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The White Stripes

掲載: 2003/03/27
更新: 2003/04/17
ソース: 『bounce』誌 241号(2003/3/25)

世界のロックンロールは彼らのもの! ブルースへの純情と破壊的な野生を詰め込んだニュー・アルバムが完成した。もはや『Elephant』の勢いは止められない!!

文/村尾 泰郎




かつて〈ハイカラ〉をもじって野蛮で手荒い連中のことを〈蛮カラ〉なんて言った時代があったが、ホワイト・ストライプスはいまいちばん蛮カラなロックンローラーだ。蛮カラなロックンロール、それはきっと汗臭く、涙もろくて、ケンカっぱやく、何よりそこにはベタなほど純情な音が鳴り響いている。思えば弟ジャック・ホワイト(ギター/ヴォーカル)と姉メグ・ホワイト(ドラム/コーラス)がホワイト・ストライプスを結成したのはデトロイトでのこと。デトロイトといえば、古くはMC5やストゥージズ、最近ではエミネムをも生んだ工業都市だが、あの街には熱いヤンキー魂がある。それは、典型的なアメリカ人という意味のヤンキーと同時に、日本で言うところの地方の不良=ヤンキー。ホワイト・ストライプスも、そんなヤンキー列伝に加わるべきアクを持ったバンドなのだ。しかし、前作『White Blood Cell』がイギリスでリリースされるや瞬く間にブレイク。彼らはストロークスやハイヴスなどとともに〈ロックンロール・リヴァイヴァル・シーン〉の旗手として祭り上げられてしまう。いきなり世界を背負わされた2人。しかし彼らは悠々と新しい挨拶を送ってきた。溢れんばかりのヤンキー魂が炸裂する新作、その名は『Elephant』。

プロトゥールズなんてクソだよ


「〈イノセント〉と〈怒り〉、〈威厳〉と〈パワー〉、〈敏感〉と〈ぎこちなさ〉、人間だったら誰でも持っている二面性。それにステージ上でひとつの生き物としての僕とメグ、そして普段の僕とメグという二面性。こうした二面性のイメージを〈象〉は持っているんだ」(ジャック)。

  〈イノセント〉と〈怒り〉はバンド・カラーでもある赤と白に隠されたバンドのテーマでもある。そのテーマを象というキャラクターを通して増幅させたこの新作では、バンドの筋を通した、間違いなくホワイト・ストライプス以外の何者でもないロックンロールが掻き鳴らされている。それは彼らが住み慣れたデトロイトから離れ、海の向こう、ロンドンで初めてレコーディングを敢行したからといって何も変わらない。

  「ロンドンを選んだわけじゃなくて、そこに俺たちの好きなトゥ・ラグ・スタジオがあったからさ。トゥ・ラグがアメリカにあれば俺たちはそこに行ってた。あそこにはコンピュータ関係の機材が一切ないんだ。プロトゥールズなんてクソだよ。それに素晴らしい耳と技術を持ったエンジニア、リアム・ワトソンがいたことも大きいね」(ジャック)。

 これほどまでにバンドにリスペクトされるトゥ・ラグとリアム・ワトソンとは、イギリスのガレージ・ロック・シーンを影で支えてきた精神的支柱。イギリスを代表するガレージ・ロッカーズ、ヘッドコーツ(そのメンバーでもあるホリー・ゴライトリーが、今回ヴォーカルでゲスト参加)やフレーミング・スターズはもちろん、我が国からはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが、最近ではダットサンズもこのスタジオとリアムにお世話になっている。とりあえずこのメンツを見ればその豪腕ぶりは伝わってくるが、ホワイト・ストライプスの新作でも、そのザラついたエモーショナルなサウンド・プロダクションが、アルバムに不吉で強力なヴァイブレーションを渦巻かせている。そんな新作からリリースされるファースト・シングルは、ジャックの複雑なコーラスが聴く者のハートを直撃するナンバー“There's No Home For You Here”。

  「8トラックでどこまでヴォーカルを爆発的にデカくできるかやってみたかったんだ。結果的には12人の俺が重なってるんだけど、ちょっとヤリ過ぎたかなって(笑)」(ジャック)。
日本先行でリリースされるホワイト・ストライプスの4作目『Elephant』(V2)

