ジジイにかける〈お若いですね〜〉という言葉は、実は相手の老いを前提としているわけで、ロナルド・アイズレーにそんなこと言っちゃダメ。彼の淫靡な歌声は、成熟しつつもワビサビや枯れを拒む希有なエロ芸術なわけですから。で、今作はR・ケリーがほぼ全曲を手掛けてるんですが、これまで主役の経歴に沿った世界を作り続けてきたケリーが、初めてオレ流でメガホンを取った感じで、過去最高にケリー色が濃厚です。たとえば、浮気した女と口論し続ける“Busted”なんか、微細な歌い口までケリーそっくり。他にもリル・キムとの“Body Kiss”(内容は想像どおり!)とか、過剰なドラマを62歳に歌わせて喜ぶケリーは変態以外の何者でもないですが、どんな曲でもアクとケレン味でじっとり自分のモノに変えるロナルドのヴォーカルはやはり一枚上手。アーニーも黒い汁を迸らせるようなギター・ソロを“Take A Ride”で聴かせてくれてます。