは、前作で見せたビート・オリエンテッドな表現をキープしつつもオーガニックな質感をより強く押し出し、さらにディープな部分での多様性が見て取れる。それは、彼らのルーツのひとつであるパンク〜ニューウェイヴの表出であったり、現場経験の賜物を感じさせる流石な音響処理、前作とはまた違うアプローチに唸らされるハウスの採り入れ方などなど――映画のシナリオを思わせる物語性のある歌詞と無垢なメロディーがループの上で情景を描く、というかつての彼らが持っていたテイストも匂わせながら、このような新たな試みも随所に織り込んで、またもや彼らにしか生み出せない音になっている。

  「今回は作り方がずいぶん違うんです。僕が用意したデモ・トラックに2人が思い付いたことをどんどん重ねていって、最終的に元のトラックは消す。そうすると、最初に想像もしなかった着地点に落ち着いて。InKでやった方法を、ここでも突き詰められるなって思って」(川辺ヒロシ、DJ)。

 聴き手が感じる心地良い違和感は、作曲の方法論の違いだけによるものではない。

  「今回は僕がビートを作らない曲もあったんです。BIKKEがトラックにアイデアをどんどん入れてくるのがおもしろくて」(川辺)。

  「歌とかメロディーでも、BIKKEにお願いした部分がありました。本来自分が担当するパートだと思っていた部分を任せたり、人のパートを任されたりすると良いものが出来たりして、ストレスなく作れましたね。これまでストイックに考えすぎていたのかも」(渡辺俊美、ギター/ヴォーカル)。

 メンバー3人の役割がルーティンとならずにフレキシブルになったこと、それこそが本作でのもっとも大きな変化だろう。その結果生まれたサウンドは、とても自然で風通しが良い。その風通しの良さは、メンバー個々の現在の考え方とも共通する。

  「あれもこれもって欲を出さずに、まず何を最優先にするのか、目的がはっきりしてきた気がする。昔は自分の考えを完璧に表現しようとして、聴き手を意識してなかった。大人になったとは思わないけど、素直にはなってきているんじゃないかな」(BIKKE、ヴォーカル)。

  「変な欲で言うんじゃなくて、これが勝負作だとは思っています。決意みたいなものは各々が持っていたんじゃないかな。ここで良い作品を残したいという気持ちはあるんです。次のステップに繋げるためにも」(渡辺)。

 それでアルバムのタイトルは『No.1』。メンバー間の新たな結束による自信が標榜されたこの作品でTOKYO No.1 SOUL SETの新章・第二幕が開ける。
TOKYO No.1 SOUL SETの2005年作『OUTSET』(スピードスター)
TOKYO No.1 SOUL SETのニュー・アルバム『No.1』(tearbridge)


文/bounce編集部

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 ここでは、TOKYO No.1 SOUL SETの活発な個人活動を紹介! まず、BIKKEは斉藤哲也、高野寛との3人組=Nathalie Wiseで組曲形式のクラシカルなポップスが詰まった3作目『raise hands high』(FIVE D:1)を2004年に発表、また翌2005年には映画「サヨナラCOLOR」のサントラ盤『サヨナラCOLOR〜映画のためのうたと音楽〜』(FIVE D:2)にも参加しています。一方、渡辺俊美はレゲエやスカ、ラテン、パンクなどを雑多に取り込んだサウンドで話題のソロ・ユニット、THE ZOOT16で2006年に4作目『完全逆様な世界』(ZOOT SUNRISE:3)を発表し、精力的なライヴ活動も展開。最近では彼が選曲を手掛けるバルセロナのミクスチャー・バンドの楽曲をコンパイルした『ムシカ・イノセンテ selected by 渡辺俊美』(ビーンズ:4)もリリースされたばかり(詳しくはP92のレビューで!)。そして川辺ヒロシは2006年に石野卓球とInKを結成。2007年発表の2作目『InK Punk Phunk』(キューン:5)はトライバルなビートのチルアウト曲からパンキッシュなダンス・トラックまで、2人の技とユーモアが炸裂した好内容でした。さらに川辺自身でミックスCD『dadada』(koplatiko:6)も昨年リリースしています。
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