ヤリ過ぎ万歳! この曲を聴くとミシシッピの古い教会でクイーンがゴスペルを歌ってるような素晴らしい妄想に浸ることができる。また毎回恒例のカヴァー曲だが、今回はバート・バカラックの“I Just Don't Know What To Do With Myself”をセレクト。

  「あの曲はとても優れたブルースだと思うし、俺はバカラックの曲の作り方が大好きなんだ。コーラスも素晴らしいし、力強さがある」(ジャック)。

 ちなみにそれぞれのお気に入りを聴くと、ジャックは“Ball And Biscuit”(「スタジオで書いた曲なんだけど、すごく自然体でパワフルなんだ」)、メグは“The Hardest Button To Button”と“Seven Nation Army”(「レコーディングを終わったいまでも頭の中から離れないのよ:笑」)ということ。でも初めてメグがヴォーカルをとった“In The Cold, Cold Night”のブルージーな歌声も忘れられない色っぽさだ。

  「あれはジャックのアイデアだったんだけど、いい経験だったわ。たまには声を潰してしまうこともあるけど(取材中メグはずっと咳をしていた)。最近ではライヴでも歌うようになったの」(メグ)。

ギターなんてただの木切れさ

 とまあ、こんなふうにさまざまなナンバーで織りなされた新作だが、全体を包んでいる生々しい感触はこれまでのキャリアのなかでも群を抜いてる。たった10日間で録音された(しかも制作費たった80万円!)とは信じられないほどのテンションと底力。なかでもこれまで以上に〈聴かせる〉のが、ジャックのギター・プレイだ。それは時として歌以上にストーリーテラーになる。

  「ジャックが弾くギターには個性があるの。ありふれた点はまったくないわ。彼のギターは感情も持っていれば魂も持っている。今回のアルバムにはこれまで以上に彼のギター・ソロが入っていて、聴いていてとても楽しかった」(メグ)。

  「〈ギターを弾く〉という当たり前のことを真剣にやりたいだけなんだ。弱音を吐かずに堂々と。いろんなエフェクターを使っていろんな音色を使うんじゃなくってね。ロック・バンドのショウを観に行ってよくガッカリしたもんさ。すごく貧弱なギターで、まるでギターをプレイするのを怖がってるみたいだった。いい加減にしろよ!ってよく思ったよ。ギターなんて俺にとっちゃただの木切れと同じだからね」(ジャック)。

 大阪には岸和田という手荒くも人情厚いヤンキー・タウンがあるが(だんじり祭りと競艇場で有名)、そこでは〈めちゃくちゃにやっつける〉ことを〈びしゃびしゃにいてまう〉と言う。素敵な言葉だ。ジャックのギターもびしゃびしゃに鳴り響いている。そして、そのジャックが「ホワイト・ストライプスがホワイト・ストライプスであるための、いちばん大切な要素」と説明するメグのドラムもびしゃびしゃだ。ここにはウソもギミックもない。その代わりにシーンとは無縁の厳しい美学がある。ジャックは彼が大きな影響を受けたブルースについて、こう説明した。

  「ブルースって疑う余地もないくらいにすごく正直な音楽なんだよ。僕の感情の正直な部分に触れるための道具でもあるし、自分の感情表現を可能にする音楽でもあるんだ」(ジャック)。

 そんなブルースを肝に命じたホワイト・ストライプスはロックンロールにためらわない。一直線に、全速力で踏み込んでいく。そう、象は暴走すると手に負えない。かつてインドの象使いたちはいつもナタを持ち、それで象の頭を叩き割って暴走を止めたという。そうまでしないと象は止まらなかったし、それほどの激しさとエナジーがホワイト・ストライプスのサウンドにはあるのだ。

  「真のロックンロール・ヒーローっていうのはロバート・ジョンソンやチャック・ベリー、リトル・リチャードみたいに周りから説得されたり人の言うなりにならないで、本当に自分のやりたいことをやれる人だと思う。それが僕にとって真のヒーローだね」(ジャック)。

