USオルタナ・シーンを代表するレディー・アイコンと化したキャット・パワーの3年ぶりとなる新作。デイヴ・グロ−ルやエディ・ヴェダ−が顔を覗かせた前作『You Are Free』とは打って変わって、本作にはなんと南部ソウルのメッカ=メンフィスの名セッション・マンたちが全面参加していて、随所で聴ける緩やかなグル−ヴ感が実に心地良いのだが、じゃあキャット流〈ソウル・アルバム〉なのかというと、そうでもない。ここには彼女の本懐でもあるフォークやカントリーの芳香も濃厚に漂っている。それらが有機的に絡まって、ふくよかで懐の深い、なんとも分類不能の魅惑的な音楽に昇華されているのだ。性別も年齢も国も歌唱法も違うので〈え−っ?〉と叫ばれるのを承知で書くが、僕的には孤高の天才ゴッタ煮シンガー=ヴァン・モリソンとの近似値すら感じる(嘘だと思うなら試しに“Could We”を聴いてみてほしい)。猫力恐るべし。