 ホワイト・ストライプスはその資格を手に入れたんだと思う。この新作で。

 ▼ホワイト・ストライプスのアルバムを紹介。
99年作『The White Stripes』(Sympathy For The Record Industry/V2)
2000年作『De Stiji』(Sympathy For The Record Industry/V2)
2001年作『White Blood Cells』(Sympathy For The Record Industry/V2)

文/キング・ジョー

ホワイト・ストライプスに流れる、濃いブルースマンの血

 マディー・ウォーターズ、サニー・ボーイ・ウィリアムソンほか、シカゴのブルースマンがローリング・ストーンズやヤードバーズのタフな親父とするならば、拙いリズム&ブルースを初期衝動のみで演奏してたガレージ勢はいわば孫にあたり、現在その血筋を受け継ぐ連中は、純血ではないが遠縁の曾孫ともいえるだろう。情報量の豊富な現代の若き音楽家たちにとって、祖先にあたるブルースマンたちはネタでもあり、尊敬の対象でもある。ホワイト・ストライプスはロバート・ジョンソンやサン・ハウスのカヴァーをしており、また、ジョン・スペンサーもブルース崇拝をそのバンド名で表明。ガレージ視点による黒人音楽再発見を気付かせてくれる。朝起きたらブルースが取り憑いてたんだ! そんなガレージ感覚満点のブルースマンを駆け足で紹介しよう。

 まずは、何といってもハウンド・ドッグ・テイラー。独特のヤサぐれた感覚と超速いブギ、なんと彼は指が6本あった! 再発ジャケで6本目の指がポール・マッカートニーのタバコのように消されてなければそれを確認できるはず。そしてエルモア・ジェイムス。四つ角で悪魔に魂を売り渡す代わりに、スライド・ギターの狂気フィーリングを得た伝説の男。ワン&オンリーな密林感覚の持ち主、ボ・ディドリー。彼のビートは若い娘のメコン川をビショビショに溢れさせる。スリム・ハーポは冷房の効いてない部屋でした情事のあとのようなブルース……。字数が尽きてきた。ハウリン・ウルフ! ジェリー・マッケイン! スクリーミン・J・ホーキンス! アンドレ・ウィリアムス!
超黒く塗れ!

 ▼文中に登場するブルースマンの作品を紹介。
ロバート・ジョンソン『The Complete Recordings』(Legacy/Columbia)
ハウンド・ドッグ・テイラー『Hound Dog Taylor And The Houserockers』(Alligator)
エルモア・ジェイムス『The Sky Is Crying:The History Of Elmore James』(Rhino)


ボ・ディドリー『The Universal Masters Collection Bo Diddley』(ユニバーサル)
スリム・ハーポ『Raining In My Heart...』(Hip-O)
ハウリン・ウルフ『The London Howlin' Wolf Sessions』(Chess/MCA)

文/

ホワイト・ストライプス『Elephant』リリース記念!?
WHITE TRASH SOUL Discographic  日本


〈ガレージ/ロックンロール・リヴァイヴァル〉の喧噪は、10年前の狂い咲きの再来か!?テクニカルでもコマーシャルでもない、しかし素敵な輝きを放つお宝ディスクをご紹介!!

 
90年代以降のガレージ・シーンにとって、80年代後半からのネオGS〜ネオ・モッズ勢の台頭やDADDY-O-NOVが手掛けたイヴェント〈ACK FROM THE GRAVE〉による東京ガレージ・シーンの盛り上がりがこの流れを決定付けるうえで重要な存在であった。またギターウルフやティーン・ジェネレイトなどの活躍で周知のとおり、現在もUSのシーンとは密接な関係が続いており、また、その後日本全国に雨後の筍のごとくフォロアー的バンドが発生したのも周知の事実。現在では90年代に活躍した幾多のバンドも変貌を遂げ(まったくスタイルを変えないバンドももちろんいるが)、〈もどき〉は淘汰されて残るべきものだけが残った感が強い。そして、これらの流れを消化した新世代の動きにも注目である。   (石田)



 

VARIOUS ARTISTS
『STILL WILD AND CRAZY BEAT』 VOLCATONE
DADDY-O-NOVの監修によるネオGS〜ガレージの流れを総括したコンピ。参加メンツにまずは狂喜! さらに全曲未発表音源または新録という驚愕の一枚。音源の少ないガレージ・シーンの無冠の帝王、TEXACO LEATHER MANも収録! こんなCDがリリースされることに感謝!!(石田)



 

Jackie and the Cedrics
『Back to the Hootenanny!』 Nanophonica/ミュージックマイン(1999)
イラストレーターとして活躍するロッキン・ジェリービーンも在籍するバンド。圧倒的なステージ・パフォーマンスは一見の価値あり!というか見るべき。テクニックはもちろん、エノッキーのギター・センスには全員土下座必死! サーフ・インストに紛れもないロックンロールを感じる!!(石田)



 

THE 5.6.7.8's
『TEENAGE MOJO WORKOUT』 TIME BOMB(2002)
適切な表現ではないかもしれないが、〈可愛い&妖艶〉なガールズ・ロッキン・トリオの2002年作。シンプルかつストレートなロックンロール+カヴァー・センスが最大の魅力か? 本作でも“Green Onions”“Road Runner”が秀逸。ガールズ・バンドは数あれど、世界に誇れる唯一の存在。(石田)

文/石田 英稔、穀田 大、小林 英樹、村尾 泰郎、山田 真

WHITE TRASH SOUL Discographic イギリス

 80年代、アメリカと対等の立場にあったイギリスのポップ・ミュージック。それを頂点にしたシーンの構造とパンク・ロックの衰退を受けるかたちで、このころから〈ガレージ〉を〈トラッシュ〉と呼び変えるようになりました。そんなネーミングに反し、トラッドの要素も盛り込んだトータル・コンセプトの高さはヒップなものとして受け止められ、90年初頭にはヘッドコーツのアルバム『Heavens To Murgat Royd, Even!』がサブ・ポップを通じてアメリカ・デビュー、地味ながらもファンにとっては大きなニュースとなりました。〈トラッシュ〉──カルトな感じは否めませんが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの例を挙げるまでもなく、要所要所で絶大な影響を及ぼしております。(穀田)



 

THEE HEADCOATS
『Heavens To Murgat Royd, Even!』 Sub Pop(1990)
UKガレージの心臓! ビートとビールの見分けもつかないワイルドさがたまんない。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは、そのあまりのカッコよさに敬意を表して自分たちのバンド名に〈THEE〉を付けたほど。ヘッドコーティーズ名義でのメンバー、ホリー・ゴライトリーも参加じゃ。(村尾)



 

THE FLAMING STARS
『The Six John Peel Sessions』 Vinyl Japan(2000)
ガロン・ドランク(おお〜!)のドラマーだったマックス・デシャーンが、96年に結成したフレーミング・スターズ。彼らのジョン・ピール・セッション音源を集めた本作は、ロカビリーから濃ゆ〜いメロで濡れまくるバラードまで、バンドのロマンティシズムが全開。ママ、水割りお替わり!(村尾)



 

VARIOUS ARTISTS
『18 Thoughts Of British Trash』 トライアド
もっと評価されるべき邦人による在英レーベル、ヴィニール・ジャパン。当レーベルの音源で構成された本作は、ヘッドコーツはもちろん、その親衛ギャルを加えたヘッドコーティーズ、ミルクシェイクスらを収録。あらゆる部分でそれぞれのバンドが繋がっており、その身内さにカルト感は倍増。(穀田)

文/石田 英稔、穀田 大、小林 英樹、村尾 泰郎、山田 真

WHITE TRASH SOUL Discographic アメリカ(ルーツ編)

 コンピ・シリーズ〈Nuggets〉や〈Pebbles〉、クリプトの『Back From The Grave』が蒔いたカルトな種が実を結んで、ホワイト・ストライプスを輩出したシンパシー・フォー・ザ・レコード・インダストリー、次なるブレイクが期待されるヴォン・ボンディーズやムーニー・スズキを擁したエストラスをはじめとするガレージ系レーベルが全米各地に誕生。アナログ中心のアンダーグラウンドな動きではあったものの、同時期に起こったロックの復権=グランジとも共振し、じわじわと浸透していった。サウンド面では、マイティー・シーザーズ〜ヘッドコーツの影響のもと、音の汚さを強調した(オルタナ系のソレとは別の)ローファイ〜トラッシュ・サウンドが定着、その後の主流となっていった。(山田)



 

DEVIL DOGS
『Saturday Night Fever』 Sympathy For The Record Industry(1993)
キャッチ−でエッジ−で踊れて最高にパンク! 理屈もへったくれも遥か彼方へブッ飛ばす、〈これぞNY!〉な痛快ジェット・ロックンロール。ガレージ・シーンでは珍しいほどのテクニックと才能。ちなみにティーン・ジェネレイトの代表曲“My GTO”は彼らが提供したものです。(山田)



 

THE GORIES
『I Know You Fine, But How You Doin'』 Crypt(1995)
ギター×2 & 女性ドラマー、ベースレスの変則3ピースによる超プリミティヴなガレージR&B。黒人音楽を吸収した60年代ビート・バンドの現代版という側面もある。昨今のガレージ・パンク・リヴァイヴァルをキッカケに、ミック・コリンズの歪んだギターがふたたび聖地デトロイトに鳴り響く。(山田)



 

SUPERCHARGER
『Supercharger』 Estrus(1997)
三十路前後の楽器素人による、あまりにもピュアでイノセントなロックンロール。盟友マミーズと共に、ローファイ〜トラッシュ・ガレージ・ブームを巻き起こした。眩しすぎるメロディーも最高なデビュー作。解散後もメンバーのグレッグ・ロウェリーは、バンドを組んでは解散を繰り返し中。(山田)



 

THE MUMMIES
『Never Been Caught』 Telstar
FU○K CD's! すべてのリリースがアナログのみ。全員ミイラ(マミ−)の格好だからマミーズ。60年代のティーン・パンク・サウンドにクレイジーなエッジを刻み込み、嵐のように去っていった90年代ガレージ・パンクの最重要バンド。10年越しのCD化に際し、ジャケにも皮肉なユーモアが。(山田)

文/石田 英稔、穀田 大、小林 英樹、村尾 泰郎、山田 真

WHITE TRASH SOUL Discographic アメリカ(グランジ編)

 80年代後半から90年代にかけてのUSオルタナティヴ・バンドを聴いてみると、やはり60年代のガレージ・バンドから、アシッド・カルチャーが加わった70年代、そして言わずもがなパンクへと流れるスタイルを踏まえつつも、なぜか居心地の悪いようなゴッタ煮感が溢れていると思う。パンク〜ガレージ・サウンドを愛しながらも、ただ回帰するだけでなく、どんどん本能のおもむくままにみずからの音を出し続けた彼ら。それはやはり、インディペンデント〜DIY精神が顕著に謳われていたハードコア・シーンが根付いていたからなのでは? 世界的ヒット作がイギリス発の時代だったからこそ、のちの怪物たちは身体をムクムクと成長させていたのだ。(小林)



 

PUSSY GALORE
『Right Now!』 Matador(1987)
80年代後半にはソニック・ユース、スワンズと共に〈ジャンク御三家〉なんて呼ばれていたっけ。しかし彼らは陰鬱なスタイルよりも、アシッド感満載の徹底的なカオスを選んだ。まさに〈ジャンク〉なガラクタ・ガレージ・サウンドは、現在のジョン・スペンサーよりも遥かに尊い。(小林)



 

MUDHONEY
『The Best Of The BBC Recordings』 BBC(2000)
サウンドガーデン、ニルヴァーナと並ぶ〈グランジ〉の担い手。しかしいま聴いてみると、あきらかに他のバンドとは立ち位置が違っていたことがわかる。ストゥージズとブラック・サバスとブラック・フラッグが出会ったようなサウンドを聴けば、彼らがいまも現役であり続ける理由がわかるハズ。(小林)



 

ROCKET FROM THE CRYPT
『Live From Camp X-Ray』 Vagrant(2002)
サンディエゴが生んだ宝。前身であるピッチフォークの歪んだハードコア・スタイルと、ホーンも導入した煌びやかなガレージ〜キャバレー・サウンドが見事に融合。最新作である今作にも60年代から現在に至る空気がスピード感バッチリに含まれていて、これぞ〈パンク!〉といった趣き。(小林)

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